私は中国人旦那さんと結婚して、現在彼のご両親と一緒に4人で暮らしています。
今回は暮らしの中で気づいた妊娠や結婚感の違いや、葛藤の中で見つけた大事にしていきたい考えについて書いていきたいと思います。
入籍から半月ぐらいが経った頃、義理の母から「子供を早く作ってね」「早く孫の顔が見たい」「自分たちが健在のうちに早く産んでね」「あなた本当に息子が好きなの?」「子供はどう考えているの?」・・・・・と毎日毎日言われるようになりました。
飲茶の席で隣に小さな子供が走り回るのを見ると、「あなた達も早くね。年齢も年齢なんだから。子供を産んでこそ立派な“家族”になり、一人前の“女性”になるのよ」と言われる始末。
私は子供についてはあまり急いでおらず、1,2年後ぐらいにと考えていました。
なぜ毎日のように急かされなければいけないのか、そして今まだ子供がいない自分が全否定されているような気持ちになり、溜まりに溜まった私はある日義理のお母さんと大喧嘩してしまいました。
以前、20代の中国人女性の友達が年末年始に実家に帰ると親から「いつ結婚するのか、彼氏がいるなら紹介しなさい」と親戚も総出で急かしてくるので故郷に帰りたくないと言っていました。
また、一定の年齢に達した女性が未婚の場合、職場等で軽蔑されたり、女性同士の日常会話の中では初対面にも限らず「あなた結婚しているの?」と百発百中で聞かれたり、日本と比べて中国では20代のかなり早い段階から結婚を意識せざる終えない環境にあると思います。
また、共働きが多い中国家庭では、おじいちゃんやおばあちゃんが孫と一緒に遊んだり、率先して幼稚園や小学校の送り迎えをしている光景をよく見かけます。街に繰り出し、ショッピングに出かけると、お腹を抱えた店員さんがバリバリ働いていたりします。
義理のお母さんが言った「自分たちが健在のうちに早く産んでね」とは、「自分たちが元気なうちにあなた達の代わりに子供の面倒を見るから、外でいっぱい働いてきてちょうだい」という中国おじいちゃんおばあちゃんならではの愛情であり義務なのかもしれないと思いました。
また現在の政策では3人まで産んでいいそうです。先日健康診断に行った時、看護婦さんに「3人まで産めるんだからあなた頑張りなさいよ!」と謎のエールをもらいました。
日本の産婦人科学会では35歳以上の人を高齢出産としているようですが、中国では20代後半以降の妊娠はかなり遅すぎる超高齢出産と認識しているように感じます。
こういった環境の中に自分を当てはめてみると、30代前半の結婚はかなり遅めの結婚、すなわちかなり遅めの妊娠出産になると考えられているのかもしれません。
中国にいるのだから、郷に入っては郷に従えで中国の習慣や風習に合わせたほうがいいのかなと考えたのですが、合わせられる所は合わせて、日本人である自分も大切にしたいし、大事にしたい部分はしっかり持っておきたいと思いました。
言葉が100%分かったとしても、理解できないこと、自分の気持ちを伝えきれないもどかしさはなんとも歯がゆいですが、思い切って自分の素直な気持ちや考えをそのまま義理のお母さんに伝えました。
真っ直ぐで愛情たっぷりな義理のお母さんは私の年齢を考慮しとても心配していることを話してくれました。私が自分の気持ちを泣きながら伝えていると、少し落ち着きなさいとそっとバナナを渡されました。
そして「もしあなたが妊娠したらね、栄養たっぷりのご飯を毎日作ってあげるよ。豚のように丸々太らせてあげるし、全力でサポートするから安心しなさい」と自信満々に話す義理のお母さん。
妊娠後のことを義理のお母さんなりに考えてくれ、最強のサポーターが身近にいることが分かった瞬間でした。
差し入れにバナナをチョイスする所は面白おかしくて、最後は二人でゲラゲラ笑ってしまいました。どこまで伝わっているのかは分からないけれど、それでもぶつかって良かったと思いました。さぁ、明日も笑顔でニーハオ!
Written by 古川智子(中国)