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ユネスコの世界無形文化遺産、インドネシアの伝統的な蝋けつ染「バティック」

2022年6月6日
スパルディ杏子 (インドネシア)

結婚式参列時の夫の親戚たち

インドネシアの伝統的な「バティック」

今回のコラムでは、バティックについてご紹介します。バティックとはインドネシアの伝統的な「蝋けつ染」で様々な模様をモチーフにした布で、日本では「ジャワ更紗」とも呼ばれているものです。

バティックの始まりはその昔ジャワの人たちが壁に描いた絵が起源と言われていますが、17世紀頃にマジャパヒット王朝でバティックの布が使われ始めたそうです。代表的な模様は、幾何学模様、花柄、十字、雲などがあります。

2009年にバティックは、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。それ以来、インドネシア国内の多くの企業は毎週金曜日をバティックデーとし、バティック着用で出勤することが奨励されるようになりました。

しかしそれ以前からも、バティックは人々の暮らしの中でごく普通に身に着けられてきました。また正装として、行事や儀式の時にも男女ともに身に着けられています。

国際会議などがある時にも、インドネシア政府代表はもちろん、各国首脳にも提供されてきました。

インドネシア前政権のユドヨノ元大統領が、日本の安倍元総理大臣にプレゼントしたこともあり、安倍さんがバティックを着ている写真もインターネット上で見ることができます。

 

カジュアルな普段着からフォーマルなものまで

我が家にもたくさんのバティック製品が

バティックと言ってもそのクオリティや値段は様々で、模様がプリントされた量産品から、伝統的な工房で模様を蝋で一つ一つつけた高級品まであります。

バティックはカジュアルな普段着から、結婚式や政治イベントで着用されるフォーマルなものまで本当に幅広いデザインがあります。

そして、洋服だけではなく、カバン、靴、アクセサリー、人形など、インドネシアにはありとあらゆるバティック製品があります。

ベッドカバーや赤ちゃん用の抱っこ紐(というよりも抱っこ布)、バティック柄の食器類など、バティックは日用品にも多くみられます。

インドネシアの結婚式で、新郎新婦や参列者の多くが着用する伝統衣装「クバヤ(ケバヤ)」もバティックです。クバヤはブラウスとワンピースを組み合わせたもので、薄手の素材から作られることが多いです。

トップの写真は、結婚式参列の時の夫の親戚のおばさまたち。友人の結婚式に参列した際にも、夫婦でバティックを着て行きました。

普段使いのバティックというと、子供服のバティックも多くあります。それ以外にもポーチやカバンなど、改めて並べてみると、「我が家にもたくさんのバティック製品があるなぁ」と自分でも驚きます。

 

花王インドネシアがバティック専用の洗剤も

左上:Cirebonの王朝跡に展示されていたバティック、左下・右:花王インドネシアの製品

インドネシアでは、私立・公立に関わらずほとんどの学校の制服でバティックが採用されています。幼稚園~高校までみんなです。

インドネシアの学校では制服は月曜から金曜まで日替わりで、週に一回は必ずといって良いほどバティックが入っています。我が家の子供たちの小学校も、毎週火曜日がバティック着用の日になっています。

最後に、インドネシアに進出している日系企業が、バティックに関連して発売している商品を紹介します。

花王インドネシアからは、バティック専用の洗剤が売られています。これは国内でもおそらく業界初だと思います。

そして同じく花王インドネシアから、日本でもおなじみの鼻パックのバティックモチーフです。インドネシアのお土産にもいいかもしれないですね。

Written by スパルディ杏子(インドネシア)

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