私たちは2010年からシンガポールに暮らし、その後マレーシアやイギリスでの生活を経て、今に至ります。
当時3歳だった我が息子も、早いものでもう14歳。日本でいうと、今年の4月から高校生になる学年です。2歳の時に少しの間だけ日本の保育園に入っていたことはあるのですが、日本で学生生活を送ったことはほぼありません。
そんな息子が、「日本で高校生になりたい」と強い口調で私に伝えてきたのが数ヶ月前のことでした。
小さい頃から親の仕事の都合で海外生活、転校を余儀なくされてきた息子ですが、どの国に暮らしても変わらずに興味や憧れがあったのは、自分のルーツである日本だったと言います。
海外に暮らしていると、日本人なので日本について聞かれる事は多いけれど、暮らしたことがないのでうまく答えられない。日本のことをもっと知りたいという気持ちが強くあるようです。
特に興味があるのが茶道、また近頃はYouTubeやアニメ、ドラマなどで、簡単に日本の高校生活の一部を垣間見ることができ、憧れが強くなったようです。
今まで自分から何かをしたいと言うことがなかった息子が初めて口にした夢を、親として応援しないわけにはいかないと思いました。
どちらかというと不器用な母親である私のケースは、人の役に立つものではないかもしれませんが、こんな人もいるよ!ということで、この数ヶ月、高校受験に向き合ってみたお話を綴ってみたいと思います。
シンガポール日本人会で茶道の体験をしたことが日本への興味に
私が今まで滞在したシンガポール、マレーシアのクアラルンプール、ロンドンには日本人の駐在員も多く、日本の進学塾が必ずあり、多くの子どもたちが中学受験を視野に入れて一斉に塾に通いはじめました。
その後も塾には行かずに独自路線を歩んでいた我が家ですが、中学3年生からロンドンにある日本の大手進学塾に通いはじめます。
日本の高校へ進学するには、インターネットで調べるだけでは分からないような、細やかな情報が必要になってくるため、中学3年生からでも塾に通っていたことは支えとなりました。
全ての国に日本の進学塾が進出しているわけではないので、近隣のヨーロッパ諸国からもオンラインで受講されている方がたくさんいらっしゃいました。
本来なら遅くとも中学2年生には、日本に一度、出向いて学校見学をしたかったのですが、このコロナ禍ではままならず、主に各学校のホームページや、YouTubeに上がっている学校紹介の動画を見て、志望校を絞り込んでいきました。
彼には将来やってみたいと思う職業が漠然とあるのですが、その職業に就くにはどこに進学すればよいのかというところから調べて考えていました。取得していた英検の資格で優遇される学校も候補に入れました。
でも学校調べのスイッチが入ったのが少し遅くて、各学校の主催する学校説明会は、もうすでに終わってしまっているものも多かったです。少なくとも1年前位から学校を絞りはじめたらよかったなと思います。
また息子は、実際に学校に通っている生徒たちの口コミサイトや、学校行事のランキングサイトを参考にしていました。学校行事の楽しさや、校則の自由度などを熱心に調べていました。
コロナ以前ならば、試験の1週間ほど前に日本に入国すればよかったと思います。
しかし、今後コロナが収まっていくのかどうか、自主隔離や強制隔離の期間がどうなるか不透明な中で、どのくらい前に日本入りすればよいのかということには頭を悩まされました。
結果として、1校目の試験の3週間前の12月1日の飛行機を予約しました。
奇しくも、オミクロン株の感染者がイギリスからも発生したのがその数日前。イギリスから日本に入った人は6日間、政府が管理する強制隔離の施設に収容され、その後8日間は自主隔離を余儀なくされることとなってしまいました。
離陸前の48時間以内にPCR検査の陰性証明を取得しなければならないのですが、もしも陽性になったら全ての予定が狂って受験をすることができなくなってしまいます。
陰性証明を取得するために、渡航2週間前から外に出ないようにすると言っている受験生の子を持つ友人もいましたが、私は直前まで仕事があったため、繁華街にも出なければなりませんでした。
私が陽性になって息子の受験を狂わせるわけにはいかないと、陰性証明をきちんと取得できるまでは本当に緊張しましたが、なんとか陰性証明を取得し、渡航することができました。
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