別名「緑の金(L’Oro Verde)」と言われるオリーブの実
みんなが大好きなイタリア料理、世界中で愛されているイタリア料理、レストランだけではなくご家庭で作られる方も多いかと思いますが、イタリア料理を作る時に欠かせない物とは何でしょう?
トマトもチーズも主要な食材でありますが、これがなくては作れない材料、それがオリーブオイルです。それも良質のエクストラ・バージン・オイルが必要となります。
日本でオリーブオイルが注目され始めたのは、バブルの時期80年代半ばから90年代。イタリアンブームがきっかけとなり、オリーブオイルの美味しさが広がりました。
今ではスーパーでもコンビニでも手軽に買えるようになり、種類も豊富になっていると思います。
しかし実際にその本当の力を知っている人は、どのくらいいるのでしょうか?
地中海地方でオリーブオイルが使われるようになったのはなんと今から6千年くらい前、絶世の美女と言われたクレオパトラも使っていたそうですよ。
シチリアに関して言えば、紀元前700年頃のギリシャ人統治下からオリーブの栽培が盛んに行われていました。その後古代ローマ人に引き継がれ、その後かなり長い間低迷したものの15世紀に入って再び力が注がれるようになりました。
左上:収穫作業はかなりの重労働、右下:現在搾油所はコンピューター化が進んでいる
世界の生産量を見ると、1位はスペイン、2位がギリシャ、そして3位がイタリアです。オリーブの種類は1000種類以上あると言われ、イタリア国内では540種、シチリア州ではおよそ40種類作られています。
シチリアのオリーブ畑は17万ヘクタール、プーリア州、カラブリア州に続いてイタリアで第3位の面積を占めています。
ここでオリーブオイルの製造方法を簡単にご説明しますと、毎年10〜11月頃、オリーブの実を収穫し、まずは洗浄、付着している葉っぱなどを取り除きます。
その後潰す作業、そしてペースト状になった物から水分だけ取り分けます。最後に、脱水機のような遠心分離機にかけて、油と水分を分けます。
遠心分離機がなかった昔は、ペースト状の物をテラコッタの大きなツボに入れて保管、徐々に種や固形部分と水が下に溜まり、上に浮いたオイルを汲み取っていました。
実の重量に対して摂取できるオイルの量は大体15〜17%、20%まで上がることもあります。気候に左右されるので、今年のように収穫前に雨が多いと実が水分を多く含み、その分オイルの摂取量が減ってしまいます。
まさに一番搾りのオリーブオイル!
気候と土地の高度、その年の天候によって多少のずれはありますが、暖かいシチリアでは早ければ10月中旬、遅くても11月中旬には収穫。
北イタリアでは12月に入ってから・・・という所もありますが、とにかくみんなが楽しみにしている時期であります。
勿論イタリアでもスーパーにずらっと並んでいますが、私は毎年秋に搾油所へ行き、直接一年分を購入します。オリーブの収穫時は決まっていますから、一番搾りが手に入るのも一年の中で秋だけです。
我が家は大人2人暮らしですが、毎年30ℓは購入します。
来客も多いのでそのくらいは消費するのですが、この一年は度重なるロックダウンでホームパーティもほとんどできず、去年の物が残ってしまいました。それはお料理に使う事になりそうです。
Written by 桜田香織(イタリア)