シチリア在住のコラムニスト、桜田香織です。こちらはまだまだ気温も高く、海は大賑わいですが、皆様のお住まいのところはどうでしょうか?
若い頃は夏大好きだったのに、年齢とともに徐々に暑さに弱くなっている私、秋の到来が待ち遠しいです。
ふと気が付くとコロナから早(と言って良いのか?)2年半が過ぎています。その間、一体私は何をしていたのかしら?
仕事のこと、お子さんの学校の事、もちろん健康の事、ワクチンに対する賛否両論・・・、様々な生活仕様が大きく変わってきましたね。
コロナという得体の知れないものに対する恐怖、各国政府の対応の違いなど戸惑うことばかりでしたが、今はある意味慣れてしまい、恐怖を感じている人は少ないかも知れません。
私自身も生活が変わり、ここで一度このコロナ禍を振り返ってみたくなりました。
最初のロックダウン直前、帰国予定だったのに3日前に断念しました。持病のある高齢の母が私の帰国をかなり恐れていたのです。そしてイタリアは最初の厳しいロックダウンへ突入しました。
基本的に外出禁止、週に一度の買い出しも政府の発行する「自己申告シート」に記入が必要でした。お店も薬局と飲食関係以外はほぼ全てクローズ・・・。
私は旅行業、コーディネートなど基本外回りの仕事でしたので、一切なくなりました。
フランスですれ違った女性たち。これぞマインドフルな装い!
そんな中、最初の半年くらいはお料理に力が入り、手打ちパスタやパンを焼いたり、普段しない手の込んだ料理などにも挑戦し、ストレスフリーで過ごしていました。
ところがその後、解禁になり、みんなが弾けてまた感染者が増え再びロックダウン・・・。これが数回繰り返されると、私のテンションはどんどんと下がっていき、無気力プラスお料理倦怠期に突入です。
ずっと低迷していた私ですが、色々とご縁があって、この4月から新しい世界へ足を踏み入れたのです。
それはスタイリスト政近準子さんの学校、「ファッションとマインド」を学ぶ学校です。
「服がマインドを作る、マインドが服を着る」という、一見フムフムと簡単に頷いてしまいそうなフレーズですよね?
お気に入りの服を着れば気分がいいし、気分がよければ何を着ていてもルンルン。今までファッションに興味を持ったことのなかった私が、あえて違う世界のことを学ぼうと思った次第です。
政近先生は日本初のパーソナルスタイリストであり、スタイリングにカウンセリングを組み込んだ方。検索すると沢山出てきますので、ここでは割愛いたします。
この学校、ファッションのことを教わると言うより、常に問いかけられる学校です。
カラー診断、骨格診断、もちろん全ての資格をお持ちの先生ですが、あえて「そんな事に縛られてはいけない」とおっしゃいます。もっと自分で考えろ、と。とにかく箱から出ろと。
学校での学びについては次回のコラムに詳しく書きますが、私が一番言いたいのは、「このコロナ禍、一体私は何をしていたのだろうか?」ということ。
何もしていなかったのですよね、目標もなかったし。それに気付いただけでもこの学校で学ぶ価値ありでした。って、まだ終了していませんが。
何かを学ぶことによって、日々の生活がほんの少しずつ変わったり、見方が変わったり、気付きがあったりします。
「あー、目から鱗」と言う劇的な変化もありますが、それを実際に行動に起こして行くことは一筋縄ではいきません。今日進んだ1mmが、半年後の私を作る。決めたことを日々実行して行くと言うことを学んでいます。
そう考えるとコロナ禍でもやれる事は沢山あったはずだと、大反省。
ファッションについて何も知らない私ですが、割と得意な「食」の分野に置き換えると、納得することが沢山あります。
自分のマインドに向き合って「今日は何を食べたいか」を決めることができるし、人を招けばその友人達の好きなものを考えながらメニューを決めます。それがギフトですよね。政近先生はいつも「装いはギフト」と仰ります。
自分の得意料理だけを並べ、お招きした友人たちの好みを全く無視していたら、それはギフトになりませんから。
一枚のシャツやワンピースを思い通りに、場に合わせて装うように、私は一つの食材から、例えばトマト一つをとっても数品の料理が浮かぶし、その料理に合ったトマトを選べるし作れます。それはその素材に対する知識があるから。
だから知識は必要なことなのです。それをどうファッションに結びつけるかが今の課題。
私の場合、食からファッションを考えればなんとかなるはず?使う食器、家の模様替え・・・、そう衣食住は全て繋がっていて、そのバランスが崩れている生活はよろしくない。家の中ごちゃごちゃなのに、ブランド品を買い漁る・・・みたいな。
やはり衣食住は全て繋がっているのです。自分の状態を知り、そのバランスを整えていくことで、世界がどんな状況になっても楽しく生きていかれると思います。
人は誰でも体調不良やケチョンとする時、どうしても面倒で体が動かない時があります。
それでも「毎日1mmは進める」と教えられ、「今日の1mmはなんであったか?」を問われる学校で学んでいると、日々やることが見えてくる。
見えなかったら探す。何を着たいか、何を食べたいかに焦点を当てず、トータルで「自分がどう在りたいか」を見据えて、生活していきたいと考える。そういうことをとことん教えられる(問われる?)学校なのです。
政近先生は「いざと言う時は突然やって来る」とおっしゃいます。その「いざ」に戸惑わないように、日々の準備が大切。
まだまだ実行力に欠ける私ですが、できなかったこと、できないことに対して言い訳をするのはやめました。人のせい、状況のせいにしない、全て自分の責任で生きていきたいです。
意識の高い世界ウーマンとその読者の皆様、どこに住んでいても、何があっても大丈夫。日々1mmでも前進していきましょう。
Written by 桜田香織(イタリア)