全仏オープン、ウィンブルドンが終わり、クライマックスのUSオープン真っ最中の9月上旬。
グランドスラムのハイライトはやはり、伝統あるウィンブルドンではないだろうか。どの国もこのウィンブルドンの放映に一番力が入っている。
ウィンブルドンは綺麗に手入れが行き届いた芝生のコートに、指定されている白のユニフォームが眩しい。伝統が大好きなイギリスでは、白が厳格に残っている。デザインは、どんなユニフォームでも構わないが、白の色には厳しい。
ヴィーナス・ウィリアムスの隠れたピンクのスポーツブラや、ロジャーフェデラーのナイキのオレンジの靴底が警告を受け、すぐに新調しなければいけなかったこともある。
ウィンブルドンのロゴは、紫、緑、白の伝統を感じるロゴだが、歴史は意外に浅く、驚いたことに、デザインは日本人デザイナーの佐藤忠敏氏によるもの。芝生コートの緑、白線の白、伝統を表す紫紺で、表現された美しい日本の美が隠れている。
テニスはこの伝統的な白のイメージが強いかもしれないが、ユニフォームのルール、客の雰囲気、お土産など、それぞれのお国柄が出て、世界中で行われるテニス選手権が面白い。
世界転勤族の良いところで、色々なところでテニス観戦をする機会に恵まれた。ここで、完全私的!テニス談義をしよう。
上2枚:オーストラリアオープン、下2枚:ローランギャロス
1877年に誕生した、テニスの「グランドスラム」は四大国際大会とも言われる。長いゲームになる試合が、1月のオーストラリア・メルボルンを皮切りに、シーズンが始まる。
南半球のメルボルンでは、この時期は猛暑。地球温暖化も進み、山火事も起こるなど異常気象で、熱射病も続発、選手からも苦情が相次ぐほどだ。
メルボルンで主催されるオーストラリアオープンは、ハードコート。アスファルトなどの硬い素材の上を、ゴムやアクリルなどでコーティングしたもの。
クレーコートに比べると早く、グラスコートに比べると遅いという中間に当たるコート。足元が滑りにくく、キュッキュッと音が良くなるのも特徴で、現在主流のコート。
オーストラリア人はなんでもカジュアルに物事を楽しむ傾向にあるので、ワインやビールなどを飲みながら観戦する。緊迫感はないけど、子供も連れて行ける雰囲気とも言える。
イタリア系が多いと言われるメルボルンならではで、会場にはカジュアルなレストランが並び、とても美味しい。ワイナリーも有名なメルボルンでは、地元のワインも堪能できる。
次に大きな大会は、5月〜6月に開催される「全仏オープン」。みんなの憧れの大会だ。近年は、フレンチオープンではなく、「ローランギャロス」と呼ばれている。
ローランギャロスについては、前回のコラムで詳しく書いたので、ぜひ読んでみてほしい。
有名なウィンブルドンは、6月末から7月。こちらはテレビでもおなじみだが、観客も比較的静か。芝生コートは、手入れが大変なことでも有名。念入りな準備にも関わらず、大会の終盤には土が見えてくる。
芝生のコートはボールの速度が上がり、バウンドが低くなるという特徴があるため、サーブ、ボレーを得意とする選手に有利。ロジャー・フェデラーは全仏オープン1勝のみだが、ウィンブルドンでは8勝を遂げている、正にこのスタイルを強みとした選手。
ウィンブルドン観戦は毎年恒例というセレブも多いので、セレブ追っかけもロイヤルファンも楽しめる。観客席はスマートカジュアルで、見る側も緊張の面持ち。こちらの名物は、シャンパンにストロベリー。
そんな有名なウィンブルドンだけあって人気も高く、チケットのお値段も高額なことで有名だ。早めに取るか、パブリックのチケットを利用して雰囲気を楽しむのも良いかもしれない。
テニスファンがよくするのが、ファイナルの試合のチケットは諦めて、早めの試合のチケット観戦。お目当ての選手の試合を見られる可能性もあるし、若手の選手でもスピード感や臨場感は十分楽しめる。
生のゲームで思うのは、「スポーツは遊び、やっぱり楽しもう」ということ。どんな試合も、一期一会、ドラマがある。
テレビでは選手の表情が間近に見えて、かなり緊迫感があり、まるで死ぬか生きるかの勝負のようだが、実際はやはり楽しむゲーム。試合の結果だけでなく、会場の雰囲気まで楽しめるのがテニスの醍醐味かもしれない。
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