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新しい旅のスタイル。地産地消の旅を目指して、アゼルバイジャンの田舎をめぐる

2021年6月19日
岡田環 (アゼルバイジャン)

遺跡を訪ねて故事を探索し、創造的な旅の記録を作成する

もう一つ、私がライフワークのようにこつこつ取り組んでいるのは、グーグルマップをつぶさに観察して、古い遺跡や建築物などを航空写真で確認しては、現地を訪れることです。

特にアゼルバイジャンでは、古い隊商宿(キャラバンサライ)の跡や水路の跡、城塞やモスクの跡などがよく残っています。

遺跡のある現地には、資料があまり整備されていないことが多いのですが、写真を撮ってみたり、小さなスケッチを残してみたり、思い思いにその場所で時間を過ごすこともまた楽しみです。

鍵守の管理者の方がいれば、遺跡に関する話をうかがうこともできるのですが、たいていは無人で、まれに草地に羊の群れを連れた人々に出会うと、村の名前や土地の由来などを教えてもらったりもします。

そのあと、家に帰ってから、写真を整理しながら、近隣の遺跡と比較してみたり、聞いた土地の名称から調べて、その遺跡の由来を検索してみたり、と楽しい作業です。

いつかこんな小さな遺跡の情報を集めた、手作りのガイドブックが作れたらいいなあなどと夢想しつつ。

 

地産地消スタイルで、コロナ禍の旅を楽しむ

古いキャラバンサライと水道跡

最近私がこんな風に楽しんでいる、国内の村めぐりや近場の遺跡めぐりですが、いわば旅の「地産地消」、今、自分の住んでいる土地の文化や歴史を再発見する良い機会になります。

普段降りない手前の駅で下車をして、知らない商店街を歩いてみる、グーグルマップを開いてみて、地元の町に古くから残る神社やお寺を訪ねてみる、そんな小さな冒険もまた「旅」であると、冒頭の『奥の細道』を再読して思いました。

インターネットの普及のおかげで、土地の古い伝承や、古地図、歴史にまつわる解説や写真資料などが手軽に閲覧できるようになった今、自分なりのガイドブックを作るような気持ちで、自分の暮らす街やその近隣の町や村を訪ねて歩くのも、また素敵な旅のスタイルです。

その折には、足を止めて写真撮ったり、小さなスケッチをする時間を持ったり、あるいはその情景を俳句や詩歌を詠んでみる、という思い出づくりも素敵です。

コロナ禍の折、特に遠くに旅行をすることが難しい状況ではありますが、自分が今住んでいる場所を起点に、自分の足で歩いてみる、じっくり自分の手で情報収集をしてみる、そしてその旅の記録をクリエイティブな方法も使って残してみる。

まさに松尾芭蕉の辿った道を追随するかのようなそんなスタイルも、楽しんでゆきたいと思っています。

Written by 岡田環(アゼルバイジャン)

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