スーパーへ買い物に行くのにポケットに拳銃を持って行く、そんな社会ってみなさんは想像できますか??
日本で報道されているかはわかりませんが、数年前からアメリカでは銃に関する規制が大きく緩和されました。州によっては、日常の生活に拳銃を持ち歩くことが合法になっているところもあるほどです。
アメリカ合衆国では、憲法によって”武装する権利”が保証されています。元々は、1775年〜1783年まで続いたアメリカ合衆国独立戦争の頃に、個人が身を守るためにできた憲法だそうです。
それから250年経った今は少し意味合いが違うような気もしますが、「自分の身は自分で守る」というところは今も共通していますね。
州によっては、広大な山林や平野、砂漠の地域もあります。そんな地域で、例えば強盗が家に入った時に911で警察を呼んでも、物理的に警察がすぐには駆けつけられないわけです。
そのようなところでは、護身という意味でも拳銃が必要なこともあるのです。
今回は、アメリカ合衆国の銃刀事件の現状についてお伝えします。
みなさんはご存知かわかりませんが、実は近年のアメリカは物騒でもあります。私が渡米した20年近く前には想像もつかなかったニュースがあまりにも多くて、おそらく多くのアメリカ国民も少し麻痺してきていると思います。
特にここ5年くらいで、拳銃を購入することがその前とは比べ物にならないほど簡単になりました。
ミシガン州の例では、以前は州に届けを出すことが義務付けられていたそうですが、今はレジストレーションなしで拳銃を購入できます。実際にスポーツ店などでもライフルや小型の拳銃が売っています。
GUN VIOLENCE ARCHIVEより
アメリカのイメージというと、、、ポジティヴ思考・気さく・肥満・大陸・自由・ファーストフードなど、様々なキーワードが出てきます。どの言葉も確かにアメリカっぽい印象を受けますね。
しかし、近年で起こっているマスシューティング(大量銃殺)などの様子を見ていると、自分の身を守るために拳銃を使うというよりは、個人の腹いせにとか、道連れに他の人を殺すなどという理由が多くなってきていることは否めません。
加えて拳銃の購入が安易になったことで、ますますマスシューティングの件数が増えているのでしょう。また、驚くことに拳銃の購入が安易になったことで、銃による自殺の件数も増えています。
今年の1月から8月末までの件数を見ましても、全米での銃刀事件が28921件起こっています。その中で他殺が13279件、銃による自殺が15642件起きています。(GUN VIOLENCE ARCHIVEより参照)
また銃乱射事件は、8月末までに452件も起きているのです。全米で見て、平均して一ヶ月に56件も銃乱射事件が起きているという計算になります。
私の住む街でも、治安の悪い地域では、ほぼ毎日のように銃刀事件が起こっています。街の中心では「銃反対」のデモをやっていますが、なかなか現実の規制には結びつかない様子です。
今やアメリカ全体が、自由に銃が手に入る世の中になっているわけですから、そう簡単には回収することもできないでしょう。また、正式な申請なしで購入できるということは、事件が起きた時に個人を特定することも困難になっているはずです。
最近では、幼い命が奪われるケースも多発しています。パンデミックの問題もさる事ながら、銃社会の問題は現在のアメリカの大きな問題でもあるのです。
Written by スペイツ由美(アメリカ)