男性だからどう、女性だからこう、というのは時代遅れではありますが、女性として30代半ばまで生きてきて実感することがあります。それは、女性はキャリアが中断されがちということ。
結婚、出産といったライフイベントが発生するタイミングで働き方を変える、もしくは仕事を辞めてしまうということは、昭和の時代よりは減ったとはいえ、令和の今も珍しい話ではありません。
この記事をご覧になっている世界ウーマンの読者の方々は、海外で生活されている女性が多いと思います。中には、過去にそういった自分の意思ではない理由によって、キャリアチェンジを余儀なくされたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私もその中のひとりです。年齢が30代にさしかかる頃に夫の海外駐在が決まり、新卒で入社したIT系の会社を退職してロシアへ帯同することになりました。仕事を辞めることに後悔はなかった一方で、日本に戻ってから働くことはできるのか不安を感じたのも事実です。
本書で提唱されている「ライフピボット」とは、マイナスに思われがちなキャリアの転換を前提として自分らしいキャリアを築き上げる、新しいキャリア論です。
労働寿命が長期化する中で、わたしたちを取り巻く環境は常に激しく変化しています。そういった社会の中では、一つの会社や職種で定年まで働くことが難しくなってきました。
女性だけでなくあらゆる人に、いつでも柔軟に方向転換できるキャリアの在り方が求められているのです。不利だと思われていたキャリアの転換が当たり前。そう考えると気が楽になりませんか。
会社を辞めるという決断は、やはりキャリアにとってはマイナスなのでしょうか?
転職などのキャリアの転換と、仕事を辞めてしまうキャリアの中断は全く別のもの。キャリアの中断はマイナスにしかならない。そう考える人もいるかと思います。
ですが、わたしはこの本を通してある結論に至ったのです。
「キャリアの中断なんてない」
なぜそう考えたかご説明します。
この本では、キャリアは「偶然」と「経験の蓄積」で生まれると述べられています。「偶然」とは自分では予想していなかった意外な出来事を指します。では、「経験の蓄積」とはなんでしょうか?
キャリアにつながる経験というと、語学の勉強や資格の取得などの分かりやすい成果を想像しがちです。ですが、この本で言う経験は、いかにも仕事に直結しそうなものだけではありません。
SNSを通じて自分の意見を発信することや、気になったイベントに参加することなど、多様な行動がキャリアチェンジにつながる経験とされています。
この考え方を少し応用すると、子育ても立派なキャリアにつながる経験だと思えます。いかに家事を省力化するか考えたり、少しの時間で体力を回復する方法を編み出したり、夫の協力を取り付けるために声かけを工夫したり…。これらのスキルを子育て中に得た人もいるのではないでしょうか。
そう考えると、「キャリアの中断」とは一体、何のことだろうと思えてきませんか。
もちろんこれらを漫然と行うだけではキャリアの転換にはつながらないでしょう。
しかし、自分なりに目標を設定してトライアンドエラーを繰り返すことで生きたスキルとなり得ます。ここで私の経験を少しお話しさせてください。
ロシア帯同中、子どもがいなかった当時は暇を持て余し、いろいろなことに手を出しました。ロシア語を習ったり、ブログを書いたり、駐在妻のオンラインコミュニティに参加したりもしました。
当時はとにかく暇だから興味を持ったことをやっていただけなのですが、思い返せば、その経験や偶然の出会いが、帰国後の新たな仕事やオンライン読書会というライフワークにもつながりました。
もし読者の方々の中に、キャリアの中断に対して不安を抱えている方がいらっしゃったら、ご自身の毎日を振り返ってみてください。それらがそのまま、キャリアの転換につながる経験となるはずです。
今の自分の何がキャリアにつながるのかわからない。そんな方はこの本を手に取ってみてください。きっと助けになってくれます。
女性対象のオンライン読書会【ゆる読書会】を開催しています。
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Written by げんだちょふ(日本)