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「バリキャリ女子が元彼の死の謎を解く」元彼の遺言状 新川帆立著

2022年5月19日

元彼を殺した犯人は?

あなたは元彼の情報をどれほど把握しているだろうか?

やはり一旦別れてしまうと入ってくる情報も少なくなるし、今彼やパートナーとの関係を健全に保つために、全く・ほとんど・あまり知らないものではないだろうか。

この小説の主人公の麗子自身もそうだったが、ふと思い出して久しぶりに元彼の栄治にメールを送ってみたところ、代理人から栄治が亡くなったという返信を受け取る。

もし私に同じことが起こったとしたら少なからずショックを受けると思うが、特に行動は起こさないと思う。そして時間の経過とともに記憶の薄れていくことだろう。

しかし、本書はここから展開しはじめる。栄治は「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残して亡くなっており、麗子の元には「元カノ」として招待状が届いたのだった。

本書は2021年第19回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞を受賞し、綾瀬はるかさんを主演にドラマ化されているので知っていたという方もいるかもしれない。

私は著者が知り合いの知り合いで、前々から話を聞いていたのでこの本の発売をとても楽しみにしていた。ヒロインが著者に勝るとも劣らないバリキャリ女子っぷりと設定の斬新さに「さすが!」と脱帽させられたのが第一の感想だった。

著者の新川帆立氏は東京大学卒の弁護士である。それだけに飽き足らず、作家になるという夢を叶え、フジのゴールデンでドラマ化されたというまさにスーパー女子。

そんな彼女の逸話は前々から耳にしていたのだが、それとは別に、純粋に楽しませてもらったミステリー小説だった。

数百億円ともいわれる元彼の遺産の分け前を獲得すべく、ヒロインの剣持麗子は自身の経験とスキルをフルに活かして奮闘する。

「お金がほしいから働いている」と断言する彼女の性格を一言で表現すると「貪欲」。こんなに競争心むき出しで、欲しい物をどんどん手に入れていく彼女は純粋にすごい。実際身近にいたら少し怖いが。

麗子はたまたま失業中だったということもあるが、これを数百億円が手に入る仕事と捉え、バリバリと周りを巻き込みながらストーリーが展開していくのが面白い。

現在ドラマもフジテレビ系列で放映されているので、ぜひ見てみてほしい。綾瀬はるかさんが主演と聞いた時には、癒し系イメージの綾瀬さんが麗子を演じたらどうかと思ったが、さすがは日本を代表する女優の一人、サバサバ感がしっかり出ている。

私自身「綾瀬はるかさんが出ていたら何でも見たい」というほどのファンでもあるのだが、原作とドラマを合わせると再現性や違いも楽しめて、相乗効果で堪能できること間違いなし。

今後の新川さんの活動も楽しみだ。アメリカ・シアトル在住ということで、「いつか世界ウーマンでインタビューさせてもらいう」と麗子に習って仕事への向上心を得た私である。

Written by 藤村ローズ(オランダ)

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