世界一背が高い国民オランダ人。スーパーに行くと、棚の一番上の商品に手が届かないことがあったりして(笑)
しかし、ここが日本だったなら、スーパーに行って自分の身長を気にすることなんてありませんし、もしも地球上に一人で存在しているとしたら・・・自分のことを背が小さい方だと認識することはまずないでしょう。
なんで日本人はこんなに背が低いんだ、なんでオランダ人はこんなに背が高いんだ、というのは比較する対象があって初めて生じる認識。そして場合によっては人の悩みのタネとなってしまうかもしれません。
「人と比べてはいけない」と道徳的なことをいわれるにも関わらず、どうして私たちはつい人と比べてしまうのでしょう。
上の絵はオランダ在住の日本人アーティスト笹岡華絵さんの作品。
この不思議な世界を描く彼女に、「どうして鳥の顔をした人間のような人間でないようなキャラクターを描くのか」、その真意を伺った時に、その答えがほんのり見えてきました。
不思議な国のアリスのような、動物が人間化した姿を、そもそもどうして描こうと思うようになったのか、その心理に興味をそそられました。何度か訊ねた後、ようやくその真意を静かに、そして熱く語ってくださいました。
「そもそもこれは鳥なのか?それとも人なのか?」
答えは「人」でした。
では「なぜ頭が鳥なのか?人間の顔じゃダメなのか?」
すると「これは仮面。動物の仮面をかぶった人間」とのこと。
ますます意味がわからなくなったのですが、その後、彼女はこう続けました。
「人は仮面を被らないと生きていけない。朝起きて、仮面を被り、社会に出る。そのために仮面は欠かせない。どんなに丸裸だと認識している人であっても、『丸裸になったつもり』という仮面を被っている」と。
たとえどんなに仲の良い者どうしであっても、丸裸になって心を開き会話をしているようで、本当のところはお互いに仮面を被っている、というのです。
しばらくその答えに疑問を持ちつつ、仮面ってなんだろう?と思いながら過ごしていたところ、ふと、もしかして仮面とは「自我」のことなんじゃないかと思えてきました。
フロイトによると、自我はそれ自体、意識されないもので、機能や構造によって把握されており、自我が最も頻繁に行う活動の一つが防御だ、という。(Wikipedia参照)
どうやら意識できる自己イメージとは別らしいです。
私たちはこうして、他人とは比較しているつもりでいなくても、他人の存在によって無意識のうちに自我を形成しているのかもしれない。そしてそれは生きていくために必要な防御のためだったのか!と目を覚ませてくれた華絵さんの世界。
見れば見るほど、描かれている仮面を被った人間が何を考えているのか知りたくなり、仮面の中の表情を覗き込みたい衝動に駆られます。
そして、眺めていればいるほど、意識できないといわれる自我が意識できそうな気がしてくる華絵さんの作品たち。
2019年10月30日から11月3日までオランダ、アムステルダムで開催されるAffordable Amsterdam Art fairのemigrecollection, stand c15ブースで展示されます(詳細は下記)。
ぜひ足を運んで、間近でその世界を堪能してください。
【住所】De Kromhouthal Gedempt Hamerkanaal 231 1021 KP Amsterdam The Netherlands
【WEB】https://affordableartfair.com/fairs/amsterdam
【開催日時】
・Wednesday 30 October 2019 Private View 18.00 – 22.00
・Thursday 31 October 2019 11.00 – 18.00
・Friday 1 November 2019 11.00 – 22.00
Friday Date Night 18.00 – 22.00
・Saturday 2 November 2019 11.00 – 19.00
Family Preview 10.00 – 11.00
・Sunday 3 November 2019 11.00 – 18.00