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米企業で増加中の「プログラム・マネージャー」ってどんな仕事?

2021年9月13日
野田リエ (アメリカ)

ネイティブにも「何それ?」と聞かれた職業

今回は、わたしの会社員としての職業「プログラム・マネージャー」についてお話ししたいと思います。

日本では、まだ馴染みのない職種かもしれません。

その昔、ウィンドウズに「プログラムマネージャ」と呼ばれるフォルダが存在していたせいか、「職業は?」と聞かれて「プログラム・マネージャーです」と答えると、ネイティブにさえ「それはどんな仕事なの?」「プログラマーのマネージャーってこと?」などと聞き返されることがあります。

実はわたし自身も、実際にこの職に就くまでは聞いたことがなく(笑)、ネイティブなら知ってるだろうと高を括っていたらそういう訳ではありませんでした。

テク系に限っての肌感覚ですが、ここ4,5年で一般化してきている職種という印象を受けます。

企業や業種によって具体的な業務内容はもちろん異なりますが、ひとことで言ってしまうとプログラム・マネージャーは「プロジェクトの集合体を管理する人」です。

 

プログラムとプロジェクトの大きな違い

わたしは子供の頃、運動会やお遊戯会などで「プログラム」といったスケジュール表が配られた記憶があるのですが、皆さんはいかがでしたでしょう?

プログラム・マネージャーとは言わば、「運動会の運営委員長」のようなものです。

例えば、ある小学校の運動会の種目に綱引き、玉入れ、リレーがあったとします。

それらの準備は整っているのか、予定通りに行えているのか、生徒を管理する教師陣は、生徒の面倒をちゃんと見ているのか、備品は予算内で足りているか、助けが必要なことはないかなど、全体的な流れを見るのが主な仕事です。

「プロジェクト」は綱引き、玉入れなどの個々の競技と置き換えてみましょう。

綱引きのプロジェクト・マネージャーは、綱引きの「準備と進行の責任者」で、その競技にのみ専念しています。玉入れとリレーで何が起こっているかは知り得ません。

他の競技の影響で時間変更などがあった場合は、プログラム・マネージャーが全体に連絡し、運動会の進行を調整しなければなりません。

このようにプログラム・マネージャーは、それぞれのプロジェクト・マネージャーと連携を取り、運動会の成功を目指して舞台裏でごそごそやっている黒子のような存在なのです。

プログラム・マネージャーが「プロジェクトの集合体を管理する人」ということ、何となく分かっていただけたでしょうか。

 

プログラム vs プロジェクトの温度差

プログラム・マネージャーとプロジェクト・マネージャーについて、もう少し説明していきます。

企業によっては仕事内容が被ることもままありますが、キャリアパスとしては、プロジェクト・マネージャーとして現場の状態を十分に把握した上で、予算や売上、工程の管理・見直しなどを行うプログラム・マネージャーへと進む場合がほとんどです。

この辺りは、日本企業と同様かと思います。

実際にプログラム・マネージャーになってみて感じるのは、プロジェクト・マネージャーとの温度差です。

現場のエキスパートであるプロジェクト・マネージャーは、純粋に自分の受け持つ仕事を達成するための目線で不都合や不満をぶつけてくることがあります。

そして、それらのフィードバックを基に工程の改善に務めるのがプログラム・マネージャーの仕事です。

そういう役回りではあるんですが、分業化の度合いが高くなるほど、求められることがそのプロジェクトに特化したものになりがちなので、一筋縄ではいかないことが多いです。

運動会の例えに戻りますが、綱引きの改善に必要なことが玉入れの改善にも繋がるかというと、必ずしもそうだとは言い切れませんよね。

「早くなんとかしろー!」とせっつかれても、「そう簡単にいかねーんだよ」となることもしばしば。

この仕事に就いてから、政治の複雑さがほんのちょっと分かった気がします。同時に、プログラム管理からマネジメントの奥深さと面白さも学びました。

これから日本でも増えるであろうプログラム・マネージャー職についてのレポートでした。参考になれば嬉しいです。次回もお楽しみに!

Written by 野田リエ(アメリカ)

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