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銃を持った不審者が突然入ってきたら?アメリカで銃刀事件に備えた避難訓練を経験して

2021年9月30日
スペイツ由美 (アメリカ)

銃を持った不審者が入ってきたらどうする?

先月は、アメリカの銃刀事件の現実について書きました。最近は日本でも通り魔的な事件が多いようですが、日本のそれと決定的に違うのは、拳銃が持てるアメリカでは、銃を使うことで短時間で多くの被害者が出ると言うことです。

私は渡米して18年になりますが、特にここ10年くらいで銃刀事件が大幅に増えてきたと感じています。以下のチャートは2015年までのものですが、明らかにこの後も件数は増え続けています。

日本人ですと、地震の避難訓練はほとんどの人が経験したことがあると思います。私は2015年と2018年に銃刀事件の際の避難訓練(英語でDrill)というのを経験したことがあります。

講習会を希望する場合は、地域の警察署に予約をして、警察官が学校や自治会で講習会を開催してくれるのです。

1度目は補習校での講習会でしたので、受講者は全員日本人(職員対象)でした。2度目は地域の自治会での講習でしたので受講者は全員アメリカ人でした。この2回の講習会で、私は明らかに文化の違いを見ました。

講習会で警察官からの「不審者がいきなり銃を持ってドアから入ってきたら、あなたはどうしますか?」という問いかけに対して、日本人は全員「両手をあげて降参(抵抗しないポーズ)を取ります」と答えました。

アメリカ人は、「逃げる」「隠れる」「そばにあるものを盾にする」「攻撃する」「ものを投げる」などのアクションを取ると答えた人が圧倒的に多かったのです。

皆さんだったらどうしますか?想像がつくでしょうか?

 

アメリカでは地域によって状況が大きく違う

この10年くらいで銃刀事件の件数は大幅に増加

講習会で警察官が教えてくれたのは、「乱入してくる銃を持った不審者は最初から殺すつもりで来るので、両手を上げて降参しても打たれます」ということでした。

実際にロールプレイングで、偽の拳銃を持った警察官が犯人役になり、入口から入ってくるという想定で訓練をしたのですが、全く躊躇することもなく歩きながら手当たり次第に乱射していくのです。

訓練ではたったの2,3分の間に職員が全員打たれてしまうほどでした。その訓練を受けた時に、私は銃の恐ろしさを知りました。

前回のコラムで書きましたように、現在のアメリカ合衆国では銃による自殺・他殺・事故が毎日のように起こっています。

報道を見ていますと、事件の多くは深夜から朝方にかけて、若者が加害者・被害者になることと、飲酒に伴うことが多いです。

銃を所有する地域や支持政党についての傾向も調査されていますので、参考までにご紹介します。

2021年4月の調査によると、農村部のアメリカ人は通常、より広範囲の銃へのアクセスを好みますが、都市部のアメリカ人はより制限的な政策を好みます。農村部は共和党、都市部は民主主義的である傾向がありますが、このパターンは各政党内でも当てはまります。

たとえば、地方の共和党員の71%は、都市部に住む共和党員の56%と比較して、教師や他の学校関係者が幼稚園から高校までの学校で銃を携帯できるようにすることを支持しています。逆に、都市部に住む共和党員の約半数(51%)は、農村部に住む共和党員の31%と比較して、暴行型兵器の禁止を支持しています。

参考資料:【アメリカ人と銃についての重要な事実|Pew Reserch Center】

参考資料にありますように、州によっても、州内においても、地域によって事件数が大幅に違ってきます。

今はコロナの影響で渡米される人たちも少ないかもしれませんが、アメリカに旅行に来る時には、行き先の安全性を十分に確認されることをおすすめします。

その州の日本領事館などでも情報を提供していますので、参考にされたらいいでしょう。

先月・今月と2回に続き少し物騒なお話を書きましたが、自由の国アメリカ・芸術もスポーツも音楽にも優れた人たちがたくさんいますし、雄大な大自然に恵まれた美しい大陸でもありますが、このような現実も現代のアメリカのもう一つの顔であります。

銃のセールをしているアメリカ・スポーツ店のチラシ

Written by スペイツ由美(アメリカ)

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