「え?45歳ってオワリなの?!(オワリじゃないと言って欲しい)」
今年で43歳になる私は、強烈なタイトルに惹かれ、思わずこの本を手に取ってしまった。
この本には、著者である渡辺千晶さんが、子育てがひと段落ついた45歳の時に、一念発起して起業をし、夢を実現するため、コミニティー作りをするまでの軌跡が描かれている。
子育てをしていると何度かステージが変わる時があると思う。
子どもが生まれたての時は24時間ずっと一緒で、全ては子ども中心の世界で、片時も目が離せなかった。小学校に入ることには少しずつ自立し始め、小学校高学年にもなると、夜遅くまで塾に行く子が増えてきたりする。
そして中高生にもなれば部活優先、友達優先。ほとんど手がかからなくなる。ここまでくれば、大学生や社会人になる日もすぐにやってくる。
気が付けばあっという間に年月は過ぎて、母親の世話はいらなくなっていく。ふと、ぽっかり時間ができる。休日は家族別々の用事。
今まで子育てに費やしてきた時間が急になくなり、ひとりの時間が増えることに孤独を感じる人は私だけではないはず。
我が家の場合で言うと、この春から一人息子は高校生になり、寮に入りたいと言う。これで本当に遠くから見守るだけで、これからは自分のためにもっと時間を費やせるのだと思うと嬉しい反面、寂しくもある。
私は今まで子育てのスタイルに合わせてフレキシブルな働き方をしていたけれど、その間フルタイムでバリバリとキャリアを積まれていた方とは10年以上の差が生まれているわけで、到底かなわないだろうなという気持ちになることもある。
「そもそもこの仕事でいいのかな?他に何かできることはないのかな?」と思うこともある。
「本当は何がしたいのか」「自分に何も制限がなかったら本当は何がしたいのか」なんて、ちょうどそんなことを考えていた時にこの本がわたしの目の前に現れた。
長年、主婦業に専念していたからそもそも特技なんてないし、やりたいことなんて分からないよ!という人は、少なくないと思う。やりたいことを見つけるにはどうすればいいのか。
45歳になって、「やっぱり好きなことをやろう!」と一念発起してパートの仕事に退職届を出した千晶さんは、
「今日の私は何がしたいのか?」
「今日の私は、何を食べたいのか?」
「今日の私は何を感じたいのか?」
毎日毎日、丁寧に自分に問いかけ、ずっと言いたいことを我慢して感情に蓋をしていた自分と、ゆっくり向き合っていったのだという。
千晶さんが本気で自分の本音と向き合い、本当にワクワクできる、やりたいことを模索しながら夢を実現していくストーリーは、とても興味深い。
「イメージコンサルタント」として起業し、初仕事の場所がなんとフジテレビ!どんどんお客さんがつき、セミナーを開くようになる。
「45歳になって人生を変えたいと思って、思って、思って、心から思っていたら本当に変わっていくんだ!」と文中で書かれているのが印象的だった。
「思って、思って、思って」45歳からの快進撃。まさに想いは現実になる。
まるでドラマのサクセスストーリーを見ているような感覚にもなる。でもこれはドラマではなく普通の主婦の本当の話である。
もちろん苦悩も等身大の言葉で描かれている。お客様が集まらなかった時、サービスの値段を上げる時。悩みながらもどんどん行動してみる姿は、共感できることが多かった。
自分はどうなりたいのか。それはきっと自分だけ良ければよいものではない。
たった1人で45歳で起業し、「みんなが自分らしく輝けるような場を作る」という夢に忠実に、自分らしさを実現していく千晶さんの姿に勇気付けられる方は、多いのではないかと思う。
夢とは「職業」ではなく、想いを実現していくことなのだと思った。アラフォー、アラフィフも、まだまだ元気だぞと言いたい。新しい挑戦をしてみたいなと思っている方におすすめの一冊。
Written by 伊藤結子(イギリス)