
皆さんこんにちは、ブラジル帰りのキャリアコンサルタント・マリです。世界中どこにいても輝けるキャリア&ライフを応援します。
帰国後初の新年を迎えました。残念ながら旅行に行ったり、大人数で集ったりすることはできませんでしたが、昔から頻繁に行っていた、お正月恒例行事を今年も敢行しました。
それは、「隅田川七福神めぐり」です。
皆さんも、日本にいたらお正月は初詣しますよね。神社などへ行って、一年の無事を祈ったり、特別なお願い事をしたり、無信仰と言われる日本人も意外と節目節目で神頼みしてます。
人混みで賑あう人気の寺社1ヶ所へ行ってあれこれお願いするのも良いのですが、それでは神様も依頼が殺到して、なかなか叶えてくれそうにもないので、私は「役割分担」している7柱の神様に会いに行くことにしています。(神様を数える単位は「柱」)
七福神信仰は室町時代に始まり、今のような形で庶民に親しまれるようになったのは、江戸時代からのようです。どちらかと言うと、関東の方がポピュラーかもしれません。
一つの宝船に七柱の神様を相乗りさせて、幸運の象徴として祀る、誠に縁起の良いユニットです。しかも、神様たちはインターナショナル。日本人は恵比寿さまだけで、あとはインドや中国から渡って来られたとのこと。
グローバルなキャスティングをまるっとまとめる辺りは、意外と合理的かつオリジナリティ溢れる日本ならではの発想だなと感心します。では、まず神様たちをご紹介します。

唯一、made in Japan の神様です。釣竿を持ち、鯛を小脇に抱えた漁師の守り神でしたが、大漁をもたらすことから転じて、商売繁盛の神様となりました。
元はヒンドゥー教の神様でしたが、日本に渡って大国主命(オオクニヌシノミコト)と結びつき一体化されました。打出の小槌を持ち、たくさんの財運をもたらします。
中国の禅僧がモデルで、唯一、実在の人物と言われています。福々しいお顔と大きなお腹で、幸運をたくさん運んで来ます。肩に担いだ大きな袋は「堪忍袋」、我慢の限界が来た時「堪忍袋の緒が切れる」というのはここから来てます。こんな和かな人を怒らせたら、どれだけ怖いかと言うことですね。
唯一、紅一点・女性の神様です。才能と財力を持ち合わせていて、水とも関わりが深いので広島の厳島神社や神奈川県江ノ島などにも祀られています。芸能人の方が芸事が上手くなりますようにとお詣りされるようで、隅田川沿いには木の実ナナさんの植樹があります。
中国の道教の神様ですが、幸福(福)・身分(禄)・寿命(寿)のすべてを兼ね備えていることから、福禄寿と呼ばれます。ややタスクの多い神様です。寿老人と重ねられることがありますが、鶴亀を従えているので、そこで見分けます。
同じく中国道教の神様です。見ると寿命が延びると言われています。長くて白い髭が特徴的で、長寿のシンボルである鹿を従えていることも有ります。
インドから来た勇ましい神様です。戦国時代の武将達にも絶大な人気があったようです。別名「多聞天」とも言うので、隅田川沿いで毘沙門天を祀っているお寺はその名も多聞寺と言います。
以上のように、それぞれの神様は役割を持っていますので、一つ一つお詣りしながら、「仕事がうまくいきますように」「健康に過ごせますように」「家庭円満、ハッピーに暮らせますような」など、それぞれにお願いすれば、分担して確実に願いを叶えてくれそうな気がします。

ではいよいよ、「隅田川七福神巡り」についてご説明します。
東京には谷中、日本橋、浅草、目黒など他のルートも多々あるのですが、私は隅田川に沿って下町情緒あふれる街並みを歩くのが、「江戸」っぽくて好きです。
上の地図をご覧ください。
要するにオリエンテーリングみたいなもので、地図に沿って寺社を一つずつ訪ねます。元旦から1月7日の七草までは、各神社寺院で開帳していますので、神様のご尊顔を拝見できます。
そして、同じくこの期間でしかできない江戸時代から伝わる参拝方法に則って、各寺社で神様の「ご分体」を集めます。ご分体とは、瀬戸物で出来た高さ5センチほどの神様のフィギュアです。
最初か最後の寺社で素焼きの宝船もを揃えて、ご分体を乗せて祀ります。船の先を家の中心に向けて置くと、たくさんの幸運が招かれると言われています。
ちなみに、お金のことを言うのは気が引けますが、ご分体一つ500円、宝船は2000円なので、トータル5500円で7つのお願いが叶うはず。
投資金額を抑えたい場合は、色紙に御朱印(一つ500円)を集めることも可能です。さらに開運のコストパフォーマンスを上げるなら、「隅田川七福神めぐり 墨堤名所案内」という周辺の観光案内とスタンプ帳を兼ねたものが300円で売られています。

