9月1日朝。12歳の娘は登校時間の3時間前に目を覚まし、入念に身支度を整え、鏡に向かって顔の角度を変えては笑顔をつくっていた。
この日は、転校先の学校への初登校日。真新しい制服に身を包んだ彼女の表情は明るいが、発する言葉は少なく、すこーし緊張している様子。
誰しも経験があるはず。新しい環境に身を置く時の期待と不安の入り混じるあの気持ち。
「クラスメイトはどんな人達かな。うまく話せるかな。良い印象をもってもらえるといいけど。。」
きっとそんな風に思っている彼女に、コミュニケーションコンサルタントかつ母として「良い印象を持たれる」コミュニケーションのアドバイスをしたので共有したい。
コミュニケーションにおいてまず知っておきたいことは次の二つのこと。
・人が一番恐れることは拒絶されること。
・人が一番必要としていることは受け入れられること。
これは子供も大人もどんな人にも当てはまる共通事項だ。
人は受け入れられることで「安心感」を得たい生き物。
この「安心感を得る」のは本能的な欲求の一つであるので、人は「安心感」をいだける相手を好み、親しくなりたいと思う。
では、どんな人に安心感を抱くのか。それは次の3つを持っている人である。
①笑顔
②共感や承認を示す
③否定表現より肯定表現を使う
この3つさえ意識していれば、あなたは「めちゃくちゃ好印象の人」になる。
では、一つずつ詳しく見ていこう。
笑顔が嫌いな人はいないと思う。
それは、相手の「笑顔」から、嬉しい・楽しい・面白い・好き というポジティブな感情を受け取って、いつのまにか自分も笑顔になっているからである。
これは脳内のミラーニューロンの仕業。
ミラーニューロンは神経細胞の一つで、他者の行動を見てまるで自身が同じ行動をとっているかのように”鏡”のような反応を促す。あくびがうつるのと同じように表情も感情もうつるのだ!
明るく楽しそうに話す人と一緒にいるときは自分も楽しい気分になるし、イライラしている人、ため息ばかりつく人といるときは自分も不機嫌になってしまうというわけ。
笑顔は自分にも相手にも良い感情を与える最強ツールなのだ。
受け入れられると感じる、安心感を感じる、相手は自分の味方だと感じることができたら、その人への心を開きたくなるもの。
それには、共感や承認が一番効果的。承認って、ほめることだと思いがちであるが、実は次のことも全て承認である。
・挨拶する
・名前を呼ぶ
・相づちをうつ
・目線を合わせて、相手を見る
・話すペースを相手に合わせる
・相手が前に行った事を覚えている
・誕生日を覚えている
・変化に気づいて伝える
・相手の関心ごとについて聞く
・教えてもらう
・意見や感想をもらう
承認って意外と簡単にできるもの。やらない手はない!
あなたはどちらの表現を好むだろうか?
①「鍵を閉めずに、外に出ないでください」「鍵をしめてから、外に出てください」
②「あなたには赤い色は似合わない」「あなたには赤よりももっと似合う色がある」
③「そのやり方ではうまくいくはずがない」「少しやり方を変えたらうまくいくはずだ」
3つとも前者は否定表現、後者は肯定表現である。言われて受け入れやすいのはどちらだろうか。会話を続けたいのはどちらだろうか。
人は拒絶や否定されると、同様に相手を拒絶したくなる。そのため相手の話を聞こうとしなくなるのである。
「ほめてから叱る」と「叱ってからほめる」であれば、前者のほうが注意を聞き入れやすいのもそのためである。
お気づきの方もいらっしゃると思うが、相手に対する自分の態度や感情は、そのまま自分に返ってくる。
話している相手を「好印象」だなと思ったら、相手もあなたのことを同様に「好印象」と感じている場合が多いということだ。
以上の三つを意識すると、新しい環境でもスムーズなコミュニケーションがとれる!既存の環境であれば、より良いコミュニケーションへと進化して信頼関係が深まる!ぜひ試していただきたい。
初日、学校から戻った娘は「様子を見すぎて誰とも話せなかった。。。」と緊張のせいで、練習していた笑顔を出す機会がなかったようだが、翌2日目には新しくできた友人達とランチを一緒にしたと楽しそうに報告してくれた。
コミュニケーション、楽しんでいきましょう!
Written by 周さと子(マカオ)