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長期休暇は当たり前?文化で異なる有給休暇のスタンダード

2023年2月10日
野田リエ (アメリカ)

長期休暇が取れる企業は優良企業?

こんにちは!野田リエです。さて、様々な盛り上がりを見せた昨年のサッカーワールドカップ・カタール大会はまだ記憶に新しいかと思います。

大会開催中のニュースの一つに、現地で試合を観戦中のNTT東日本の社員が上司に向けて掲げたあるメッセージカードがFIFA公式ツイッターアカウントで取り上げられ、話題になりました。

「ボス、2週間の休暇をありがとう(Dear My Boss, Thank you for my 2-week off)」

「この言葉をすべての上司に贈ります(This one goes out to all the bosses out there)」と紹介され、「NTT東日本はなんて素晴らしい企業なんだ!」という好意的なコメントが大半を占める中、「そんなの普通じゃん?」という若干白けたコメントも目にしました。

あなたはこのニュースを、どう感じたでしょうか?

今回は、国や地域によって違う有給休暇のスタンダードについてお話したいと思います。

ところ変われば常識も違う面白さと、外資や海外で勤務した際に休暇を取るための予備知識として楽しんでいただければ幸いです!

 

長期休暇は欧州や南米では当たり前

言うまでもなく、祝祭日の数や労働法は国や地域によって違います。わたしの住んでいるアメリカは、州によっても規定が異なるので慣れるまでかなり混乱しました。

例えば、カリフォルニア州には「年内に未消化の有給休暇は失効せず、翌年に持ち越せる」という規定があるのに対し、他州では年内に消化しなかった有給は失効扱いになったり。

同じ国で同じ企業で働いているのに、勤務地(州)によって有給の扱いが異なるのです。また、所得税をはじめ税率も州によって左右されるので、アメリカで働く場合は勤務地も考慮すべきポイントになると思います。

それはさておき、長期休暇文化で有名なのはやはり欧州ですよね。

2020年に行われた調査では、世界一有給休暇が多い国はオーストリアだそうです。内訳は、25日の有給休暇と13日の祝祭日を合わせた合計38日。年の1割以上を有給で休めるとは、なかなか魅力的ですね。

次いで、フランスとスペインが36日、韓国が31日、ドイツ(30日)、イギリス(28日)、日本(26日)が上位に名を連ねていました。

 

アメリカ企業年間有給日数は10〜13日前後

この調査ランキングには入っていませんでしたが、ブラジルには1年以上働いた従業員に年間30日の有給休暇を与えるという労働法があります。

これは祝祭日抜きのはずなので、合計ではオーストリアを越えるのではないでしょうか。

野田の勤務先でも、ブラジルオフィスの同僚たちが年に1回、3から4週間の長期休暇をドカッと取るのを目にします。これは拒否権がなく、必ず取らなければいけない休暇だとか。

ちなみに、アメリカ企業の年間有給日数は一般的に10から13日前後です。世界一のオーストリア(25日)と比べると、めっちゃ渋いですね。

ただ、わたしは未消化の有給休暇を持ち越せるカリフォルニア州でとある企業に6年ほど勤務した結果、有給が40日近く溜まってしまい、これはこれで焦りました。

州は繰り越し上限の設定を雇用側に丸投げしているので、一概には言えませんが、だいたい2週間くらいな肌感覚です。

大抵、雇用側から「〇月〇日をもって、あなたの未消化の有給〇時間が失効します。無駄にしたくなければ、期日までに有給取ってね」的なメッセージが送られてくるものです。

今の勤務先は人事に問い合わせても「カリフォルニア勤務者の有給は失効しません」という簡単な答えしかなく。ほんとかな…。

 

有給があっても取れるかどうかは別の話

でも仮に有給が与えられたとしても、実際にそれが取れる環境にいるかは別の話ですよね。

欧州やブラジルのように、文化や法という強制力があれば大手を振って休暇を取れますが、日本やアメリカなど職場環境に少なからず左右される場合も然り。

たとえば、40日近い未消化休暇があった野田には、自分の穴を埋められる人が他に居ない仕事をしていたという背景がありました。

休暇申請をしても、急ぎの仕事が入れば自分で対応せざるを得なかったので、休暇へのモチベーションがそもそも低かったんです。

無制限有給休暇制なども一時はもてはやされましたが、任意で休暇を取れる環境でバランス良く休暇を取るというのは簡単じゃないですよね。個人的には、有給を与えることで雇用側は責任を果たしたことになるのか、複雑な気持ちです。

さて、今回は国や地域によって異なる有給休暇のスタンダードについてお話しましたが、いかがでしたでしょうか?あなたの今後の働き方・休み方の参考になれば嬉しいです!

キャリア・就職面接に関する相談も承っていますので、ご興味ある方はインスタウェブサイトからお気軽にご連絡ください。次回もお楽しみに!

Written by 野田リエ(アメリカ)

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