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英国田舎風新型コロナ菌との戦い

2020年3月21日
アレン真理子 (イギリス)

スーパーの棚は空っぽだが、英国人の命の糧であるアレは山積み

朝8時、スーパーにはすでに長蛇の列ができていた。先日あったジョンソン首相のスピーチの影響ということは明らかである。

小さなお子様をもつ家庭、自宅勤務が難しい職場、病院勤務、ホスピタリティー業界の方々には辛い状況であることは重々承知の上だが、自宅勤務可能で二人のティーンエージャーをもつ私にとって、学校閉鎖の知らせは「待ちに待った」ニュースだった。

2003年、中国から始まり、東南アジアを襲ったSARS (重症急性呼吸器症候群)をシンガポールで経験した私達は、このような伝染病がいかに恐ろしいか、身に沁みてわかっていた。そして英国政府の鈍い、遅い対応をみてあまりの呑気さに首をかしげることもしばしばだった。

子供達を公共機関から遠さげるため、学校までの送迎は、気休めとはわかっていても徹底した。車に乗り込んだ途端、手の消毒。コロナ菌が出始めた当初から、ハンドサニタイザーはこっそり、毎回スーパーで買っておいた。(すみません、犯人は私です!でもトイレットペーパー買い占めは今でも謎!)

さて、呑気なイギリス人も今頃になってやっと事態の重大さに気づいたのか、スーパーの棚は空っぽだった。特に精肉類は皆無。パスタもない。パンもない。野菜もない。

でも、英国人にとって命の糧である一番大事なものはここ数日でまたストックされたらしい。

もちろんそれは「紅茶」である。

イギリス人に愛されブランド”YORKSHIRE TEA ”

これさえあれば大丈夫!!とばかりにドーンと棚を飾っている。まるで今の著しい品不足を補うかのように。

今この時期、‘Social Distancing’ が奨励される中、イギリスの地方都市、ノーフォークではまだそのアイデアが浸透していないらしい。

「本当に困ったわねぇ。。。」と苦笑いしながら、イギリス人らしくきちんと列に並び、地方の村人ならではのおしゃべりに興ずる。

うーんさすが。。。と私はちょっと離れたところでじっと待つ。二人の高齢の買い物客に「もうちょっと、他人同士は距離を置いて話した方がいいんだよ。。。」と心の中でつぶやきながら。

 

イギリスもついに学校閉鎖、英国人はどう過ごす?

さて、子供達の学校はどうかというと、これはこれで心配事は絶えない。

タイムテーブルにはみっちりと、どの先生とのいつオンライン授業があるだの、宿題はこうだのと書いてある。果たしてディーンエージャーが学校のない日にぴしゃっと朝起きてきちんと宿題をこなすのか、それは謎である。

が、日本に住む妹の話ではこうしたオンライン授業はあまり行われていなくて、やることのない小・中学生が「放逐」状態であると聞いたから、それに比べればだいぶましなのかもしれない。

こんな時、イギリス人や日本人のママ友達との情報交換はかかせない。イギリス人のお友達は「5月のバーベキューパーティ予約したぁ?」などと呑気なメッセージを交わしている。

地元の友人の一人は英国政府の対応の遅さ(空港ではなんの審査もなし。感染が始まった当初から中国や感染諸国からの乗客もスルーで入国。)にぶつぶつ言う私に「これはまさにイギリス人気質の表れよ」。。。

『???』の私に彼女はきっぱり言い切った。つまりはKeep Calm, Carry on である。うーんでも、感染広がっていますよ!?

Social distancingといえば、この時ほど私たちはイギリスの片田舎に住んでいることを感謝したことはない。

元は農家の納屋を改造した我が家(これをBarn conversionと呼ぶ)には子鹿が遊びにくる広い庭があり、車で15分もあれば広大な、夏でもなぜか人が集まらない砂浜のビーチがドーンと広がっている。晴れた日に行けば犬を連れた地元の人々がゆっくりと散歩を楽しんでいる。

他人との距離は今奨励されている2メートルどころか200メートルくらいある。これで青空の中、誰にも邪魔されず、びくびくすることなく家族でゆっくりお散歩を楽しめる。幸い、近所の農家から採れたての野菜や新鮮な卵を安価で購入することもできる。

大都会のロンドンではこうはいかないだろうなぁ。。。と、東京育ちで田舎嫌いだった私も今ではすっかりこっちの生活が気に入っている。皆さん頑張ってこの暗い時期を乗り越えましょう!

Written by アレン真理子(イギリス)

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