ビジネスや商談の場、もしくは友達と食事に行った後、誰が支払うか「お会計問題」。
日本ではごくごく普通の「割り勘」は、中国では時と場合によって「割り勘なんてありえない!」と相手との関係性に影響が出ることも・・・・。
2020年に初めて広州に来た時、仕事柄日本人と接することが多く、広州の友達は日本の文化を知っており、いつも割り勘が当たり前でした。
しかし、ここ最近は旦那さんの仕事の関係で東北出身の人達と接する機会が多く、商談やビジネスの場に出向くことが増えました。
東北出身の人は一本気なところがあり、お会計の場面で「割り勘にしよう」とはまず言いません。
「割り勘なんてタブー」のような雰囲気があり、「俺が支払う!」「いや、お前は黙っとけ、今日は俺が支払う!」という具合にお会計の取り合いが始まるのです。
中国では、今回はAさんが払ったとしたら、次回のお支払いはBさんが払う。交互交互に支払いをするそうですが、例えば上司と部下、仕事仲間であれば立場的に上にいる人が出す、これが中国式お会計であり、相手のメンツを立てることにつながるようです。
私はいつも「前誰が払ったかなんて覚えてへんわ・・」と思ってしまうのですが、どうやらこのように成り立っています。
先日、70代中国人男性の陽さんの紹介で知り合った中国人社長さんと数名でご飯を食べに行った時、「智子は一番年下なんだから、飲み物ぐらいつぎなさい!」と一喝されたのでした。
楊さんは数年前、その社長の会社で副社長を任されていたそうで、今回楊さんを通して社長さんと知り合い、社長さんが私達のホテルや食事の手配からお支払いまでしてくれたのでした。
私は飲み物を注いだり、食べ物を取り分けたりする行為が相手への礼儀を示すことは分かっていたのですが、中国特有の大きな丸テーブルに初めて見るご当地料理が並び、どれをどのように食べるのかが分からず手が出せずにいました。
飲み物は中国人経営者の男性部下がお酌するポジションを任されており、注ぐタイミングも掴めなかったのです。
社長さんからご馳走になることをなんとなく察知していたので、飲み物を注文したり注いだりしたら図々しく見えるような気がして、失礼にあたるのではないかと考えていました。
陽さんからすると、「僕を通して社長と出会った。食、住どちらもあなたに与えた。お酌ぐらいして、感謝の気持ちを示しなさい!」という意味だったのでしょう。
中国でこういった場面は図々しいと映るのではなく、気が利く、礼儀がよく見える、そして相手のメンツを立てるのだとこの日初めて実感したのでした。
人を紹介してもらったり、旦那さんの仕事仲間や上司と初めて食事をする時に、いつもちょっとした手土産を用意するようにしています。
男性なら日本輸入の飲料(日本酒、焼酎、ビール、無糖のお茶)、女性なら日本の化粧品ブランド(プチプラコスメもこちらでは珍しく価値がある)や健康食品を用意することが多いです。
中国ではアルコール度数50%もある百酒(バイジュウ)が好まれますが、「日本のお酒もどうぞ試してみてください」と勧めると、日本のお酒を取り扱う店が限られているため新鮮で受け入れてもらえます。
話のきっかけにもなり、「次はあの人に何を持っていこう?」と考えるのも楽しくなります。日本人だと覚えてもらえて、印象付けにも良いように思います。
また日本では乾杯は最初と締めの2回程度ですが、中国では自分がグラスに口をつける時に「一緒に飲みましょう」と乾杯を促す場面がたくさんあり、回数にすると最低10回はあるでしょうか。
誰かと誰かがグラスを合わせて乾杯していて、忙しく賑やかな食事も中国ならではだと思います。乾杯の時は日本と同じように目上の方のグラスが上、自分のグラスは下になるように合わせると相手にも喜んでもらえます。
今回のコラムはいかがでしたか?皆さんも自分なりの交流方法を見つけてみては如何でしょうか?では、今日も笑顔でニーハオ!
Written by 古川智子(中国)