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オランダの緊急医療制度。初めてオランダの救急病院に子供を連れて行った話

2020年12月8日
藤村ローズ (オランダ)

オランダ救急外来での診察

10分くらいで名前を呼ばれ、当番医が待機している診察室に入りました。一通り症状を説明して、簡単な診察を受けます。

「どのような状況で発症したか」「どんな症状があるか」「どこがどのように痛むか」など、できるだけ詳しく伝えましょう。

ドクターの質問にオランダ語で答えられるほど、息子の意識ははっきりしていましたが、めまいと吐き気は続いており、診察中に2度も戻しました。持参していたスーパーの袋とトイレットペーパーが役に立ちました。

医師は一通り診察を終えると、小児科医の意見を聞くために院内電話を掛けました。

ここで大丈夫だと判断されると帰宅できますが、専門医の診察が必要な場合は次の診察へ進むシステムになっているようです。

小児科医の意見は「診察が必要」で、一旦待合室で待つように言われました。

待合室で5分ほど待った後、今度は医療機器とベッドの備わった個室へ通されました。

看護師さんにまた症状を説明し、看護師さんはコンピューターに入力していきます。そして、血圧や心拍数をチェックする器具につながれました。

医療機器の電子音が物々しく聞こえること。他の部屋からは子供の泣き叫ぶ声も聞こえてくるし、ストレッチャーで救急士さんに運ばれてくる人もいます。

救急に来てしまったのだなと不安な気持ちになりました。

 

オランダの医療制度はとても合理的

看護師が「しばらく待っててね」と出て行った後、小児科医はなかなか来ませんでした。時計を見ていた訳ではありませんが、15分以上はかかったでしょう。

やっと来て、診察を始めようとしたらコール。緊急を要する患者がいるようです。ちなみに小児科医は3つの電話をぶら下げていました。ドクターも大変ですね。

幸い息子の症状は落ち着いていたので、落ち着いて待つことができました。

さらに待つこと15分ほどでしょうか、小児科医が戻ってきました。また症状を説明して、指の動きを目で追いかけたり、まっすぐ歩いたりするように指示されました。

すると動いたのが影響したのか「目が回る!」というと、また戻し始めた息子。意識ははっきりしているのですが、戻す回数が多いのが心配です。

戻し終わるとすっきりする息子。息子の状態が落ち着くと、小児科医はシニアアドバイザーと相談するために部屋を出ていきました。

最初に通された普通の診察室から、必要に応じて高度な医療が受けられるシステムは、とてもオランダらしく合理的だと感じました。

15分ほどで小児科医が戻ってきました。念のためにCTを撮るとのこと。そう決まるととても早くて、すぐに車椅子を押した看護師さんが入ってきました。

息子を座らせると、そのままCT室へ移動です。私も後をついていきます。病院内部は複雑で、迷路のようです。ちょっとよそ見をしていると迷子になりそう。

途中救急隊員さんに押されて来るストレッチャーに乗った人ともすれ違いました。静かですが、やはりここは緊急外来です。

 

備あれば憂いなし。在住国の救急救命制度について確認しておこう

実際の病室。無事が確認できるまで明るい内装にも気付かず…

CT室には私は入れないので、ドアの前で待ちます。CT撮影はものの1、2分で終わり、息子はすぐにまた車椅子に乗って出てきました。

再び同じ迷路のような通路を通って、先ほどの個室に戻ります。看護師さんはまた医療器具を接続すると、医師が来るまで待つよう指示されました。

この待ち時間が結構長く、息子が「眠い眠い」と言うので意識が混濁しているのではないかと心配になりました。が、夜9時を回っていたので単純に眠かったようです。そのうち眠ってしまいました。

30分ほど経って、小児科医が入ってきました。息子は寝ています。声を掛けて起こしますが、なかなか意識がはっきりしません。心配になりますが、医師は落ち着いていている様子。

「CTは異常なしでした。出血や浮腫も見られませんでした。脳震盪ですね」これを聞いて一安心の私。息子もだんだん目覚めてきました。

「もう家に帰っても大丈夫です。でももし症状が急変したらすぐに連絡をください」などという説明とともに、これから起こりうることや対処法などをまとめたプリントをくれました。

また車を運転して、自宅に到着。時間はすでに夜11時を回っていました。息子はまた「眠い」と言ってベッドへ直行、すぐに眠ってしまいました。

息子の寝顔を見ながら、安堵のため息が出てきました。まだ安心はできませんが、とにかく無事でよかった。普段元気でいてくれることに感謝。

迅速な対応をしてくれたオランダの医療制度にも感謝です。この日の医療費は後日請求が来ましたが、全額保険でカバーされました。

オランダ語で「6歳の子供から大人の脳損傷」と書いてあり、やはり物々しい…

冒頭に述べたとおり、アクシデントはいつ誰に起こるか分かりません。本当に、備あれば憂いなしだと思います。

住んでいる国の緊急医療制度について、事前にしっかり確認しておくことはとても大切だと思います。予備知識があるだけでも全然違います。

また子供を守ってあげられるだけの語学力も必要です。海外に長期的に住む以上、語学の習得から逃れることはできません。最低限の医療用語も知っておく必要があると思いました。

英語力をもう一段階上げるために洋書の割合を増やし、遠ざけていたオランダ語学習にいそいそと取り組み始めた私です。

Written by 藤村ローズ(オランダ)

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