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EU離脱後のイギリスへ渡航。ヨーロッパ内の新しい移動ルール

2022年3月26日
高見節佳 (デンマーク)

ストックホルム・アーランダ空港の免税店。イギリスのEU離脱を実感します(2021年撮影)

ブレグジット後のイギリス渡航で大失敗

EUを離脱して昨年から新しい時代が始まったイギリス。3月初旬に、出張を絡めて訪れる機会に恵まれました。

2年前のデンマーク移住以降も、国内やスウェーデンとの行き来など移動が多かった私達。

コペンハーゲンのカストラップ空港にもすっかり慣れ、混雑を避ける意味でも時間ギリギリまでは空いているラウンジで過ごすのが習慣になっていたのですが、その「慣れ」によって大失敗をしてしまいました。

いつも通り搭乗15分前にラウンジを後にしてゲートへ歩く途中、私達が目にしたのはものすごーく長い行列。そしてその先にあったのはパスポートコントロール(出国審査場)。

私達がこれから向かうのはEU圏外なので、デンマーク出国時にもパスポートチェックが必要だったのです。

実際には、イギリスはブレグジット前も互いの国を自由に行き来できる「シェンゲン協定」に加盟していなかったため、EUからの旅行者に対してもチェック自体はあったのですが、IDカードを見せる程度。

夫の記憶によれば、イギリスへ向かう際にスウェーデンやデンマーク側ではパスポートチェックもなかったそうです。

今回はその恩恵のない「外国「へ行くとわかっていたはずなのに。自宅を出る時には「気をつけねば」と思っていたのに。慣れと、「ヨーロッパ=EU」という意識が抜けない結果、してしまった大失態でした。

焦りつつ最後尾に並び直すも、100人近くの大行列。そこに窓口は3つだけ。大変申し訳ないと思いつつ、事情を話して一組ずつ前に進めさせていただき、なんとか時間内に通り抜けることができました。

快く、人によっては「あ〜、わかるわかる」と笑いながら譲って下さった皆様に心から感謝申し上げます。皆様もヨーロッパ国内からイギリスへ向かわれる際にはぜひご注意下さいね。

 

免税でお買物ができるはずでしたが…

ドーチェスターホテルのアフタヌーンティー。長年かけて開発された”ドーチェスターローズ”と

また、厳しいことで有名なイギリス入国時のパスポートチェック。EUからの旅行者に対しても復活かと不安になりましたが、こちらは大丈夫でした。

EUパスポート保持者は自動ゲート使用。日本パスポート保持者も、数年前に許可された自動ゲート使用の継続可能のため、長い行列に並んだり質問にビクビクすることなくスムーズに入国できたのでした。

海外旅行者にとっての魅力のひとつは免税でのショッピング。イギリスの離脱と同時に、EU在住者も訪英時には免税でお買物ができる、はずでしたが…。

昨年、イギリス政府は国内における海外旅行者への免税システムを凍結しました。

イギリス国内でも、免税廃止によって旅行者の購入意欲が失われ、小売店の売上減少や雇用・製造業などへのダメージにつながることが懸念されていますが、現時点でも継続中です。

旅行者には一部例外も適用されますが、その内容は「購入したものをイギリス国外へ直接『送付』する場合には、免税手続きができる」というもの。でも、大きな問題が残ります。

 

出国の際は「去るもの追わず」のイギリス

イギリス・ロンドンのリージェント公園。満開の水仙が春を告げます

①送った荷物が無事に手元へ届くかどうか保証がない。特に高額な品物などは、いくらお店側が有名な運送会社を利用したり、保険をかけたとしても不安が残ります。

②荷物が自国に到着した際には、品物の金額に応じてその国で課税されるため、結果的に免税にはなりません。

となれば、わざわざリスクを犯して購入品を送付したり、面倒な手続きをする意味がありません。

私達もロンドンに本店があるお店での買物を考えていたのですが、上記①②を考慮して、今回は見送りました。

教訓をもとに、早めの行動を心がけたイギリスからの帰路。

最難関のパスポートコントロールへも余裕を持ち、搭乗30分前にはラウンジを後にして進むと、、そのまま搭乗ゲートに着きました。

「パスポートコントロールは一体どこに?まさか気付かずにすり抜けた?」と焦ったものの、こちらも忘れていました。イギリスは、出国する際のパスポートチェックはないのです。去るものは追わず。

たくさんの新発見を、ぜひ次回の訪英にも活かしたいと思います。

Written by 高見節佳(デンマーク)

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