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“自身にリミットをつくらずチャレンジし続ける!” 久野華子さん (日本)

2021年12月15日

皆さんは、Mrs of the Yearをご存知でしょうか?

「自身にリミットをつくらずチャレンジをし続ける、愛と感謝に溢れたカッコいい女性になろう」をコンセプトに、昨年から開催されているビューティコンテストです。

Mrs of the Year 2021東京大会で準グランプリに輝いたのが、今回紹介する久野華子さん。Mrs Of The Yearのコンセプトを地でいく若き経営者です。

5年前に外国語対応人材の派遣と紹介を行う株式会社トライフルを創業。インフルエンサーとしても多方面に影響を与える存在であり、バリバリと開拓地を広げていくその様はまさに猪突猛進。

彼女が会社を創業したのは社会起業家になろうと決意したからだそうですが、その決意はバックパックで世界一周したときに芽生えたのだとか。

彼女を突き動かすその決意がどのように生まれたかなどなど、お話を伺いました!


行くか行かないは自分の選択でしかない

Mrs of the Year2021 東京準大会グランプリに!

久野華子さんが新卒で入社したのは大手通販会社でした。大学は理系の工学部でしたが、ファッションや通販が好きだという理由で、希望通りの就職を果たします。

デジタルネイティブであることを生かし、ウェブマーケッターとして仕事に邁進していましたが、働くうちに見えてきたのはちょっと意外な現実でした。

「上を目指そうと見上げた時に、上の人たちは独身の方が多いことに気付いたんです。会社は充実した福利厚生があったんですけど、産休・育休を取得した方達がなぜか肩身が狭そうにされていて。保育園、幼稚園が見つからなくて復帰が遅れるとか、時短勤務で早く帰宅するという理由でずっと謝っているんですよ。彼女達は家庭も子育ても仕事もめちゃくちゃ頑張っているのに、『なんで謝っているんだろう』という違和感がありました」

会社で仕事を続けていくことへの疑問、社会構造として女性が仕事を続けていくことへの諦めのようなものを感じ、彼女は退職の道を選びました。「自分の力だけじゃ、どうしようもないですよね」と愚痴る彼女に、ある時知人に言われた「それは逃げじゃない?」という一言がぐさりと刺さります。

「なぜ自分で無理って決めちゃったんだろう。同じ壁にぶち当たった時に私はまたそこから逃げてしまうのだろうか。それは嫌。それなら、次の仕事を始める前に今まで自分に言い訳してやりたくてもやってこなかったこと、できれば難しいことを達成してみよう!」と思い立ちます。

華子さんは小さい頃から、お父さんのバックパッカーした話を聞いていたので、いつか世界旅をしようと思っていました。

「本屋で『7日間で行ける人生を変える旅』というタイトルの本を見かけた時にピンときました。私のやりたかったことは世界一周だ!って。時間ができたら、お金ができたら、一緒に行く人ができたら、危なくなければなど、できない理由っていくらでもありますが、行くか行かないは自分の選択でしかないとわかったんです。行かなきゃ!という思いで海外へ飛び出しました」
 

バックパッカー旅で覆された価値観

社会起業家を目指すきっかけになったバックパッカー時代

旅を進める中で、彼女は自分の中にあるバイアスに気づきます。偏見なんて持っていないと思っていたつもりが、無意識の固定概念に直面したのです。

「白人のホームレスに付きまとわれている時に、黒人の方に優しく助けてもらったことに驚いた自分がいました。それまでの私の中の黒人像は大阪のアメリカ村で見る人達だったなぁと。コミュニケーションとして英語が話せるということと、ネイティブであるというのは違うという事にショックを受けました。同時に『母国語じゃない国で働く非ネイティブの人達ってすごい』と心から思いました」

また、ビザと金銭感覚の2つにおいて、日本と世界での大きな違いを経験します。

「日本人バックパッカーの合言葉として『パスポートとお金とやる気さえあれば世界のどこにだっていける』というのもがあります。私もその言葉を信じていて、『どうしたら世界一周行けるの?』と聞いてくる人にはその合言葉を返していたんです。

ある時インド人から『自由に旅行できてうらやましい』と言われて、いつもと同じように返答しました。その時に見せられたのが、インドのパスポートでビザなしでいける国のリストでした。50カ国ほどだったんです。日本のパスポートだと190か国ほど行けるのですが…。

調べた中ではアフガニスタンパスポートが一番少ないですね。どこに住んでいようと、どんなに優秀だろうと、アフガニスタン国籍だと20か国ほどしかビザなしで行けないんです。生まれた国によって可能性が制限されてしまうということを突きつけられました。

またある時、トルコ人から世界一周にかかる費用を聞かれ、私は『200万円くらい』と答えました。実際1泊数百円くらいのところによく滞在していましたし。日本人からしたら『それなら私もできそう』と思ってもらえる金額ですよね。でもその子は悲しそうな顔で『インポッシブル』と言ったんです」

