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「本当の豊かさ」とは?パンデミックを経て考える、理想の生き方

2023年5月6日
杏子スパルディ (インドネシア)

生き方を見つめ直すきっかけになったパンデミック

インドネシアでは一か月間の断食をするラマダン月(イスラム歴9番目の月)が西暦の4月22日に終わりました。

文字通り「お盆とお正月が一緒に来た」ような、断食明け大祭「レバラン」を迎えるため、国民大移動の如く、人々は田舎に帰省し、家族や親族との時間を楽しみました。

今年は個人的な事情でインドネシア人夫の田舎に帰省をしなかった我が家ですが、昨年コロナ禍で数年ぶりに帰省した際に、人生について考え直した経験を思い出しました。

世界中の人々の生活を一変させた新型コロナウィルスの大流行をきっかけに、生き方や働き方について見つめ直した人も多いのではないでしょうか?

実は私自身もその一人です。きっかけはコロナ禍の中で政府による社会的活動制限が始まったことでした。

小学生の子供たちの授業はオンラインになり、多くの人が職を失い、パンデミックという人生初の「事件」を経験しました。

周りは在宅ワークをする中で、私は会社に出社し、その傍らまだまだ小学校低学年だった子供たちのオンライン授業の手伝いをする。

当時は言語化できていませんでしたが、思い返すと相当のストレスを感じていました。

 

「生きることの本質」とは?

資本主義の世界、国で生まれ育ち、今まで当たり前だった「会社で働きいただいたお給料で物質を買って生活すること」が本当に当たり前のことなのか。子育てや教育は今のやり方が正解なのか。

そんな「生きることの本質」みたいなものを悶々と考えるようになったのです。

考えても現状はすぐには変わらないし、目の前に正解が降ってくるわけではありません。

自分なりに考え、オンラインで様々なセミナーやワークショップに参加し、自分や家族の今後の生き方について少しずつ学び、考えていく過程を経験しました。

この時期に世界ウーマンのポッドキャストにも出会い、こうしてコラムを書かせていただく「発信活動」を始めるチャンスをいただいたことも大きな変化でした。

そんな時期を過ぎ、深刻だったインドネシアのコロナ状況も少しずつ良くなり、政府の社会的活動制限も少しずつ緩和され始めた時に、2年ぶりにレバランを田舎で過ごしました。

結婚以来何度も帰省していた夫の故郷で、それまで感じたことがない何かを感じたのです。

 

「時間の概念」を持たずに生活をしている人々

夫の故郷のパパイヤ畑

東南アジアのほとんどの国がそうであるように、インドネシアも南国特有の時間が流れ、物も人もゆったりとした時間軸の中で生活をしています。

義実家には目につくところに時計がありません。テレビをつけても日本のテレビ放送とは違い、いつも時間の表示があるわけではありません。

そう、「時間の概念」を持たずに生活をしている人がほとんどなのです。

田舎へ行けば行くほどゆったりとした時の流れを感じます。日が昇ったら動き出し、日が沈み夜になったら休む、バイオリズムそのものといった生活です。

インドネシアならでは(特にジャワ島はイスラム教徒が大部分)なのは、イスラムの義務である5回の礼拝時間をベースに生活している人が多いという点です。

「今何時?」と聞いても、「わからない」という人が多いですが、例えば「今はAsharの時間だね」と言うと、大体午後3時過ぎを指します。

礼拝時間をベースに生活しているのは都市部も同じで、学校行事の集合時間など「Subuh の礼拝の後」と言うと、早朝5時~5時半頃を指します。

インドネシアに移住当初はイライラすることも多かったこの「ゴムの時間」が、コロナで生活が激変したことを経て、魅力的に感じるようになりました。

 

豊かさってなんだろう

親族の家でふるまわれた食事の一部

そして「資本主義」についても田舎でもう一度考えさせられました。

義実家は事業をしているので会社員ほどではないものの、「仕事」の概念は私が持っていたそれと似ていますが、農業をして暮らす親族の家に行った時に、ブレイクスルー的な感覚を覚えました。

その日親族の家で食事をふるまってもらったのですが、お米、卵、バナナ、など出されたメニューのほとんどが自分たちで生産したものでした。

その親族の家の周辺は一帯が田んぼと畑に囲まれています。野菜・果物・唐辛子など、日々の食に困ることがありません。お土産に大量のお米もいただきました。

その日「私たちは何のために働いているんだろう」とふと思い、現在まで進行形で「豊かさってなんだろう」という質問が頭の中にあります。

農家の親戚の家がそうであるように、その日食べるものに困らない生活ができれば、極論それでもいいのかもしれない、とすら思いました。

コロナ禍を経て働き方も多様化しているし、テクノロジーの発達や時代の流れで、いわゆるクリエイターなど、職業の普通も変わってきました。

お金を稼ぎ、子供たちを学校に行かせて、就職させて・・・というフロー自体が、今後どうなっていくのか正直わかりませんが、子供たちのために「今」できることをしながら考え続けています。

最近は日本でもこのスローライフという言葉が注目されているようです。「スローライフ」について検索してみたところ、「スローライフとは?意味・魅力・大切な心得を知って人生を充実させよう(happymail.co.jp)」という記事を見つけました。

この記事をシェアして、今回のコラムを終わりたいと思います。皆さんにとって理想の生き方、働き方はどんなものですか?

Written by 杏子スパルディ(インドネシア)

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