シチリア島はパレルモ在住の桜田香織です。ずいぶん陽が延びてきました。これから夏至に向かって更に日照時間が長くなります。
シチリアは北アフリカと言っても良いくらい南なので、夏至の頃でも夜9時くらいまで明るく、お天気も安定していて過ごしやすい時期であります。
シチリアのビーチにはすでに人が出ています。今年は施設の設備も早く整って、すでにオープンしているのにびっくり。例年よりも1ヶ月近く早いのです。
おそらくここ2年、コロナ禍でデッキチェアーの距離を確保したり、経済的に打撃があったのでしょう。今年はそれを取り戻す勢いみたいです。
陽が伸びると自然と夕食の時間もずれてきます。ただでさえ9時始まりなど遅い時間からの夕食ですが、ギリギリまで海で遊んでいたいこちらの人達、ずれ込むずれ込む。
しかし近年は少し早く切りあげて、食前酒を楽しむのが大ブームとなっています。
以前から「食前酒」の習慣はありましたが、グラス一杯のお酒におつまみはポテトチップスやピーナッツ、売れ残った切り売りピッツァを一口大にした物などの簡素な物でしたが、ここ数年はかなり豪華になってきました。
おつまみと言うより、しっかりと夕食になるほどのボリューム
「食前酒とおつまみセット」というメニューを提供するお店が増えています。
大体夕方6時過ぎから夜10時ごろまで、一杯の飲み物と様々なおつまみのセットです。価格はお店によって10€〜20€と幅があり(1300円〜2600円程度)、勿論値段が上がればその分豪華になります。
ハムやチーズ類など切っただけの物もありますが、それでも品質がかなり良いですし、高いお店ではしっかりと調理された物が何種類も出てきます。
これらはおつまみと言うより、しっかりと夕食になるほどのボリュームがあり、しかも山盛りのパスタやステーキがドッカーンと出るより少しずつ色々な物が出されるので、ある意味日本人好みと言えるでしょう。
さて、イタリアに限らずこの時期のヨーロッパで何が素敵かというと、日暮れの空の色です。日本のように日没後すぐに真っ暗にはならない、徐々に空の青さが濃くなっていき、美しい群青色に染まります。日本では見られない空の色なのです。
旧市街のお店のテラス席や中庭で食前酒を頂くのも楽しいですが、やはり海際には敵いません。
空の色のグラデーションが美しい
海に沈んでいく夕日を眺めながらグラスを傾け、おしゃべりを楽しみ、空の色のグラデーションにため息をつき、真っ暗になる頃お開き。
普通なら夕食の始まる9時過ぎには終了するので、私には時間的にも有難い話であります。
勿論グラス一杯で終わることはなく、数人いたらワインをボトルで注文。おつまみが足りなければパニーノやパスタ、サラダを追加注文することもできますが、現地の人でも大抵これだけで満足しています。
旅行中、つい「夕食はきちんとレストランで・・・」、もしくはお腹が空かないから何か買ってホテルで・・・となりがちですが、こう言う楽しみ方もできるので、ぜひお勧めです。冬場もこの食前酒は楽しめますよ。
Written by 桜田香織(イタリア)