近年、日本の少子高齢化が進み、外国人労働者が増えていると聞きます。その外国人労働者の中には、私の住むインドネシアからの労働者も多くいます。身近でも「今度親戚が日本で働くことになった」という話をよく聞きます。
実際は、どれくらいのインドネシア人が日本で働いているのでしょうか?
調べてみると、日本で働く外国人全体の人数は2021年のデータで約166万人。これは鹿児島県の人口を少し超えるほどの人数だそうで、こんなにたくさんの外国人が日本で働いているのかと驚きます。
そのうちインドネシア人労働者は約5万人で、全体の人数に比べるとさほど多くはないように見えますが、それでも5万人。しかも前年と比較した人数の増加は、ベトナムに次いでインドネシアが2番目に高かったそうなのです。
都道府県でいうと、インドネシア人の人口が多いのは順に、一位は愛知県、二位は東京都、三位は茨城県。
これを見て「そういえば!」と思い出したのですが、3年ほど前に茨城在住の友人から「近くの農家にインドネシア人の技能実習生がいる」と連絡をもらったことがありました。
インドネシア人の労働者の多くは、機械系エンジニア、農業、漁業の分野で日本で頑張って働いています。漁業船の事故のニュースなどで、乗組員のリストにインドネシア人の名前があることも少なくありません。
最近では看護技能実習生として日本に行くインドネシア人も多いです。そして実習生の多くは、看護師の国家試験にまで日本語で挑戦する人たちも少なくないといいます。
実際インドネシア国内の外国人が行くレベルの病院で、日本語を流暢に話し日本人の患者さんの担当をするインドネシア人看護師を見たことがあります。
このように日本での経験を活かして、インドネシア国内でのキャリアアップをする人たちもいれば、日本で稼いだお給料を貯金して、インドネシアに帰国後にその貯金を資金に事業を始めるインドネシア人も多いです。
インドネシア国内には、インドネシア人技能実習生を派遣する学校やエージェントが沢山あります。
日本に本社があり、東南アジアの数か国に支店を持つ大きな会社から、自身が元技能実習生で実習生派遣エージェントを立ち上げたというケースまでさまざま。
このようなエージェントでは、日本語教育、日本文化と倫理の教育、パスポート申請から就労ビザのサポートまで、トータルでサポートしています。
実は私は大手派遣エージェントの派遣実習生の面接の場に立ち会ったことがありますが、その面接はとてもびっくりしてしまうものでした。
まず候補者の「生徒」の身なりと立ち居振る舞いです。
私が立ち会った面接会場にいた実習生候補はみんな男性でした。高校生くらいの年齢層です。彼らはみんな坊主頭で、白いYシャツに黒いズボン、100%全員が同じ格好をしていました。
そして、面接の始まり、部屋に入ってから面接終了まで、その立ち居ぶるまいはまるで軍隊のようなのです!
全員できびきびと大きな声で号令し、椅子に背筋をピンと伸ばして座り、両手はグーで膝の上、面接官の質問にも「できるだけ」日本語で答えていました。すごいなぁ・・・と感心してしまいました。(写真参照:http://lpk-aishiro.com/im-japan/)
そのように派遣エージェントで教育を受けているのです。そして面接官の質問に、みんな決まって「日本で仕事の倫理を学びたい」と答えるのです。
本音でそのように思っている候補生もいると思いますが、多くの候補生はインドネシアの地方の出身で、日本行きを家族の家計を支えるために希望しています。
このように一生懸命に日本語、マナーなどを学んで面接に臨んでも、全員が採用されて日本に派遣されるわけではありません。厳しい世界です。
これだけ頑張って日本で働くチャンスを得たインドネシア人労働者たちには、全力で仕事をしてほしいですし、多くを学んで帰国してほしいなと思います。
Written by 杏子スパルディ(インドネシア)