国際化が進みボーダレスな世界になり、日本人以外の人と交友関係を持ったり、日本人が国際結婚をしたりする割合も同様に年々増えています。
外国人と結婚・恋愛をすることは、日本人になじみのない文化・宗教に触れることでもあります。
インドネシアの人口はインド、中国、アメリカに続き世界第四位。
国民の大多数はイスラム教徒で、世界一のイスラム教徒人口がいる国と言われています。
日本で働くインドネシア出身の労働者数も年々増えていますので、日本国内でインドネシア人と出会う機会はこれからもより増えていくと思います。
今回のコラムは、これからイスラム教徒との恋愛や結婚をされる皆さんにぜひ知っておいてほしい「宗教・文化的な違い」や「生活面での変化」をシェアします。
イスラム教徒のインドネシア人夫を持つ日本人妻である私の視点から、また、同じようにイスラム教徒と恋愛を経て結婚した日本人の皆さんからの体験談や実情をお伝えします。
イスラム教徒との恋愛や結婚をするにあたり、上がってくる心配事は主に、
・結婚する場合の改宗
・豚肉・お酒を口にすることの禁止
・ライフスタイルの変化(礼拝や断食など)
・婚前交渉の禁止
・女性は服装のルール(肌と髪を隠す)
など、日本で普通に生活していたら特に気にしないようなことが、新たな生活習慣となることです。
実際、私もインスタグラムのダイレクトメッセージで、インドネシア人とおつきあいしている方から質問や相談を受けることがあります。
今回コラムを書くにあたり、イスラム教徒をパートナーに持つ日本人の皆さんに回答していただいたアンケートでも、上述の「イスラム教徒のライフスタイルに関する項目を心配していた」とほとんどの方が回答しました。
「変化に対する準備や覚悟ができるか」という問題以外にも、「イスラム教のルールをよく知らないことでパートナーが戒律違反の罪となってしまうこと」を心配していたという回答もありました。
「身に着けるもの、食事、礼拝などライフスタイルの変化を受け入れ改宗したとしても、その後習慣になるまでが大変だった」という方もいました。
私の場合はもともと豚肉もお酒も好んで口にしていなかったので、食に関する苦労はゼロでした。ラマダンの断食は始めた当初は大変でしたが、これも年々慣れてきます。
「日本でヒジャーブ(女性が頭髪を隠すために用いるスカーフ)をすることに抵抗がある」というアンケート回答もありました。ヒジャーブは月経がはじまる頃に着用し始める人も多いですし、結婚を機にパートナーからヒジャーブをしてほしいと言われるケースも多いです。私の場合は、普段ヒジャーブの着用はしていません。
いずれも、インドネシアでは一部の地域を除いて服装に関しては特に厳しいルールはありませんが、出身国や地域によって違いがあるので、一概に同じとは言えません。
出身国や地域によって違う、さらに言えば個人によって違うというのは、実はすべてに当てはまります。
多くのイスラム教徒が戒律に従い生活していますが、いずれも少数ですが中にはラマダンの断食をしない人もいますし、豚肉やお酒を口にする人もいます。
食品に関して言うと、ハラールマークがないものは絶対に口にしないという人もいますし、特に豚由来の成分やアルコールが入ってなさそうと思えば口にする人もいます。
毎回の礼拝後や日常のちょっとした空き時間に、神の名前を唱え、賛美や感謝や許しを請う「ジクル」を熱心にする人もいますし、さほど熱心にしない人もいます。
婚前交渉についても同様で、いわゆる授かり婚をするカップルも実はゼロではありません。
ただ、インドネシア国内の授かり婚の場合、おなかが大きくなる前の妊娠初期の段階で結婚の儀式をし、親族以外に妊娠を公表しないケースがほとんどです。
他国の場合も似たような事例があるかもしれませんが、インドネシア国外へ進学した若い留学生などは、親元を離れ自由や解放感を感じ、お酒を口にしたり、異性と婚前交渉を含むスキンシップをする人もいます。
そのような人たちも大人になるにつれ、礼拝をはじめとした宗教行為に熱心に取り組むようになったり、イスラムの戒律に真剣に向きあい始める人も多いです。
そのためカジュアルなデートをする関係以上の、真剣なおつきあいや結婚に至らずに関係が終わることも、残念ですがあるかもしれません。
次回のコラムでは、イスラム教徒をパートナーに持つ皆さんの体験談や、これからイスラム教徒と恋愛・結婚をするかもしれない日本人の方々へのアドバイスなどをシェアする予定です。次回もお楽しみに。
Written by 杏子スパルディ(インドネシア)