先日、「マカオに転職で給料4倍」というネットニュースが話題となった。
日本の料理人がマカオのレストラン副料理長に転職したことで、年収がそれまでの4倍、歯科を含む医療費も会社全額負担という内容で、日本との待遇の差が大きすぎると話題になったというもの。
確かにマカオはお金持ちの国である。
2018年のマカオの1人あたりGDPは約1350万4167円で、カタールの約1418万9138円に次ぐ世界2位。2020年にはカタールを抜いて世界1位になるとの見方もあるそう。ワーオ!
そもそも、マカオってどこ?原油で儲かってるの? という方も少なからずいるであろう。
一昔前の日本でもマカオは全然知られていなくて、私がマカオ人と結婚すると知った友人の一人は、
「彼氏、黒人なの?!」と興奮気味に聞いてきたくらいだ。頭の中で、マカオ⇒カカオ⇒アフリカ⇒え、黒人!? という図式になった模様。
マカオは香港の西70Kmに位置する、中国の中の特別行政地区。マカオはアジアに位置していて、原油は出ないし、もちろん石油王もいません。
中国大陸の南海岸に突き出た半島と2つの島から構成される地区で、1999年にポルトガルから中国へ返還されて以降、一国二制度をとっている。そのため、中国とマカオ間でも入出国には、パスポートや通行証が必要なのです。
世田谷区の半分ほど(28㎢)の広さに66万人近くが居住している。人口密度高し!
ちなみに、東京・大阪・福岡からマカオ航空により直行便が飛んでいます。
そんな小さなマカオがお金持ちなのはマカオの主産業であるカジノ税収のおかげ。それまで一企業が独占していたカジノライセンスを、2002年に公開入札で複数の外国資本へも付与してから、急激な経済成長をとげている。
そのお客さんといえば、ほとんどが中国人。他には日本、香港、韓国といったアジア勢が多く、近年は「ラスベガスの収益を超えた」などの実績から海外の富裕層も足を運ぶようになっているという。
2017年度のマカオ政府の歳入は約1兆5510億円。そのうちゲーミング税の割合が歳入の80%となる。カジノやゲーミング企業の税率は約40%であるのに対し、一般企業や個人所得に対する税金は最高で12%とかなり低い。
歳出は約1兆0206億円で、5304億円のプラス収支。しかもマカオ政府は、借金を1円も抱えていない。
カジノ、ホテルは増加の一途で常に求人がある。ホテル側は従業員確保のために、福利厚生および給与の水準を下げることはない。そうでなければ、ライバルカジノ企業へ簡単に人が流れてしまうから。カジノ産業の競争拡大に伴い給与水準も上がっていると感じる。
マカオ政府は豊富な収益を、医療費、学費の負担、光熱費の一部補助や現金配布といった形で住居民へ還元しており、充実した福利厚生。街にはホームレスを全くと言っていいほど見かけない。
カジノ産業の町、マカオ居民の生活は、「給与水準の高さ」と「政府の手厚いサポート」によって、豊かな生活を送っているのです。
私はマカオ在住14年。マカオの小ささに飽き飽きだ!と口にしながらも、離れられないでいる理由がこの恵まれた生活環境であることは否めないのである。
Written by 周さと子(マカオ)