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女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち ブレイディみかこ著

2021年10月5日

フィンランドで34歳世界最年少の女性首相が誕生

2020年に世界の国会議員で女性が占める割合は平均25.5%だったそうだ(「列国議会同盟(IPU、本部スイス・ジュネーブ)」による発表)。

ちなみに日本は9.9%(166位)で、G7諸国では最低だった。これらの数字についてどう思うだろうか?

日本で女性が参政権を行使したのは昭和21年(1946年)で、戦後初めての衆議院総選挙で39名の女性国会議員が誕生した。

英国ではそれより28年早く、1918年の総選挙で全国で17人の女性候補が出馬し、当選したのはたったの1人だったという。それから100年以上経つが、現在でも政界は男女平等とは言い難い状況がある。

世界には、女性政治家の割合の方が高い国も存在する。国会の女性議員比率の上位3カ国は、ルワンダ(61.3%)、キューバ(53.3%)、アラブ首長国連邦(50.0%)でいずれも50%以上。

これらの国々のように女性比率が高い国と、日本のように低い国との違いも気になるが、本書で取り上げられているのは欧米諸国と日本だったので、こちらについてはいつか自分で調べてみたいと思う。

さて本書だが、世界に台頭する女性政治家たちにスポットを当て、世界の政治事情を解き明かし、国家のリーダーとして活躍する彼女たちのサバイバル術を冷静に分析した、とても興味深い本だった。

個人的に気になったのは、北欧である。特にフィンランドは、2019年に当時34歳だったサンナ・マリンが世界最年少の女性首相となったことで話題になった。

連立政権の党首は彼女を含めて全員が女性であり、そのうち4名は30代前半という、文字通り「若い女性たちが回す国」である。

このニュースを知った時、「住んでみたらどんなだろう?」と想像したことがある。それを可能とする社会とはどんなだろうかと考えずにはいられない。

フィンランドは男女平等先進国と言われており、就業率や平均年収などにおいても男女差が比較的小さい。

まず、多くのフィンランド人は「自分の性別や年齢は関係ない」と考えており、マリン首相本人も「そのように考えている」と発言している。

性別や年齢が、進学や就職などの人生の重要イベントに大きく影響する日本では、にわかに信じられない考え方だと思う。とても素晴らしい社会だと思うし、正直羨ましい。

私は同じEUに属するオランダに住んでいるが、確かに日本にいた時のように「性別や年齢を気にする『べきではない』」と感じる。LGBTQの存在はとても身近なものであるし、数年以内に身分証に性別の表記がなくなるそうだ。

求職の際も、性別や年齢の制限は基本的になく、経歴や資格、職務などによる募集なのでとても公平だ。そういう社会だからとても生きやすいと感じる。

話をフィンランドに戻そう。

フィンランドはフィンランド語ができて、気候がもう少し良ければすぐにでも住んでみたいほど、女性にとってバラ色の国のように見えるが、一方でダークサイドも存在するという。

DV(ドメスティック・バイオレント)が多く、ヨーロッパでも最悪の国の一つだそうだ。「ジェンダー平等が進んでいるはずの国なのになぜ?」と頭をかしげたくなる。日照時間や気候が影響しているのかもしれないが。

子どもを産んでも働きやすい環境を整え、女性が社会進出して経済的に自立できる環境をつくってきた国が、個人としての女性の安全を守る方策を取ってこなかったという矛盾はとても重いものだ。

女性首相を筆頭に女性比率の高い内閣により、今後変わっていく可能性は高いと思うが、世界における女性にとっての社会的・経済的ハードルはまだまだ高いと言わざるを得ない。

「まして日本は…」とため息を吐きたくなる状況ではあるが、現在自民党総裁選に立候補している4人のうち2人は女性であり、時代の変化を少し感じる。(2021年9月29日自民党総裁選で岸田氏の勝利が確定)

日本の内閣総理大臣は間接選挙制度となっているが、もし国民が直接投票できたら、日本人、特に若者の政治への関心も高まるのではないかとも思う。真に国民のためとなる政策を行うことのできる政治家が必要とされている。

今後も女性政治家たちの活躍に期待していきたい。

Written by 藤村ローズ(オランダ)

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