フランスの長いヴァカンス、実は経済効果抜群だった？！嫁姑問題対策も？

イエールにて、友人と夕飯後の団欒

フランスの長〜いヴァカンス

ボンジュール、ベルギー在住4年目、海外在住21年、茶道講師、ホーゲデウア容子です。皆様、今年の夏はどのようにお過ごしですか？

ヴァカンスといえば、フランスの長〜いヴァカンスは有名。

「植民地時代の名残だよね。働かなくても、優雅にヴァカンス取れるんだから」とか、「暗くて寒い冬が長いから、短い夏を思いっきり楽しむのに夏のヴァカンスは必須」とか、「フランス人の個人主義から来ている」「自分の楽しいことを優先する精神が根付いていて、このスタイルが定着してしまった」などなど、色々な説を聞く。

諸説あるものの、結局はどれも合っていて、理由はともあれ、やっぱり羨ましいと思っている方も少なくないはず。

日本人は有給休暇も全部消化したらそれだけでも万々歳、いや、罪悪感さえ感じている人もいるのではないだろうか。

昭和生まれの私も多分に漏れず、オーストラリア在住中に2週間の休みを平気で取ろうとするオランダ人の夫に、「そんなにとって会社員として大丈夫なんだろうか？」なんて心配してしまったことがあるくらい。今となっては懐かしい。

レストランも個人事業主もほぼお店ごと休業

南フランス、コートダジュール、イエール

8カ国いろいろな国に住んだが、基本的に働き者で「働かざる者食うべからず」の精神が強いアジア圏を除き、しっかり休みはある。

それでもフランス語圏に来て感じるのは、会社で長い休みが取りやすいだけではなく、レストランも個人事業主もほぼお店ごと休業して、街全体が日本でいう年末年始の雰囲気になること。

大手の企業は営業してはいるものの、社員も半分はオフィスにいない状況。それが3週間から1ヶ月、ほぼ通常通りに機能しないという期間がこんなに長いのである。

「えー、不便じゃない？」は日本人の反応だが、そう、不便で良いのだ。

不便でもそんなに困ることはない。ないから自然とみんながスイッチオフできて、充電期間になる。

「そんなに長いことヴァカンスで、どうしてそんなにお金があるのかしら？」と疑問に思うかもしれないが、フランスのヴァカンスは、日本の休みのように行きたかった旅行に行くとか、素敵なホテル滞在とか、特別イベント旅行をする人はほぼいない。

実家、祖父母の家、親戚又は友人の家、余裕のある家族は自分たちの田舎のセカンドハウスを購入して、そこで過ごす。

ゆっくりと美味しいものを一緒に作って、お友達を招待し、ワイン飲んでお話ししながら明るい夏の夜を堪能するものなので、ヴァカンスは贅沢なお金は出ない。

フランス語で義理両親は「美しい両親」

地元のマルシェで購入したディップと野菜チップで、アペリティフ

古今東西、義理の両親への訪問も堅苦しいし、苦手な人も多いかもしれない。はっきり物申すのヨーロッパ人も、喧嘩の一つもあるかもしれない。

でも、意外にあまり耳にしない、嫁姑問題。この理由が、実はこのヴァカンスにあるのではないかと思う今日この頃。

日本語で「義理両親」のことを、英語では”Parents in law”と言う。直訳すると、法律上の両親。フランス語では”beaux-parents”。直訳すると、美しい両親。なんて粋な言い方。

本音はどうであれ、建前は、愛しているパートナーの美しい両親。言霊があるとすれば、ヴァカンスでいつも自分たちを迎えてくれる美しい両親だから、敬意を持って接するとなる。

「毎年お世話になる大切な家だから、それなりに気を遣っておこう！」と考えるし、子供達も楽しみにしている、長い休みの子供達を早めに実家に送って自分は仕事に集中できる。とてもありがたく大切な存在だ。

「義理だ、義理だ」と言っていると、義理で会わなくてはいけない相手になる。嫁姑問題を超えて、休みが少ないのを理由に、お互いの義理両親にはあまり会わないという現代カップルも多いのではないだろうか。

これに比べると、フランスは建前でも義理両親とは仲良くするし、ヴァカンスのお陰で田舎の過疎化は防げているかもしれないし、孫と祖父母の思い出の田舎、これは経済効果抜群の習慣ではないか？！

「フランス人って、遊びながら経済回してるって粋じゃない！？」と驚きのフランスヴァカンスカルチャーなのである。

今年の私の何もしない贅沢な休暇の、南フランスはコートダジュール・イエールの海辺の町からのつぶやきでした。これはあくまでも、最近のベルギー、フランスを感じての私見です。

友人のセイリングボートの猫と戯れる、イエールのハーバーにて

Written by ホーゲデウア容子（ベルギー）