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永住に踏み切る前に覚悟しておくこと。帰る前提で住むのと永住は全くの別物

2021年2月12日
みなと (アメリカ)

海外永住、現実はそんなに甘くはなかった

「海外移住に興味があるんです。海外永住ってどんな感じですか?」「外国人と結婚してそのまま永住したいんです!アメリカ人の旦那さんがいて永住できててすごく羨ましいです!」

瞳をキラキラ輝かせて、時々こう言われることがあります。

こういう時、「とても楽しくて充実していて本当に永住してよかったと思ってるよ。あなたも移住するべきだよ!」って言えたらどんなにカッコイイでしょう。

聞いてくる人達も、きっとそういう答えを求めているんだと思います。

海外移住を夢見る理由はたくさんあると思います。海外で起業してみたい、働いてみたい、国際結婚して海外暮らししたい、海外でやってみたいことがある、リタイア後は海外でのんびり暮らしたい・・・などなど。

日本が嫌だ、嫌いだからという人もいるでしょう。そう、かつての私のように。

私自身は大学留学中に主人と出会い、そのままアメリカに永住することを決めました。

主人は日本語が話せないし仕事もあるし、結婚して日本かアメリカかどちらかの国に住むなら、英語も話せる私がそのままアメリカに住む方が簡単で現実的でした。

当時は私もアメリカ生活に馴染んでいて、日本より自由奔放に暮らせるアメリカに住む方が良いと思っていましたので、私がアメリカに永住することに何の抵抗も疑問もありませんでした。

25歳だった私は外国人と結婚し、海外に永住するということについて、あまり深く考えていませんでした。若かったのもあります。

親もまだ元気だし、留学時代も1年に1〜2回は帰国できていたから、結婚後も何の問題もないと思っていました。しかし現実はそんなに甘くはなかったのです。

 

留学時代とは状況が変わる

留学時代は夏休みと冬休み、1年に2回は帰国してドカーンと1ヶ月滞在し、日本をエンジョイすることが可能でした。それも親のお金で。

両親としてはかわいい娘に帰ってきてほしいので、惜しみなく帰国費を負担して私を帰国させてくれました。友人も家族もたまに帰ってくる私を歓迎してもてはやしてくれましたし、毎回楽しい滞在を過ごせていました。

それが結婚して仕事をするようになったらどうでしょう。仕事には学校のような夏休みや冬休みのような長期休暇がありません。

アメリカでは休暇申請できるのは最長2週間のところがほとんど。帰国できたとしても最大2週間が限度、それも年に1回です。

それもいつでも好きな時に休暇が取れるわけではありません。職業にもよると思いますが、私はサービス業でしたので、繁忙期や他の人と希望が重なると取りたい時期に休暇が取れないことも多々ありました。

留学時代は1年に2回、しかも丸々1ヶ月滞在できていたというのに。その状態に慣れていた私は「いつでも好きなだけ帰国できるわけではない」という状態にフラストレーションが貯まりました。

留学時代は親が出してくれていた飛行機代や滞在費。当然ながら学生でなくなって働くようになれば、それらは全部自分で負担するようになります。

各家庭にもよると思いますが、我が家はお財布は一つ派。夫婦で稼いだお金は夫婦のものです。それ故に、自分だけ帰国のために大金を使うのはためらわれました。

主人は「年に1回は帰っていいよ」と快く送り出してくれてはいたものの、夫婦のお金を自分だけのために使うということに罪悪感を感じます。

飛行機代だけで10万円を超えることもありますし、滞在費も入れるともっとかかってしまうことも。家を買ったりなどのライフイベントが発生すると、ますます帰国のためにお金を割けなくなります。

私は実家が関東なのでまだよかったのですが、実家が北海道にあるシングルマザーの知人はさらに子供の旅費、そして帰国後さらに北海道への飛行機代がかさむので子供が生まれてから10年帰国していないという人もいました。

 

親は永遠に元気でいてくれるわけではない

親はいつまでもいてくれるわけではない。当たり前のことなのに、現在親が元気だとどうしても現実的に考えられていませんでした。

今は大手を振って帰れている実家も、いつかはなくなります。

日本で結婚して日本に住んでいれば、日本に帰る場所がなくなるということはありません。しかし海外に永住している場合、親がいなくなって実家がなくなれば帰る場所もなくなるのです。

そうしたら私はどうなるのだろう?帰る目的も迎え入れてくれる人もいなくなる。改めて想像したらとても恐ろしいことでした。

このことについて真剣に考えるようになったのは、元気だった祖母が突然倒れてからでした。

数年前に祖母が脳梗塞で倒れ半身不随になり、両親が住んでいる県の養護施設に移動することになりました。実家と祖母の家は車で6時間かかる距離。

祖母が倒れた当初、両親は祖母が住んでいた県の養護施設と関東を行ったり来たりでとても大変そうでした。そして私はアメリカにいるので両親が大変な時、何もしてあげることができませんでした。

今自分が住んでいる場所と実家が遠くて親に何かあった場合の大変さを、祖母と両親を通して実感しました。ああ、これが将来自分に降りかかる試練だと。

親が突然病気や事故で倒れたら?介護やお見舞いが必要になったら?私にはアメリカにも家族がある。お金も時間もかかってすぐ帰国できるわけではないのにその時私は一体どうするのだろう。

今でも考えても答えが出ない課題です。

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