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2021年夏、スペイン・バルセロナの世界遺産、サグラダファミリア聖堂を訪れて

2021年9月27日
ホーゲデウア容子 (ベルギー)

今は観光のチャンス!?

世界遺産を観に行ったはいいが、観光客の多さに辟易して、感動できなかった経験はないだろうか?

そんな方にとっては、観光客が少ない今、近くの世界遺産や国宝級の建物を訪れるチャンスかもしれない。

この夏、ベルギーから、スペイン、バルセロナでバケーションを取る機会に恵まれた。車で帰るルートで「やっぱり世界遺産のサグラダファミリア聖堂を観たい!!」と思った。

スペインも赤ゾーンになっていたし、バルセロナは大きな都市だから、他の都市よりさらに状況は悪いとも耳にした。バルセロナで会えるかもしれなかったベルギー在住の友人も、バルセロナ行きを既に断念していた。

非常に迷ったけれども、「ここまで来ているし、できる限り気をつけて行こう」と最終的に決行。

予約していたサグラダファミリア近くの宿泊先をキャンセルせず、予定通りバルセロナに3泊することにした。パンデミックで何がどうなるかわ分からないので、ギリギリでもキャンセル可能な宿泊先を予約していたのだ。

無事に宿泊先にチェックインした後、犬の散歩がてら、「サグラダファミリアはどの辺だろう」と歩き始めたら、突然、その壮大な教会が目の前に現れたではないか!純粋に、「リスクを取って来て良かった!」と思った。

 

観光客が激減で、普段の様子と全く違う

彫刻家ジョゼッフ・マリア・スピラクスによるキリストの苦難を伝える象徴表現

「世界中から人が来るだろう」とガウディは予測していた通り、サグラダファミリアはスペイン人だけではなく、世界中の人から愛されている。

実際、スペイン人より世界の人の方がこの教会に感謝感激しているのではないだろうか。大きく聳え立つ優雅で、自由なデザインは、世界中の建築、芸術好きな大人、そして子供達をも魅了している。

普段はディズニーランド並みの長蛇の列となるようで、予約のページには「ファーストパスを買うと、長く待たなくていいよ!」といった表示が出てくる。

この夏は、もちろん観光客はグッと少なく、普通の予約で待つことは全くなかった。地元の人に聞いてみると、観光客が激減で、普段の様子と全く違うとのことだ。

時間制で申し込み、その10分前から入れてくれる。多言語でのガイドもあるが、英語、フランス語のガイドは、3日前の申し込みではすでに遅かったようで、予約は不可能でガイドなしで歩いた。

ガイドなしで自由に歩けるのも楽しいが、多くのところに隠れデザインが潜んでいるので、ガイドさんの説明があるともっと発見があったかもしれない。

ガイドアプリはもらえるのだが、やはり少しわかりづらい。あまりピンとこないのだ。もし行く機会がある方は、ガイドの予約を早くすることをおすすめする。

 

この30年で激変したサグラダファミリア

芸術家ジュアン・ビラ・グラウによる伝統職人技が現代風にアレンジされたステンドグラス

肝心のサグラダファミリアだが、昔観たこともある方も、機会があったらぜひ再訪をおすすめする。

30年前に観たサグラダファミリアは、トウモロコシのような最初の入り口の塔ができていたくらいであった。煤で汚れていたことを覚えている。

到底終わりに近づいているとは思えず、「完成までに200年かかる」とか「永遠に終わらない教会」などと呼ばれていた。それはそれで「スペインらしいなあ」と思ったことを覚えている。

そんなノスタルジックな思い出とともに、「あまり変わっていないんじゃないかしら?」と懐かしい気持ちで訪れたのだが、全く違うサグラダファミリアに遭遇したのだ。

なんと、2026年完成が目安だというではないか!?このパンデミックで、再度遅れるとはいうものの、完成が間近な事には違いない。コンピュータ化が進んだことで、順調な運びとなっているとのこと。

この驚きと感動は、自分の目で見たからだ。サイトで見聞きしたり、ニュースで見ても、「ああ、そうなんだぁ」と思っただけかもしれない。

古い壁の色、最近進んだであろう側の壁の色の違い、カラフルな塔の上のモチーフ、全てが新鮮であった。教会の中は、全く昔見た物とは別であった。明るくて、一瞬、どこにいるのか忘れてしまう。

子供達も教会で思わず歓声を上げていた。夢に見ることさえ不可能なくらいの創造性、芸術性、この夢のようなデザインを実際に作り上げるのに、どれだけの忍耐と想像力とテクノロジーが必要だったかは、誰でも容易に想像できるはずだ。

次のページ敬虔な宗教家であったガウディの想いが至る所に

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