全長5.5キロ、ゆるゆる歩きながら、お詣りすると、大体2〜2時間半くらいです。何度も通っていると要領も分かり、道にも迷わず、今年は記録更新、2時間を切りました。
始点終点はお好みですが、私は浅草駅を起点に吾妻橋を渡り、隅田川向こうの三囲神社からスタートするルートが好きです。
三囲神社は、越後屋(現三越)ゆかりの神社です。ここには、恵比寿、大黒天二つが祀られています。白狐の伝説もあり、お稲荷さんの神社です。宝物はこの神社でお求め下さい。
300メートルほど歩くと、弘福寺に到着です。風邪予防の像があり、参拝のお土産に咳き止め飴も売っています。布袋尊が祀られております。
すでにここまでで、「仕事がうまくいき、財運をもたらし、家族仲良く、笑顔が絶えませんように」なんて、欲張りなお願いしました。
そして、弘福寺のすぐ隣には、弁財天のいる長命寺があります。なんでも徳川家光が鷹狩の途中に腹痛を起こし、境内の水で薬を飲んだところ、みごと回復したことよりその名がついたようです。
弁財天は、水に関連する神様だけに、長命寺の水は重要なんですね。
ここでは、一つ注意があります。カップルで参拝する時、弁財天だけは2人別々にご参拝下さい。弁財天は女性の神様、嫉妬して別れさせるパワーを持っていると言います。縁を切りたい時は、お試し下さい(笑)

弁財天にお願いして才能が磨かれたところで、長命寺まで行ったら、裏口から出て隣にある「長命寺桜もち」に必ずお立ち寄り下さい。お土産にもできますが、店内で赤い毛氈に座り、お茶と桜もちいただくのが最高です。
これがあるから、数ある七福神巡りの中でも、隅田川をイチオシしていると言っても過言ではありません。塩漬けにした桜の葉と餡子の甘さが相まって、疲れが飛びます。
桜もちで元気回復した後、余力が有れば道を挟んだ向かい側ある「言問団子」もチェックしておきましょう。餡子、白餡、味噌あんの三種が一つになった見た目も美しいお団子です。って、食べてばかりではないか!
さてさて次へ向かいます。1キロほど歩いて、次は向島百花園へ。ここは、江戸の町民文化を代表する文化人達の発案で、お庭に福禄樹を祀り信仰したそうです。
先程、福禄寿はタスクの多い神様だとお伝えしましたが、それだけに人望を集めることにもご利益があります。お庭には茶店があり、甘酒が振る舞われて居ます。また、七草粥に入れる七草も栽培されてます。春の七草、言えますか?
お庭をぐるっと一周したら、つぎは200メートルほど離れたところにある白髭神社に向かいます。道案内の守り神である猿田彦命がいることより、千客万来、人々が集まる場所となりました。
ブラジルへ行く前、コロナもなかった頃は、子供達の太鼓の演奏が舞台上で行われて、とても賑やかなお正月の風景を覚えています。

最後は少し離れているのですが、1.5キロほど先の多聞寺を目指します。ゆるゆる歩くと30分弱ですが、先程桜もち食べたのでパワーは全開です。
多聞寺の周りは住宅街ですが、少し昭和の香りがします。勇壮な毘沙門天が祀られているだけに、とても立派な堂々としたお寺です。
多聞寺のそばには、東武線の鐘ヶ淵という小さな駅があります。なかなか開かない踏切や、多聞寺の屋根が夕陽に照らされる風景が好きで、私はここを終点として七福神巡りを終えます。
今年も良く歩きました。そして、たくさんお願いしちゃいました。
帰りは、スカイツリーも近いのでちょっと寄って行くのもよし、浅草まで戻って賑やかな街を歩くのもよし、はたまた下町のお蕎麦屋さんなんかで手打ち蕎麦を啜るもよし、隅田川七福神界隈はたくさんのカルチャーに溢れているのです。
7柱の神様に導かれて、一年に一度この道を歩くと、それだけでお願い事の8割が叶った気持ちになるから不思議です。
あ、だけどもう一つだけお願いします。
神様、どうぞ全員で力を合わせて、早く世界の誰もが自由に動けるようにして下さい。チームワークでよろしくお願いします!
Written by 岩井真理(日本)