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アゼルバイジャンレストラン事情。おすすめは伝統的なガーデンレストラン

2022年2月18日
岡田環 (アゼルバイジャン)

アゼルバイジャンのレストランでの注文の仕方

飲みものは、酒類があることもあるけれど、アゼルバイジャンの人々に人気なのは、カンポートという甘く果物を煮たジュースのような飲みもの。市販の瓶詰めもあるけれど、そのお店の自家製があれば、それがおいしい。

夏にたくさん作る保存食で、さくらんぼや桃、梨やかりん、フェイジョアやすぐりといった日本では珍しい果物を煮たものもある。たいてい常温で供されるそれを飲みながら、のんびり料理を待つことになる。

冷たい前菜は、小さな皿に盛り付けたものが一通り大きな盆に並べて運ばれてくるので、その中から好きなものを選ぶ、という方式。

トマトやきゅうりなどの野菜や、ディルやコリアンダー、葱やパセリと言ったハーブの盛り合わせ、各種チーズ、漬物類が定番で、それに焼き野菜のマンガル(バーベキュー)サラダや、フェタチーズに似た白いチーズの入ったチョバン(羊飼い)サラダ、ロシア風のポテトサラダ、オリヴィエや、ミモザサラダなどが加わる。

前菜の種類は実に豊富で、それに地方独特の料理なども加わると、なかなか壮観で、選ぶのが楽しい。そんな小皿をいくつか選んで、ほかほかのかまど(タンディル)焼きの平焼きパン(タンディルチョレキ)ももらい、さあ、と食事を始める。

前菜を食べていると、温かなスープが運ばれてくる。お腹がいっぱいになってしまうのが心配なら、半分のポーションにもしてもらえる。

 

代表的なスープ料理、メインの料理

代表的なスープ料理は、レンズ豆のスープや、小さな餃子のようなものが入ったドゥシュベレや、ヨーグルトと米やハーブの入ったドーガスープなど。

地方ごとに独特なスープもあって、古都シェキの名物は、羊やひよこ豆を素焼きの器で煮込んだビティという料理で、これは冬の楽しみ。

更に北のザガタラでは、柔らかくなるまで煮込んだ羊の干し肉に、手打ちのうどんのような麺が入ったスープがあり、生のにんにくをたくさん加えて食べる、滋養溢れる料理だった。

スープを平らげて待っていると、キャバブやサジなどのメインの料理が運ばれてくる。

キャバブと一口に言っても、いろいろ種類があって、羊や牛、鶏、七面鳥などの様々な部位の肉を炭火焼にしてくれるのだけれど、香辛料はそんなに強くなく、肉本来の美味しさを味わう料理。

それに薄切りの玉ねぎをスマックというゆかりのような香りのスパイスが添えてあって、油っぽい肉料理をさっぱりとしてくれる。

サジという鉄板料理は、元来はグバ県の郷土料理であったらしいけれども、アゼルバイジャン各地で食べられるポピュラーなもの。

中華鍋のような鉄鍋に、炒めて少しトマトを加えて煮込んだような肉(羊や牛、鶏にするか選ぶ)に、たっぷりの揚げ焼きにしたナスやピーマン、トマトやじゃがいもなどが添えられる、ボリュームたっぷりの料理。

熱々が美味しいので、たいていは卓上に炭火のかけらとともに供されて、最後まで温かく食べられる。

メインの料理をいくつも頼んで、わいわいと取り分けながら食べるのが、アゼルバイジャンのスタイルで、これもまた楽しい。

 

大人数でわいわい訪れるのもいいし、個室で家族で楽しむのも

肉料理に、たくさんのパンを食べ、甘いカンポートを飲んで、ハーブを口に放り込むと、ここがかつてのシルクロードのオアシス都市であることをぼんやりと思い出す。

食後はチャイ。紅茶と緑茶の両方を楽しむ土地柄で、好きな方を注文すると、ポットの茶と小さいグラスが運ばれてくる。

小さな角砂糖を口に放り込んで、続けて熱い茶を口に含んで楽しむのがアゼルバイジャンのスタイル。レモンの薄切りが添えられることもある。

中央アジアの国々では、日本と同様に食事中に茶を飲む習慣が多かったけれど、アゼルバイジャンではトルコと同様で、食後になって初めて茶が出てくることが多い。

肉の脂をさっぱりと甘い茶で流して、バクラヴァやハルワ等の菓子をつまんだり、季節の果物を食べたりして、食事のしめくくり。

こんなスタイルのレストランは、大人数でわいわい訪れるのもいいし、個室で家族で楽しむのにも良くて、広い庭があったり遊具があるので、子どもたちも楽しめる。

バクー市内だと少し郊外か、地方の風光明媚な森や海辺にたくさんあるスタイルなので、旅に出た時の楽しみでもある。

これからの暖かくなる季節、アゼルバイジャンの伝統的なガーデンレストランを訪れるのが楽しみになってくる。

Written by 岡田環(アゼルバイジャン)

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