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物価の上がるマレーシア。日本の1/3の物価というのはもう昔の話

2023年2月11日
土屋芳子 (マレーシア)

最近の食料インフレ率は7%前後

チャイニーズニューイヤーのお祝いモードがひと段落したマレーシアから、こんにちは。土屋芳子です。

世界的に食料の価格が上がっている昨今の食料インフレ率を見ると、日本では2022年10月から急に7%近くまで上がっていますが、マレーシアでも2022年7月からずっと7%前後を推移しています。コロナ前には高い時でも4%前後でした。

10年程前は「マレーシアでは日本の1/3の価格で生活できる」と言われていましたが、ここ5年程は日本の半分くらいの価格のイメージでした。

それが去年くらいから食料インフレ率が上がると同時に、レストランやカフェのメニューの料金はぐっと上がり、「日本で生活するのと変わらないか、むしろ高いんじゃないか?」と思うようなこともしばしば。

確かに、マレーシアは住居費やガソリン代は圧倒的に安いです。東京で3DKで70平米のマンションに月25万円払うとして、同じようなクオリティと立地だとすると、マレーシアでは7〜12万円で住めます。

ガソリンは国が料金の一部を補填してくれているので、全国どこの店でも同じ価格で1リットル64円前後。

ですが、レストランやカフェの単価が急激に上がってきています。

 

レストランやカフェの単価が急上昇

ご飯や麺、サンドウィッチなどの一品料理とドリンクを注文するとして、街の食堂のようなエアコンなしの店で、300円で食事ができていたようなところでは、2割値上がりしても、元々が安いのであまり気になりません。

ローカル食堂をちょっとおしゃれにしたエアコンのある店では、550円だったのが、800〜900円になりました。

それが、コロナ後に続々とオープンしてきているおしゃれなインテリアのカフェやレストランでは、一気に価格が上がっています。

価格感で言うと、パスタやビッグブレックファーストが1200円、カフェラテが500円といった感じの、ドリンクと食事の合計が1200円から2000円位という店も普通にあるような状態です。

特にパンやケーキのクオリティと価格の上昇が目覚ましく、以前は1つ165円のクロワッサンは高いと言われていたのに、今では400〜480円で売る店も多いです。

ケーキは以前は1ピース240円くらいが普通で、450円だと高いと言われていたのが、今ではちょっとおしゃれな店では500円から900円くらいします。

ただ、やみくもに価格が上昇しているわけではなく、その分使用する材料が良くなり、クオリティも格段に上がっています。

東京やパリでいただくのとそう変わらないものもいただけるようになったことは喜ばしいのですが、マレーシアの安いというイメージは完全に変わって来ています。

日本なら1000円や1500円のランチセットでかなり満足度の高い食事ができ、4000円でちょっとしたコース料理がいただけますよね。マレーシアのちょっと素敵なお店では、この価格帯では日本でいただくものより見劣りします。

 

日本の物価を上回る日もそう遠くない?

一般的なマレーシア人で大卒で一般的な会社の事務職に就職した場合、初任給は6万円から7万円くらいです。30歳くらいだと10万円前後。

それでも、おしゃれな高価格帯のカフェは若い女の子やカップルで溢れています。どうやって暮らしていけるのでしょう?

友人によると、アジアの都市部の家庭の子は結婚まではファミリー暮らすのが一般的で、給料全部を自分の好きなことに消費しているとのこと。

また、フリーランスや副業でプチリッチになったり、親がお金持ちだから親と行動を共にして支払ってもらったりしているケースが多いとのこと。

私の住むジョホールバルではシンガポールに通勤している人も多いので、高所得な彼らが高級品の消費を牽引しているという理由もあるでしょう。

もちろん、屋台のような店やエアコンなしのカジュアルな店では、200円で麺料理を食べることができて、70円で紅茶が飲めます。

そういう店にしか行かない生活であれば安く暮らせますが、大抵の日本人は小綺麗な店にも行きたいし、オシャレなカフェでクロワッサンやベーグルも食べたいので、バランスをとりながら生活しているでしょう。

この物価の感覚は、近隣のタイやベトナムでも同じような傾向があると思います。

もはやマレーシアは安い国ではなく、日本の物価を上回る日もそう遠くないのかなという気がしています。

Written by 土屋 芳子(マレーシア)

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