先日、息子の歯科矯正医院からメールが届いた。
「あなたの装具治療は終了し、正式に治療が完了しました。結果にご満足いただき、楽しい時間をお過ごしいただけたことを願っております」
そういえば、少し前にクリニックの予約があり、息子が自分で行っていたが、あれが最後の通院だったということをこの時知った。
始めたのが2021年2月だったので、卒業までほぼ3年間。長いお付き合いだったが、終わってみたら数ヶ月ごとの通院がなくなり、寂しい気もする。
今回は、欧米での歯科矯正事情について、現地在住ママの立場から書いてみたい。
あれは息子が12歳前後になった頃、息子の同じ年代の地元の友達たちが一斉に歯の矯正器具を付け始め、インターナショナルスクールのお母さんたちの間でも、歯科矯正のことがよく話題に上がるようになった。
「どこのクリニックがいい?」とか「費用はどのくらいかかる?」とか「保険のカバーは?」とか、すでに始めた子の親が色々教えてくれる。
日本でもそうだが、海外でもママ友ネットワークの情報はとても貴重で、実際に通った人から直接聞くのが一番確実で手っ取り早い。
永久歯が生えそろうのが12〜14歳頃なので、まさにそのタイミングで欧米の子供達は歯科矯正を始めるのが一般的なようだ。
息子が始めたのも13歳の時。2021年といえば、コロナの真っただ中ではあったが、なんとか予約を取って通い始めた。
通い始めたのは2021年だが、実は私はその前の年から準備を始めていた。
それは、保険の準備。健康保険を切り替えて、歯科矯正をカバーしてくれるものに切り替えていた。
オランダは日本と同様、皆保険制度の国であるが、保険会社は民間企業から自分で選択する。なので、何をどの程度カバーしてもらうかによって、掛け金も結構変わってくる。
オランダの場合、歯科矯正の費用は2000〜3000ユーロ(今のレートで32万円〜48万円くらい)くらい。
大手保険会社CZでは18歳までは最高80%、2045ユーロまでカバーしてくれるとのことで、こちらの会社と契約した。ちなみに大人は345ユーロまで。
歯科矯正を健康保険に負担してもらうためには1年間の待機期間があるので、開始したいタイミングに合わせて準備する必要がある。
健康保険を切り替えることによって、毎月30ユーロくらい多く払うことになったが、待機期間から終了までの4年間、やはり自己負担するよりお得だ。
オランダでは子供の歯科矯正は一般的と言っても、すべての人がそういう訳ではない。当時掛かっていた自然派のかかりつけ歯科医には「ファッションだ」と言われた。
でも、私に似て顎が小さい息子は、歯並びが少しギザギザしていて、噛み合わせもずれていた。私は大学生になって始めたが、息子は「スポーツをしていく上でも噛み合わせは大切だろう」と考え、踏み切った。
治療法はおそらく日本とほぼ同じだと思う。息子の治療はスムーズにスケジュール通りに進んでいった。たまに器具が代わり、歯を動かす期間は痛みが伴う。
それは仕方のないことだが、周りの子供と同じタイミングでやって良かったと思ったのが、痛みや情報を共有できること。
「その器具が終わったらあまり痛くなくなって、どのくらい」といった情報を子供同士で話すので耐えやすそうだった。蓋を開けてみたら、息子の友達ほぼ全員が歯科矯正を行なっていた。
外せない器具が2年くらい、その後は夜だけ装着となり、それは卒業した今ももう少し続けるように言われている。
確かに歯科矯正は一度綺麗になっても、止めたら少し戻ってしまう。私も留学してクリニックに通えなくなり少し戻ってしまったが、また直すほどではないかと思っている。
やはりヨーロッパで生活していると、人々が歯を大切にしており、歯に関しては日本人はかなり後進国だと思感じる。「痛いから」と極力行かないようにしている人も結構いる。
欧米では真逆だ。定期検診に行かないと保険が効かなくなってしまうので、大人も子供も定期的に歯科医院に通う。一定の層以上で歯並びの悪い人はほとんどないし、歯周病の人に出会うこともほぼない。
歯はただのファッションではなく、健康のためにとても大切なものだ。私は日本に住んでいる時から歯医者さんが大好きなので、この話題についてはいくらでも書けそうだ。
Written by 藤村ローズ(オランダ)