聖ニコラウスとクリスマスシーズンを感じる
ヨーロッパでのクリスマスの楽しみの一つが、クリスマスマーケットだ。
今年はコロナの影響で、有名なクリスマスマーケットも次々とキャンセルが相次いだ。
ベルギーでは、アントワープ、ゲント、ルーヴェンのクリスマスマーケットは人気だが、キャンセルを余儀なくされた。ブリュッセルの市長さんは、頑張ってキャンセルしないと粘ったとの噂だ。
市庁舎のある中心地Grand Place に賑やかなクリスマスマーケットは、今年も素敵なライティングで市民の心を癒す。
ワクチンのパスポート提示が義務付けられたが、それ以外は通常と変わらず、グリューワイン(ホットワイン)を楽しみながら、数々のお店を見て、長い冬の夜を満喫できる。
クリスマスライトを楽しみたい方には、今ホットなスポットである。
お城の城主が校長先生とは知らず、びっくりしていた子供達
我が家は、地元色の強いRixensart のお城のクリスマスマーケット(Noël au Château de Rixensart)にお邪魔した。
実は、お城の主が子供達の学校の校長先生。校長先生から直々に生徒父兄にご招待のお手紙が届き、それを受けて週末にクリスマスマーケットに行ってみた。
そこでは地元の方がリラックスして、ビール、グリューワイン、シャンパンを片手に、子供たちはホットチョコレートを飲みながら、薪の周りで和んでいる。
これが本当のクリスマスマーケットだ。大きなマーケットに行くと、中々この雰囲気は味わえないものだ。
校長先生はこのお城に現在お住まいとのことで、城主の知り合いはなかなかいないので、とっても嬉しいお迎えであった。
ご本人はドイツのお城でお育ちになったとか。お城を継ぐ後継者は家族会議で決まるとか普段聞けない話を伺うことができた。
自らシャンパンを注いでくださり、お店の紹介やら、それはそれは気さくな校長先生。ご兄弟一緒にお客様のお相手をされていて、暖かい、地元ならではのクリスマスマーケット。
きっと元々は、そんな地元色の強いものがクリスマスマーケットだったのだと思う。
ヨーロッパでは、12月6日に聖ニコラウスの祭日を祝うのだが、この聖ニコラウスがサンタクロースのモデルと言われているのをご存知だろうか?
この実在の人物は、4世紀、小アジアのミュラという町で司教を務め、貧しい人を憐れみ、善行を行っていたことで、後に聖人として崇められる。
オランダでは、ブラックピートと呼ばれるしもべを連れて、子供達にチョコレートを上げにくるシーンが有名だ。
本当にしもべと来て子供達を怖がらせ、良い子には袋の中のプレセントを、悪い子には訓戒の後に何らかのプレゼントを与えたという中々厳しい司教でもあったとか。
クリスマスに靴下を暖炉のそばに飾る習慣も、聖ニコラウスが貧しい娘を哀れんで煙突から金貨を投げ入れたら、暖炉に吊るされていた靴下に入ったという伝説からの名残らしい。
このお祝いがアメリカに渡る頃にはスタイルが変形し、名前も徐々に変わって、サンタクロースがクリスマスプレゼントを届ける事になったらしい。
なので正しくは、12月6日のプレゼントとクリスマスのキリスト生誕のお祝いをする日をごっちゃにしてはいけないのだ!
とは言え、家族が会えることが遠のいた現代生活に叶ったクリスマスプレゼント戦略かもしれない。
ヨーロッパもそれぞれ微妙にお祝いの仕方は違うものの、聖ニコラウスのイベントは子供達が一番楽しみにしているもの。オランダ人の主人も、聖ニコラウスがいるとはしゃいでいた。
クリスマスツリーも毎年12月初旬からあちらこちらで売られる。近くのツリーマーケットに行って、今年は子供達にサイズも形もお任せした。
何故か斜めの木を選ぶという不思議な選択だったけれど、思いっきりお任せ。そうしたら運ぶのも苦ではないのか、全てが楽しそう。お友達も一緒に、それぞれ思い通りに飾り付けまでしてくれた。
クリスマスとはこんなものなのかと、実感を噛み締めることができた今年のクリスマスだった。
皆さんは、今年のクリスマスシーズン、地元の楽しみを見つけましたか?
・ブリュッセルのクリスマスマーケット
Winter Wonders and Christmas Market 2021, City of Brussels
2021年11月26日から2022年1月2日まで
・リクソンサー城のクリスマスマーケット
Noël au Château de Rixensart
2021年12月2日から12月23日まで
その他、開催されているクリスマスマーケットは、Arlon, Beloeil, Binche, Bruges, Enghien, Hasseltなど。最新情報はネットでご確認を!ワクチンパスポート、マスクはお忘れなく。
Written by ホーゲデウア容子(ベルギー)