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「みんなが体の中で頑張ってくれている!」はたらく細胞 清水茜著

2022年7月14日

とにかくキャラクター設定が最高!

久々にコミックの紹介だ。色んな続編が出て、アニメも放映され、大人気のこのシリーズ「はたらく細胞」は外国語にも翻訳され、海外でもとても人気があるようだ。

この本を購入したのは、息子が学校の科学の授業で細胞を学び始めた時。「英語版があるなら読んでみる」ということで、早速購入した。

表紙の赤いジャケットと帽子の女の子が主人公の赤血球、全身白いのが白血球だ。ご存じの方も多いとは思うが、本書では私たちの体内でがんばってくれている細胞達が擬人化され、その活動がわかりやすく反映され展開していく。

赤血球が手に持っている荷物は、酸素だ。ご存じ、赤血球の仕事は酸素を全身に運ぶこと。体内を隈なく移動し、血管の隅々まで入り込んでタスクを実行していく。

赤血球はドジっ子で、悪い菌を知らずに運んでしまったり、時々迷子になったりするのもご愛嬌。そんなこと知らなかったし、自分の体の中でそんなことが日常的に起こっていることを想像すると、生命の神秘すら感じる。

そして、白血球はひたすらクールで強く、かっこいい。1巻の冒頭で恐ろしい肺炎球菌が登場するが、見事に捕獲し、くしゃみロケットで体外に発射にて解決、といった具合だ。

この本をおすすめする1番の理由は、とにかくキャラクター設定が最高でストーリーが楽しめること。

作者の清水茜氏がこの漫画を描いたきっかけは、当時高校生だった妹さんが理科の授業で免疫について勉強していて、「漫画で覚えたいから、漫画にしてほしい」と言われたことだという。

当時漫画の専門学校に通っていた清水氏が短編漫画を描いたのが最初だということだ。キャラクターを作ったのは妹さん。授業に出てくる免疫細胞の特徴をキャラクターに仕立て、姉に託したという。

この息が合ったコンビネーションだからこそ生み出せた傑作だと思う。

そして、次の理由はとても学びが多いということ。

日本語でも難しい専門用語がたくさん登場するのでそれだけでもかなり知識が増えるが、バイリンガル版ではそれをさらに英語でも知ることができる。

日常生活ではあまり使わないかもしれないが、海外子育てをしている方は子供の学習サポートに活かせるかもしれないし、万が一家族が病気になった場合、登場する単語があるかもしれない。

例えば、白血球が「遊走」といって、血管の壁をすり抜けて敵のところへ行けることを知っているだろうか?

毛細血管の鍵のかかった小部屋で肺炎球菌に襲われそうになった絶体絶命の赤血球を、白血球は天上板を外して現れ、救うシーンで登場する。

この遊走は、英語で「Transmigration」という。私にとって全く聞き馴染みのない単語だが、いつか使う機会が来るかも来ないかもしれないし、知っていて決して損はないはずだ。

今回は一番最初に出た「はたらく細胞」のバイリンガル版を紹介したが、スピンオフとして「はたらく細菌」「はたらかない細菌」「はたらかない細胞」「はたらく細胞Black」など、たくさんの続編が出ている。

ちなみに「はたらく細胞Black」はメタボ高血圧の人物の体内でのストーリー。

こちらはブラック企業の設定で、細胞たちにとってはかなり可哀想な環境だが、「不摂生をしていたら体内ではこんなことが起こっているのか」と痛感しながら楽しむことができる。

私もすべてのシリーズを読んだわけではないが、機会があれば子供と一緒に少しずつ読み進めていきたい作品となっている。

「自分の体の中のことをもう少しよく知っておきたい」という方にぜひおすすめしたい。

Written by 藤村ローズ(オランダ)

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