シチリア在住、桜田香織です。今回はイースター、復活祭についてお話ししたいと思います。
日本では宗教に関係なく皆んながお祝いをするクリスマスですが、復活祭をお祝いする話をまったく聞かないのが、ある意味不思議でもあります。だって日本は何でも輸入しちゃうから。
そもそも復活祭とは何でしょうか?
とある年の13日の金曜日に十字架にかけられて亡くなったキリストは、3日後に復活します。そう、復活祭とはキリストの復活をお祝いする祭日です。
クリスマスが12月25日と固定されているのに対し、復活祭は移動式の祭日なので、毎年変わります。春分後、最初の満月の後の日曜日がその日です。
今年で言うならば春分の後の満月は4月17日、ちょうど満月と日曜日が重なりその日が復活祭となります。カトリック教徒にとって一番大切な祭日は勿論クリスマスですが、復活祭は2番目に大切な日となります。
イタリアでは「クリスマスは両親と、復活祭は誰でも好きな人と」という言い回しがあるのですが、シチリアの私の周りでは復活祭も家族と過ごす人が多いようです。
マンマは前日からお料理の仕込みをはじめます
復活祭の前40日間の「四旬節」と言われている期間、肉、乳製品、卵などの食品を食べることが禁止されています。
少し話が横道にそれますが、その四旬節の前に食べて飲んで騒ごう!と言うのがよく知られているカーニバルです。日本語で「謝肉祭」と呼ばれているのも納得ですね、翌日から食べられなくなるわけですから。
現在ではそれをきちんと守る人はまずいないようですが、人によっては「金曜日だけ甘い物をやめる」、「金曜日は肉を食べない」など、自分で小さな決まり事を実行している人は多く存在します。
私の仲良しの友人の1人は、とってもお酒好きなのに40日間禁酒します。
復活祭当日、それらの禁止事項から解放されるわけなので、かなり豪華な食事が用意されます。肉や卵をふんだんに使い、勿論ワインもどんどん消費されて行きます。
ミートソースたっぷりのラザニア、メインは子羊が使われることが多いですね。子羊は「神の子羊」と言われる、キリストの象徴でもあります。
実際四旬節の間も普通に食事をしている人が多いのに、「やったー、解禁だ!」となるのが面白い。
プレゼントが入っている卵型のチョコレート
その他よく見るのは「イースターエッグ」。卵は新しい命の誕生を意味し、宗派によっては殻に色付けした卵を用意します。
そしてそこから発展した卵型のチョコレートも有名です。復活祭前からお菓子屋さんの店頭にはさまざまな大きさの卵型チョコレートが並びます。この卵、中は空洞になっていて、プレゼントが入っているのですよ。
うさぎが登場することも多いです。うさぎは豊穣の象徴です。イタリアでも見かけますが、元々はドイツやオーストリアが発祥だと言われています。
マンマは前日からお料理の仕込みをはじめ、当日家族が集まってご馳走に舌鼓、クリスマスと同様に延々と食事が続きます。
ドルチェの定番は、シチリアでは「カッサータ」。そして「コロンバ(鳩の意味)」という焼き菓子です。クリスマスに食べるパネットーネに近い物、鳩の形をしていることからそう呼ばれていますが、私にはどうも鳩には見えません・・・。
鳩は幸せの象徴、幸運をもたらす象徴と言われています。そしてシチリアでは子羊を片取ったマジパンも定番です。
子羊は「神の子羊」と言われるキリストの象徴
復活祭前の週は学校もお休みとなり、休暇を楽しむ人も多いです。
この2年間はコロナ禍でしたから移動もかなり規制されていました。今年はほぼ通常生活になっているので、ヨーロッパ間の移動は多いと思われます。
嬉しいことではありますが、それが原因でまた感染者が増える可能性もあるのが少々心配なところであります。
春の訪れを告げるとも言われている復活祭。
年によっては3月中でまだ冬時間ですが、今年は4月中旬なので夏時間も始まり、陽も長くなっていて本当に春を感じられるのではないかと期待します。
Written by 桜田香織(イタリア)