このコラムでは、世界中の読者から寄せられた仕事やキャリアに関するお悩みに対して、キャリアコンサルタントの岩井真理さんにご回答いただいています。
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C子、東京の大学に通う大学3年生です。これから就活が始まります。現時点では国内での就職を志望していますが、海外で働くことにも興味があります。
新卒でも海外で働くことは可能でしょうか?
また、海外で働くために、今から身に付けておくべきことはありますか?
C子さん、こんにちは。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援する真理です。
いよいよ6月、就活本番ですね。一生に一度しかない新卒枠での就職!後々後悔しないようにと、色々悩みますよね。さらにC子さんは、海外就職にも興味があるのですね。
回答の前に、まずは日本と海外の就職活動の違いについて整理しておきましょう。
今、C子さんが直面している「新卒一括採用」は、世界的にも特殊な日本ならではの方式です。
ある時期を境に就活が一斉にスタートし、現在は3月に情報解禁、6月から順次面接が始まります。これは経団連の指針があるからです。
これに対し、海外には新卒枠というものはありません。卒業の時期に合わせて、自分のスキルに見合った求人を自分で探して応募します。
学生も、すでに働いている人も、同じ土俵で競い合うことになります。仕事始めも年度初めからというわけではなく、そのポジションに必要な人を、必要な時に募集して採用する形になります。
また採用基準についても、日本的特徴があります。
新卒は「ポテンシャル採用」と言って、現時点の仕事経験やスキルだけではなく、「これから成長の可能性がある人材か」「仕事に対する熱意や姿勢が大きいか」などを総合的に評価することが多いです。
2006年に経済産業省が提唱した「社会人基礎力」というものがありますが、学生時代の経験を語ってもらうことにより、これらの基礎力を基準に見極めている企業も少なくありません。
入社後もある一定の期間と費用をかけて、企業が新入社員を教育・育成してくれるというのも、日本ならではの大きな特徴です。
日本で「新卒時の就職が重要」と言われる理由の一つはここにあります。
特に大企業では研修が充実しているので、転職の際にも社会人としての基礎を身につけているだろうと判断されます。
若いうちに海外就労をし、帰国して日本で就職しようとした時に、基本的新人教育を受けているかどうかをチェックする会社も少なくありません。
日本の社会人教育は至れり尽くせりですが、反面、「海外で働こう!」という時には、マインドチェンジが必要かも知れませんね。
なぜなら、海外では何事も自己責任。学びも与えられるものではなく、自ら取りに行くものと考えているからです。全ての結果は自分に返ってくると覚悟して行動することが大切でしょう。
では、海外就労するためにどんなことが身についていたらよいかについて、語学力は言うまでもなく必要ですが、その他に以下の3つが重要かと思います。
ただ何となくではなく、なぜその国で働きたいのか、働いて何がしたいのかをはっきりさせましょう。大袈裟に言えば「その国の役に立つ」人でなければなりません。
海外では日本の常識は役にたちませんので、言われたことだけをこなすのではなく、自ら動く力も不可欠でしょう。
いくら語学堪能でも、人に興味のない人はうまくやっていけません。伝える力をつけましょう。
新卒での就職は、あくまでも通過点です。これからの人生の中で、自分の行動次第で人生はどのようにでも切り開くことができます。
最近は海外就職のためのエージェントもあり、情報収集もできるので、新卒でもその気になれば海外就職も不可能ではありません。
しかし、もし海外で働きたいのであれば、それはいつなのかをもう一度考えてください。そのためには、3年後、5年後、10年後のC子さんの在りたい姿も描いてみましょう。
そして、その結果、なりたい自分に近づける場所を選んでください。
あなたは今、自分がどのような人生を歩みたいのか、自分なりの意味を考える出発点に立ったばかりです。
いきなり目的だけを目指さず、ステップを踏んで自分の人生の地図を描いていくことが、就職活動の意義なのだと考えます。C子さん、応援しています。
個別のご相談、海外での生き方や働き方へのお悩みサポートは、aries.mariwai@gmail.comまで。件名に「世界ウーマンのコラム見ました」とお入れ下さい。
Written by 岩井真理(日本)