イギリスというと紅茶の本場、というイメージを多くの人はお持ちだと思う。
自国ではお茶を栽培していないのに紅茶大国として君臨しているイギリス。
今回はこの大英帝国から続いている文化の象徴、紅茶がどのように飲まれているのかをご紹介したい。
とはいっても、イギリス人誰もがウェッジウッドの茶器で三段トレイのアフタヌーンティを楽しんでいるわけではない。
紅茶は日本人が緑茶を愛するように、日常生活に根付いた庶民の飲み物なのだ。
まず朝起きて一杯、朝食の後に一杯、お散歩の後に一杯、お友達と午後のお茶に一杯。。というように、とにかくなにかにつけて「紅茶」なのである。
現地の友人たちに「1日にどれくらい飲む?」と聞いたら、「そうね、5杯くらいかな」という人が多かった。
かくゆう筆者も英国移住後、もともと好きだった紅茶にすっかりハマり、気付けばやはり1日4,5杯は飲んでいるのであった。
お気に入りのマグカップで楽しむミルクティー!
イギリスでは一家に一台、かかせないのが電気ケトル(kettle)。沸騰したてのお湯が命の紅茶には最適である。
イギリス人が‘Put the kettle on! ‘といったら「さ、お茶を飲みましょう!」とほぼ同意語と言っていい。
ここではミルクティーが主流で、ゴポゴポとKettleで沸騰させたお湯をざっと注いで濃い目の紅茶を作り、さっとミルクを入れる。
カフェではリーフティも出てくるが、家庭ではティーバックが主流で、大きめのマグカップでいただく。
イギリスの食文化に象徴されるように、紅茶の飲み方もシンプル。
コーヒー、紅茶、お茶はアイスでは飲まないし、日本みたいにロイヤルミルクティだのタピオカミルクティーだの存在しないし、レモンを添えたりもしない。
イギリス留学当初、筆者はマクドナルドに入って堂々と、’Iced lemon tea, please!’と言ったことがある。その時の店員の反応を今でも忘れられない。目をまんまるくして、‘What? ‘。
さぞかし「なに、この変な東洋人」と思われたに違いない。
最初は私の発音が悪いんだ、と思って何度かトライしてみたが、どうやらイギリスにはアイスティーはほとんど存在しないと判明した。
海外生活が長いとは言え、日本のなんでもありのグルメ文化に慣れ親しんだ筆者にしてみればちょっと寂しい気もするが、ここはイギリス。紅茶は紅茶らしく、がモットーのようだ。
筆者お手製ケーキ。左上から時計回りに「レモンドリズルケーキ」「コーヒーケーキ」「Victoria Sponge Cake」
ではどんな紅茶が好まれているのか?
まず思い浮かぶのがイングリッシュブレックファストティー(English Breakfast Tea)である。セイロン、ケニアン、アッサムティーのブレンドでイギリスでは最も一般的な紅茶。
ブレックファストと名前はついているけれど、なにも朝食に限らず一日中飲まれている。
でもなぜか、日本のカフェ等ではあまり聞いたことがないような気がする。
筆者もイギリスに来た当初は朝食の時に飲む紅茶、と決め付けていた。が、イギリスでは紅茶の代名詞といってもいい。
確かに、ブレンドからいっても濃い目のどっしりした紅茶なので朝食時にぴったりなのは間違いないのだが。
例えばセルフサービスのカフェで紅茶を頼むとする。
’Can I have a cup of tea?’
そう言ったら、大体は、
‘What tea would you like? ‘(どの紅茶にしますか?)と聞かれるので、答えにつまったら、
’English breakfast, please.’
と言えば、発音も簡単で絶対に通じるし、どこにでも置いてある紅茶だし、まずは失敗のない正統派の紅茶がいただける。
紅茶のエキスパートを気取る気はないが、日本でも人気のアールグレイはブランドによってその風味や香りが全然違ったりして、「なーんだ、がっくり」とくる時が多い。その点English Breakfastはどこで頼んでも間違いない。
1 2