オーストラリアに住んでいると言うとよく、「オーストラリアの食べ物って何ですか?」と聞かれることがある。
TimTam(チョコレートビスケットの菓子)、カンガルージャーキー、ワニジャーキー、ベジマイトなどが、観光客のお土産リストの上位を飾る食べ物なのかもしれないが、オージーたちが「これぞオーストラリアのソウルフード」と豪語する食べ物といえばやはり、バーベキューと冷たいビールと言えるだろう。
今回はそんなオーストラリアの食べ物で、スーパーで気軽に手に入る、しかしながら目を疑ってしまう食べ物3品を紹介しよう。
オーストラリアのアイコンの一つに君臨し、「ルー」の愛称で親しまれるカンガルーのステーキ肉。
自然動物保護においてかなり厳しい法律が制定、施行されているオーストラリアだが、カンガルーは一部の地域では害獣と認められているようで、厳しい規定の下で定期的に駆除が行われている。
動物保護団体の多くはこの「カンガルー駆除」の廃止を強く要請しており、なかなか複雑な気持ちにさせるこの商品。
カンガルーの肉は脂肪が少なく良質なタンパク質を含んでおり、オーストラリアの先住民、アボリジニ民族の重要なタンパク源のひとつでもある。
意外と淡白なお味で、クセや匂いもほとんどなく、食べやすい味だと言えるだろう。
もうかれこれ20年前になるだろうか。オーストラリアに語学留学に来たばかりの頃、スーパーの缶詰コーナーでこれを見つけて仰天した思い出は今でも鮮明に残っている。
この商品を目にした瞬間に恐ろしいほどのブヨブヨ麺が脳裏をよぎり、「絶対に食べたくないぞ!」とジャッジした私。
あれから歳月が流れ、今はたまに仕事でこの缶詰を使って朝食を作るようになった。
私がサポートしているオージーのクライアントの朝ごはんのリクエストに応え、こんがりと焼いたトーストの上にこのスパゲッティをのせて、その上に目玉焼きを乗せるのだ。
今回このコラムを書くために、初めて自分用に購入したスパゲッテの缶詰。
恐る恐る食べてみると、どろりとした甘めのトマトソースが絡んだパスタは、とてもじゃないが「パスタ」とは言えないほどの軟らかさ。
あ、でも、もしかしたら離乳食代わりや飲み込むのが少し困難な人々には「食べやすいスパゲッティ」なのかもしれないな。
このコラムを書くにあたり、先日スーパーの缶詰コーナーを訪ねた際に偶然発見したこの商品。
オーストラリアには20年近く住んでいるが、今回この商品の存在を初めて知り、かなり驚愕!
オーストラリアを長きにわたり統治していたイギリスの代表的フード、ベイクドビーンズに、なんと、オーストラリアのスピリットとも言えるベジマイトを混ぜちゃったというかなりの力技。
オーストラリアの独立を誇示しているのか、それとも、過去のことは水に流して仲良く一緒にやっていきましょうというアピールなのか。
まぁ、そんな政治的なことはさておいて恐る恐る口に入れてみると、ベジマイトの味はほとんどせず、「コクがある、ちょっとオトナなベイクドビーンズ」な感じ。個人的には結構好きなお味。
今回はスーパーで簡単に手に入る、オーストラリアの一風変わった食べ物3品を紹介しました。
オーストラリアにお越しの際に挑戦してみませんか?
Written by 野林薫(オーストラリア)