シェフ、John Chang氏と出会ったのは4年前。 ちょうどコロナ時代が終焉したばかりで、マレーシアでは日本食のコース料理を提供する高級レストラン「おまかせ料理」のブームが来るはじまりの頃でした。
新しくオープンしたおまかせレストランのヘッドシェフだったJohnシェフ。
その時点でNobu KLなどで日本食シェフの経験が10年あり、包丁やお寿司を握る所作も美しく、うなるほどの腕前とセンスで圧倒的に光っていました。
オーナーであるビッグボスの彼を見いだした目に感心したとともに、和菓子まで手作りできるその20代の若者に、とても驚いたことを覚えています。
その時から彼の料理は何度かいただいていますが、常に期待以上のクオリティ。
あれから4年。オーナーシェフとして、自分のレストランをオープンするという報告をもらったので、さっそくディナーに伺いました。
庭に透明なドームが配置された大きな一軒家。外観からすでにちょっと普通とは異なる空間
そこはまさにJohnシェフのお城。彼の並外れたセンスを至る所に感じることができました。
このレストランは、おそらくマレーシアでは初の「体験を提供する」ユニークな場所だと思います。
庭に透明なドームが配置された大きな一軒家。外観からすでにちょっと普通とは異なる空間。
中に入ると、いくつかの小部屋に分かれています。壁紙、椅子、ライトなどのインテリアは可愛くもあり、豪華でもあり、シックでもあり、なんともアーティスティック。
同じようなインテリアの雰囲気は、マレーシアでは見たことがない感覚です。
コース料理9品は、「前菜」「メイン」「デザート」にあわせて3つの部屋を移動して楽しみます。
バーテンダーがワゴンと共に登場、目の前でカクテルを作ってくれます
お酒のペアリングをオーダーすると、最初のラウンジのような部屋にバーテンダーがワゴンと共に登場し、目の前でカクテルを作ってくれました。
一口だけでも幸せを感じられるような、究極に美味しい素敵な前菜が3品。
締めくくりの4品目は、食材の飾ってあるカウンターで、立って説明を聞きながらキャビアを食べ比べ。シャンパンも進みます。
続いてのメインディッシュとスープは、次の部屋へ移動していただきます。
目の前で調理するシェフを見ながらのカウンターでの食事は、まるで劇場にいるかのようでした。
スペインから輸入した大きな炭焼きの機械が、舞台上の紙芝居みたい。ガスコンロがなく、調理はすべて炭火でおこなってるとは驚きです。
自分の名前入りのメニューカードをいただき、めくりながら食事を進めるのが新鮮。器にもシェフのセンスが光ります。
一品一品が素材の味を最大限に生かした研ぎ澄まされた料理!味わいは和風、中華風、洋風もあるフュージョンのテイスティングメニュー。赤ワインと共に楽しみました。
最後のデザートは、しっとりと落ち着く小さなバーで。視線の先には夜景に光る透明なドーム。ここはプライベートルームとして使用されるそうで、他にもシガールームがありました。
明るいバーテンダーとの会話を楽しみながら、極上メロンとウイスキーゼリーなどで締めくくり。
デザートに合わせたお酒は、コーヒーとラムのカクテルでした。
すべての料理が、上質な食材の良さを引き出した味わいです。マレーシアのファインダイニングによくありがちな、足し算ばかりで複雑にさせた料理ではなく、とてもシンプル。
和食のシェフを長く経験してきたJohnシェフの強みでもあり、特色と言えるでしょう。
インテリアや器のセンスも、バーンと押し出した奇をてらうものではなく、控えめでありつつ才能を感じさせる遊び心とこだわりを感じます。
何かが流行ると、すぐに真似をした業態が次々に出てくるマレーシアにおいて、独自のカラーがしっかり出されているのが、また才能を感じさせてくれる素敵なところです。
スタッフのチームワークに関してもホスピタリティがしっかりしていて、オープン間もないとは思えない完成度でした!
シェフJohn Chang氏と私
今回いただいた料理は、RM768(約¥25700) のコース+お酒のペアリングRM288 (約¥9650)。※他にRM468 (約¥16000)のコースがあり、品数は同じで内容が変わるとのこと。
【Mosaic Morsels by JC】
WEB: https://mosaicmorsels.com/
予約:https://letsumai.com/widget/mosaic-morsels
instagram: @mosaic_morsels_jb
住所:4, Jln Beringin, Taman Melodies, 80250 Johor Bahru, Johor, Malaysia
Written by 土屋 芳子(マレーシア)