生ソーセージとローストポテト。子供の好きなメニューの一つ
日本の常識はもちろん、イタリアの常識も通じないかもしれないシチリア在住の桜田香織です。
食や職に関する歴史などについて書かせていただくことが多いのですが、今回は「子供の食育」について考えてみたいと思います。
前から漠然と疑問に思っていたことについて、少し大袈裟ですが一度しっかりとリサーチしてみたいと思ったのは、近年日本で「食育」という言葉が頻繁に使われているからかもしれません。
保育園でも小学校の給食でも、もちろん家庭であっても子供の食生活について語られることが多いと思います。しかしイタリアではそんな声は全く聞こえてきません。
子供の好き嫌いをなくそうと努力をしている日本のお母さんがいる一方で、その部分に関してかなり無頓着に見えるイタリアのマンマ達。そんなところから興味を持ちました。
イタリアにも食育はあるのでしょうか?そもそも食育とは何でしょうか。
日本では2005年に「食育基本法」というものができました。農林水産省では「生きる上での基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるもの」と定義されています。
朝きちんと食べるかどうか、食への感謝の気持ちを育てる、栄養バランスを考える。しかもただ栄養吸収するではなく、誰かと一緒に食べることによって社会性を身に付ける、コニュニケーションなど・・・。
更に食前の手洗い、配膳、食事中の姿勢やマナー、食の安全性などなど、開いてみると色々出てきます。正しい知識と望ましい食生活を身に付けること、平たく言えば「健全な食生活を実現させましょう」と言えるかもしれません。
こういった法律が存在する国は珍しいのかもしれませんが、だから日本は学校教育においても熱心なのでしょう。
レストランでもフレンチフライを頼む子供達
この状況を踏まえながらイタリアの食生活を見直してみると、これで良いのか?と思うようなことも沢山出てきました。
あくまでも私の周りの子供達の話でありますが、とにかく「野菜嫌い」が多いです。
大体13歳くらいまでの子供達で、サラダや温野菜を食べる子はまずいません。にんじんが嫌いだとか、ピーマンは苦手とか、そういうレベルでないのです。ジャガイモ以外全部嫌い、ジャガイモだけはみんな大好きですね。
子供が10歳ちょっとまで何を食べていたか数人の友人に聞いてみたところ、チキン、卵、ハム、チーズ、ソーセージ、カツレツと言った感じ。
子供が好きなものはほぼ同じ。パスタならばシンプルなトマトソースかミートソース。そうそう、魚嫌いな子供も多いのです。
何を食べるにしろ、付け合わせは「ジャガイモ」。茹でたり、フライにしたり、オーブンで焼いたり、ポテト攻めになるのですよ。
そして驚くのは、親がほとんど強制しないことです。
私が「野菜を食べなくても心配じゃないの?食べさせようと思わないの?」と聞くと、「強制した方が悪い結果になると思っている」というのが大半の返事でした。
唯一の救いと言えるのは、「野菜スープを裏漉ししてポタージュ状態にすれば食べる」という意見。ですから冬場は週に2回くらいは野菜のポタージュを食べさせているマンマは結構存在します。
ポテトケーは、ポテトピューレの間にハムやチーズが入ったオーブン料理
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