四季のないインドネシアに長らく住んでいると、日本の旬の食べ物が恋しくなることが多々あります。
特にここでは入手困難、またはできても高価なのが、春や秋の果物。さくらんぼ、いちご、もも、柿などは、常夏・熱帯の当地では貴重、またはほとんど手に入りません。
しかしだからといって、ここインドネシアではおいしい果物にありつけないか、と言えばそうではありません。常夏のこの国だからこそ年中食べられるもの、また日本よりも種類が多い果物もたくさんあります。
今回のコラムでは、そんな南国フルーツと、その健康的効能を併せてご紹介したいと思います。
まずは最近私が最も注目している果物、グアバです。
インドネシア語では「Jambu」と言います。常夏のこの国でも果物にはシーズンや旬の時期がありますが、グアバは年中食べることができます。
皮をむく前(上)と、むいて切った後(下)のグアバ
初めて食べた時に私も驚いた種の多さにより、若干食べにくいですが、インドネシア人夫によると、この種にも栄養があるとかで、夫はボリボリと種まで食べます(笑)。
さすがに私や子供たちは種まで食べるのは難しく、ジュースにすることが多いです。
実はグアバは、ビタミンC含有量がミカンよりも多いそう。先述の、種にも栄養がある、という夫の発言が気になったので検索し調べてみると、やはり種にもビタミンAが多く含まれるようです。
ビタミン以外にも、インドネシアならではの、ある病気にも良いと言われています。
なんとグアバは、デング熱患者が食べると良いと言われています。
以前から一般に言われていることですが、今回このコラムを書くにあたり調べてみたら、やはりデング熱に良いそうで、特に種も一緒にジュースにして飲むと、血小板を増やす効果があるそうです。
次に、南国フルーツと言えば、おそらく日本人にももっとも馴染みのある(?)バナナ。インドネシアにはたくさんの種類のバナナがあります。
色や大きさが様々なインドネシアのバナナ。その食べ方も色々で、生でそのまま食べるもの、甘い衣をつけてフリッターのように揚げて食べるもの、ヤシ砂糖とココナツミルクで煮込みぜんざいのようにして食べるもの、などがあります。
そんなバナナとパパイヤは、実は離乳食の定番でもあります。私はインドネシアで二人の子供を育てていますが、どちらも初めての離乳食はバナナとパパイヤです。
離乳食に適していると言われるアンボンという種類のバナナもあり、そのバナナをスプーンで潰すようにすくってそのまま赤ちゃんに食べさせます。
パパイヤも、よく熟れたものをスプーンで潰して食べさせます。ここ、南国ならではの天然の離乳食ではないでしょうか。
実はこのバナナとパパイヤにはそれぞれ効能があり、子供たちが赤ちゃんの時にインドネシア人義母に教わりました。
バナナには整腸作用のようなものがあり、赤ちゃんの便が緩い時に食べさせると良いです。逆にパパイヤは、便が固い時に食べさせると良い果物で、もちろん大人の便秘にも効果があります。
腸や便秘の話が出たついでに書いてしまいますが、同じく南国フルーツのスネークフルーツは、便を固くすると言われていますので、お気を付けくださいね。
左からドリアン、Gedong gincuという種類のマンゴー、右上より下に向かってマンゴスチン、ランブータン、スターフルーツ
最後にご紹介したいのが、近年日本でも大人気のマンゴー。
マンゴーもインドネシアにはいくつかの種類があり、一般的に日本で出回っているような、大きめで緑色の皮のものはインドネシアではHarum manisという品種です。直訳すると「香りよく甘い」。名前からして美味しそうですよね。
我が家でよく食べる種類は、こちらの「Gedong gincu (グドンギンチュ)」という種類です。小ぶりで皮は黄色、少し酸味があり、独特のいい香りがします。
日本では高価なマンゴーですが、出回る時期や旬はあるものの、簡単に安く食べられるインドネシア。毎年マンゴーの時期になると、とても恵まれているなぁと、感謝しながらたくさんいただいています。
まさに、インドネシアはトロピカルフルーツと言っても過言ではないでしょう。
今回はすべてご紹介できませんでしたが、インドネシアには他にも、ドリアン、マンゴスチン、ランブータン、サラック、パッションフルーツ、ドゥク、スターフルーツなど、たくさんの美味しいトロピカルフルーツがあります。
果物は各国の税関の規制等により、なかなか生のものをお土産にすることができません。
インドネシアにお越しの際には、是非現地で日本にはない種類の果物を味わっていただけたらな、と思います。
Written by 杏子スパルディ(インドネシア)