2023年に入ってから、日本のニュースでも将来的な食料危機への危惧を耳にすることがあるのではないだろうか?
確かに2022年は戦争の影響からか、アメリカでも物流の滞りがあるようだった。それは地元のスーパーに行くとよく分かった。
それまで私が知っていたアメリカのスーパーは、とにかく品数が多い。シリアル一つにしても何十種類も陳列されているのが当たり前だったのだ。
ところがある時期から、棚に空欄が目立ちはじめた。
特に気になったのは薬売り場の棚がガラガラになっていたことだ。それは今まで見たことがない光景だった。
昨年の春あたりからその傾向は見られていたが、今年に入ってからは特に著しく、生活用品や食料品の品物の値段が上がっている。
ガソリン代も一時期よりは少し下がったものの、依然高値である。
たとえば以前だったら60ドルで満タンになった車に、今同じように60ドル分のガソリンを入れてもタンクの半分を少し超えるほどにしかならないのだ。
私がアメリカに来た20年前は、ガソリンを満タンにしてもせいぜい35ドルくらいだったと記憶している。
ガソリン代は安い上に、アメリカは一部都市部を除いてほとんどの高速道路が無料なので、行こうと思えば陸続きで安い大陸旅ができた。
話を生活用品や食料に戻すと、例えば一年半前のコロナ禍でも$ 4.99で購入できたシャンプーが今は$9.99。倍に値上がりしているのだ。
最近驚いたのは、缶のチキンスープが以前は売り出し日に$1で売っていたものが$ 3.99で売られていて驚いた。セール時との比較ではあるが、なんと4倍!
日本では卵が不足していて価格が上がっているとニュースで見たが、アメリカでは不足はしていない様子にも関わらず、値段は以前の1.5倍になっている。
「アメリカではラーメンが1杯3000円ってテレビで見たんだけど、本当なの?」と、先日日本に住む友人から聞かれた。
日本でラーメンを食べることは特別なことではないだろうけれど、アメリカに出店している日本のラーメン屋さんではラーメン一杯は$15〜$20はする。
そこにオプションのゆで卵やチャーシューなどを載せると、さらにいくらかが上乗せされる。そして飲食税が加算されて、さらに飲食代の15%〜20%のチップを払うことになる。
まして今のように$1=130円〜というレートで円で支払うと、ラーメン1杯がとんでもない値段になるのだ。
飲食税は州によって異なるが、日本のニュースでよく紹介されるNYでは飲食税が8.875%だから、チップと合わせると一杯のラーメン代に30%近くを加えた金額になる。
$ 20のラーメン一杯に$23支払うとすると、$1=130円の換算で2990円。
「アメリカではラーメンいっぱいが3000円するの?」という質問に対して、答えは「YES!」なのである。
アメリカで食べるラーメンは日本で食べるラーメンのようにお手頃価格で美味しい食べ物ではないのだ。高価な食べ物なのだ。だから日本好きなアメリカ人が日本に行くと日本食が安価で品数も多く、しかも美味しいので感動する。
アメリカでのこの現実を知ると、日本在住のみなさんが日本で当たり前に食べられる一杯のラーメンのおいしさが一入(ひとしお)ではないだろうか。
Written by スペイツ由美(アメリカ)