シンガポール在住時代、何かの雑誌で日本人女性のコメントを読んだ。「海外に暮らすのなら英語と運転をマスターすること。」至言だと思った。
自分自身、海外生活はすでに20年を超える。数え切れないほどの貴重な経験を積み、数え切れないほどの出会いがあり、海外ならではの様々な機会にも恵まれ、また挫折も経験した。
そんな中で自分を支えてくれたのは、いつもそばにいる主人でも愛する子供達でもなかった。自分を支えてきたのは自分。これからも、自分の人生を決めるのは自分自身でしかない。
だから私はこれから海外に住みたい、海外で働きたい、日本ではできないことをやって自分を試してみたい、という全ての日本人女性に心からエールを送るとともに、「まずは誰にも負けないくらい英語の勉強がんばってね、それから、ペーパードライバーを卒業して、運転をマスターしてね。」と言いたい。
ちなみに、この世界ウーマンに登録している女性達の中には、無論英語が第一言語ではない国々にお住いの方達も多々いらっしゃると思う。
そのような方々にはさらにその国の第一言語も勉強するという課題があるかと想像する。。。大変ご苦労様です!と、現在英国に住む私はほっと胸をなで下ろしている次第である。
世界の共通語である英語を話す必要性については、至極当然のこと、とお思いでしょう。
まさにその通り。そして、これだけは、どんなに日本で勉強して準備しても、実際に海外に住んで煮え湯をのみ、耐えに耐え、忍びに忍んで身につけていくしかないのである。
日本では英文学科、その後イギリスの大学を卒業した自分でも、海外での仕事場で堂々と交渉できる、フォーマルなディナーの場で、初対面の方々といわゆる「polite conversation/small talk 」をマスターする、はては学校の国際色豊かなママ友たちと気軽におしゃべりする(実はこれが一番難関!?)、のレベルに至るまで5年から10年はかかった。
そしてここで重要になるのが、先述の「運転」である。
日常生活や仕事で自分のために使う、というのは勿論のこと、海外生活でのママ友ネットワークに運転はかかせない!
なぜなら学校の後のサッカーで「あ、うちの子もサッカーに行くから帰り送ってくれない?」「じゃあ私が連れていくから、あなたが送ってきて」「XXちゃんの誕生会、よかったらあなたの娘も乗せていくわよ」とまあこういう具合に会話が広がり、ついには「うちでコーヒーモーニングするからあなたも来ない?」となるわけである。
海外の慣れない場所での生活ではこうしたコミュニティレベルでの助け合いは不可欠で、運転ができないと話にならない。逆に英語がちょっと怪しくても、運転さえできればなんとかこのコミュニティの輪の中に入り込んで生活の土台を築くことができる。
もちろん都市に住んでいる方々はそんな必要もないかもしれないが、このご時世、いつどこに転勤、いつどこで車が必要になるかわからない。準備できるもの、できる事はしておく、それが世界ウーマンの基本ではないでしょうか!
次回は「海外で働く」コラムでシンガポール、マレーシア、英国での職場事情を紹介します。
Written by アレン真理子(イギリス)