わたしは3年ほど前からオンライン読書会を主宰しています。
読書会を始めた頃はいつも「話が途切れたらどうしよう」と心配でした。途中でシーンとしてしまったらどうしよう。せっかく時間を割いて集まってくれたのだから、楽しんでもらいたい。
そんな風に考えるので余計に緊張してしまい、悲しいかな、想像通り「シーン・・・」となってしまうこともしばしばありました。
そんな時は必死に自分の中から言葉を絞り出し、この静まり返った空間をどうにかこうにか音で埋めようとします。ですが、だいたいそういう時に出てくる言葉は心がこもっていないものです。
心がこもってない、つまり特に意味はないので、聞いている方も反応しづらい。何より意味のない言葉を聞かされている時間って本当に無駄です。
しかしそんな読書会も回を重ねていると、我ながらとてもうまくいったと感じるときが徐々に増えてきました。
なごやかな雰囲気で話も盛り上がり、笑いあってとっても満足。そのときの参加者のSNSを見てみると、「話しやすくて楽しかった」だそう。
これを見てふと気がつきました。あ、話しやすいことが大切なんだ。読書会に参加する人の感想は、「たくさん話を聞けてよかった」ではなく、「話せてよかった」なのです。
もちろん「人の話を聞いて参考にしたい」という気持ちもあるけど、それよりよっぽど気がかりなのは「自分の意見や感想が他の人に伝わるだろうか」ということ。自分の話を聞いてもらいたいし、わかってもらいたい。
つまり、ファシリテーターとして大切なのは「うまいコメントをする」とか「スムーズに進行する」ことではなく、「参加者の人に話してもらう」ことなのです。
このことに気がついてから、読書会の前に「とにかく話を聞く、話を聞く、聞く・・・」と自分に言い聞かせてから始めることにしました。
気がつけば「話が盛り上がらなくて困る」シーンも減り(ゼロではない)、最近ではリピーターさんの方に個人的なことを話してもらえることも増え、「話してもいいと思ってもらえているんだ」ととても嬉しくなりました。
そんなふうに「聞く」ということの大切さに気づき始めた時に出会ったのが本書でした。
著者の阿川佐和子さんは、「ビートたけしのTVタックル」や「サワコの朝」といったテレビ番組でご存じの方が多いかもしれません。キャスターを経験されたのちに数々のテレビに出演し、エッセイや小説も出版されています。
阿川さんがとある雑誌の連載企画(対談形式でゲストにインタビューするというもの)を通して得たコミュニケーション術を一冊にまとめたのが本書です。
わたしたちからするとプロのインタビュアーに見える阿川さん。しかし意外にもインタビューをするのは苦手で、インタビューの日が続くと肩が凝ってしょうがないぐらいだったんだそうです。
そんな阿川さんだからこそわかりやすく、ときに冗談を交えながら、「聞く極意」を私たちに伝授してくれます。
「話を盛り上げるのが苦手」という方、まずは聞く力を身につけてみてはいかがでしょうか。
女性対象のオンライン読書会【ゆる読書会】を開催しています。
2019年にスタートし、これまでに50回以上開催、延べ200人以上にご参加いただきました。ゆるい雰囲気が生み出す安心感と話しやすさがウリです。
本について気軽にお話ししたい女性の方のご参加をお待ちしています。
詳細・参加申込方法はげんだちょふのブログよりご確認ください。
Written by げんだちょふ(日本)