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アメリカ大退職ムーブメントの終焉。雨降って地固まったと思いきや?

2023年8月19日
野田リエ (アメリカ)

アメリカ大退職ムーブメントの終焉

こんにちは!野田リエです。今回は、新しい展開を見せつつあるアメリカの就職市場について書きたいと思います。

2021年にアメリカを揺るがした大退職ムーブメント。日本のニュースでも取り上げられたので、記憶に残っている方もいるかと思います。

全米でパンデミックをきっかけに多くの人々が人生とキャリアを見つめ直し、温めていたビジネス・アイディアを実現させるため、より良い条件の仕事への転職を主な理由に、まるで示し合わせたかのように次々と自ら仕事を辞めていったこの現象。

アメリカ合衆国労働省労働統計局(BLS)の調査によると、2021年でおよそ4,800万人が辞職し、翌年2022年にはさらに5,000万人以上がそれに続きました。

これによって企業側は労働条件の見直しを余儀なくされ、結果的に最低賃金水準が引き上げられるなど、被雇用者に有利な労働環境への改善が促進されました。

そして第一波から2年たったこの夏、メディアでは大退職ムーブメントの終焉が報道され始めました。これはアメリカ(もしくは米系企業)で働く人、働きたいと思っている人にとってどういうことなのか、掘り下げていきたいと思います。

 

辞めずとも、心は仕事にあらず?

この現象の恩恵は、被雇用者が以前より影響力・発言力を得たことだと言われています。

前述した最低賃金の引き上げによって上下の格差が縮まったわけですが、これはなんと1980年以来で、しかもわずか2年で成し遂げられた大きな変化だそうです。

労働力の維持が難しくなった雇用側は、待遇改善と合わせて俗に「サイニングボーナス(signing bonus)」と呼ばれる、雇用契約を結ぶことに対してボーナスを出す企業も増えました。

ただ、これでうまく収まったかと思いきや、手放しで喜べる状況とも言えないようです。

辞職していく人々の勢いが衰えたのも、インフレによる生活費の高騰や地方大手銀行の破綻、有名テック企業の大規模なレイオフなどが相次ぎ、「今辞めたら次があるか分からない」という不安からだという見解もあります。

 

静かな辞職とは?

就職サイトを見る限り、求人の数が大幅に減ったという印象は受けませんが、以前に比べて正社員の募集よりも半年から1年という期限のパート・タイム求人が増えているようです。

多くの企業が、労働力の増強するよりも未来への投資を重んじているということなのでしょうが、働く側にとっては微妙な状況です。

6月に発表されたギャロップが労働者を対象に行った統計によれば、4割以上が「仕事に対して非常にストレスを感じている」、さらに6割近くが「仕事を続けてはいるが、熱心に取り組んでいるわけではない」と回答しました。

この傾向は正式に職場を去る能動的な辞職に対して、「静かな辞職(quiet quitting)」と称されています。

別の調査では、7割近いヤングアダルト層(20歳前後から20代半ば)が「仕事は生活の糧を得る術と考えている」と、割り切った感が浮き彫りになっており、仕事を自身の生き甲斐・アイデンティティーと捉える人々が少なくなっていることが明らかになりました。

若い世代では今に始まった訳でもないと思いますが、短期間で仕事を変える人の割合があまり高いというのは、雇用側にとっても職場環境にとっても悩ましいことです。

 

不安定な状況でも迷わないために

こうして見るとなかなか楽観視できない状況ではありますが、景気が好転するまでじっと息をひそめてストレスでしかない仕事にしがみつくのが最善策かというと、そうではないと思っています。

過去や未来に思いを馳せることはできても、自分が存在できるのは今だけ。今感じている気持ちを正負関係なく認めることで、次のアクションなり選択に迷わなくなると思うんです。

わたし自身、あまりに忙しいと気持ちが麻痺して、自分が今どう感じているのかさえ分からなくなることがあります。

そんな時は、ヨガマットの上で大の字になって深呼吸するのですが、自分がどうやって息をするのか意識しているとふっと気持ちが戻ってくるんですよね。しっくりくる方法は人によって千差万別だと思いますが、ご参考まで。

わたしはキャリア・就職面接に関する相談も承っていますので、ご興味ある方はウェブサイトからお気軽にご連絡ください。次回もお楽しみに!

Written by 野田リエ(アメリカ)

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