 

外国語対応に特化した人材派遣会社を創業

外国語対応可能な登録キャストは38カ国1800名に上ります

トルコの平均収入は日本の3分の1ほどであるにもかかわらず、家賃などの物価は高く、世界旅行なんて夢のまた夢。日本人の当たり前は世界の当たり前ではありません。

嫉妬してもおかしくない状況なのに「なぜそんなに優しくしてくれるの?」と聞いてみると、こんな答えがかえってきました。

「華子は挑戦する権利を持っていて、それに挑戦している。私達は挑戦する権利がないけど、君を通して世界を見ているんだよ。君は私達のヒーロー。だからこの後もSNSで発信し続けて世界を見せてね!」

胸が熱くなる感覚に、彼女は彼らのために自分ができることを考え始めます。そして社会起業家になることを決意したのです。

長らく考え続けて辿り着いたのが、外国語対応の人材派遣業の設立でした。5~10年前は外国語対応に特化したイベント派遣業者がなく、そこに目をつけました。

もともと彼女自身、イベント業界での派遣アルバイト経験がありました。この仕事の長所は、いつでも好きな時に始められて、能力があれば給与に反映されること。

「母国語でない国で日本語だけで勝負しているのに、外国人の給料が安いのは不公平。国籍に関係なく彼らの能力が最大限に発揮できる場を作れると思いました」
 

1000回くらい辞めようと思っても走り続ける理由

そこで彼女が始めたのは、海外の展示会出展をサポートしている会社に1年間フリーランスとして参加させてもらい、後半の半年間で事業化すること。

使命感に突き動かされた彼女の動きは非常に早く、半年間で会社の基盤を作り、独立します。英語を話せる、仲の良い20人くらいにまず登録してもらい、ホームページに掲載しました。得意のウェブ集客で登録者をどんどん増やして行きます。

一方で、キャスト(イベントに派遣される登録者)の半分以上が外国籍で、まだ誰も手がけたことのない分野であったため、クライアントとキャストの板挟みになってしまうことも多くありました。

特に文化的背景の違いによるミスコミュニケーションは多発します。外国籍の方が悪気なく行ってしまう行動がクライアントの反発を買う場合もあるからです。

「世界一周の時に私も経験したことですが、自分にとって不自然に感じる行動や習慣にも、必ず文化的背景や理由があります。謙虚な姿勢で理解しようと努めることは大事ですよね。外国籍の方や違ったバックグラウンドを持つ方に向けて、それぞれのイベント用のルールを作り、一つ一つ説明を行いました。その結果、大体の人は理解してくれるという確信を得ました」

起業して半年は泣き言も多く、1000回くらい辞めようと思ったそうですが、その度に「情報発信を続けてほしい」と約束した世界の友人達を思い出してなんとか走り続けてきました。

 

使命感を持ってチャレンジし続ける姿勢

最近のメディア出演画像。取材や講演も受けています!

それにしても素晴らしいのは、彼女の使命感を持ってチャレンジし続ける姿勢です。昔からの性格なのかを聞いてみると、笑いながら答えてくれました。

「うーん、ほっとけないというのがあるかもしれません。小学校1年生のときに、私たちにちょっかいを出してくる小学校6年生の男の子に私一人で立ち向かったことがあるんです。おなかにパンチを受けて痛くて泣きましたが、大人たちが来て男の子をこっぴどく叱り、それ以来手を出してこなかったんです。

嫌なことがあった時に立ち向かうと、痛みを伴うリスクはあるけど状況を変えることができるという成功体験をその時してしまいましたね」そして彼女はこう続けます。

「『自分一人なんかの力じゃ』と思ってしまいがちですが、実際、能力の差ってマックス2倍くらいまでだと思うんです。個人の能力差は微々たるもので誤差の範囲。なのであの人にできて自分にできないってことはないんですよね。大事なことは、人を巻き込んで一緒に戦ってくれる人を見つけることだと思います。

自分のためだけならそれほど頑張れないけど、誰かのためにやることなら頑張れる。誰かを巻き込んでやることで自分も強くなれると思うんです」

Mrs of the Yearに出場したきっかけも、コロナ禍で落ち込むイベント業界に明るい話題を提供したかったからだそう。そして思った以上に沢山の方が応援してくれて、自分のやりたいことを彼女に重ねて体験してくれると感じたそうです。

彼女の突き進む姿に影響を受けている人は多いに違いないでしょう。そしてそれを自覚する彼女は、これからもどんどんチャレンジを続けていくに違いありません。

挑戦を続ける会社、株式会社トライフルはこちらからチェックしてみてください。語学を得意とする方や海外在住者は登録しておくと、新しい機会につながるかもしれません。

久野華子(日本)
株式会社トライフルCEO

Interviewed by 周さと子(マカオ)

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