先日、ボストンの郊外を訪れる機会があった。「せっかく来たのだから、一日かけてボストンの街を歩いてみよう!」と、散策をしてみた。
ミシガンのあるアメリカ中西部も、ニューヨークのある東海岸も、今年は5月に入っても比較的肌寒い日が続いた。
特に朝晩はダウンジャケットを着てる人を見かけることもあるほどだ。しかし、私がボストンの街を散策した日は比較的暖かい日だった。
ボストンレッドソックスのスタジアムがあるFenway Parkのあたりを散策していたら、公園のような緑が豊富な場所にたどり着いた。
「街の中の公園だわ」と中に入ってみると、そこは公園ではなく、「貸し庭」だった。
『The Fenway Victory Gardens Est.1942』と書かれた掲示板には、庭の区画が表示されていた。一つ一つの区画には柵がしてあり、中にはそれぞれの庭が創作されていた。
植物や小さな池があるお庭や小さな小屋があるお庭。庭の中に椅子やテーブルを置いて、青空の下で自然を楽しんでいる人たちもいた。ハーブや野菜を栽培している庭もあった。
Parkの入り口を出ると大きな幹線道路が走っている。道沿いには、ボストン特有の昔ながらの赤れんが作りのCondominium(コンドミニアム)が立ち並んでいる。
コンドミニアムは、日本でいうマンションだ。Condoに住んで、このような庭を買うか借りるかして、ガーデニングを楽しむのだろう。
アメリカの田舎では家も土地も広くて広い庭を持っている人たちもたくさんいるが、大都会では「スタジオ」というワンルームの部屋を借りるだけでも相当な家賃を払うことになる。それだけ不動産が高いのだ。
しかし、自分の家の庭がなくても、このように都会の中のオアシスを使って空間を創造する楽しみ方もあるということを初めて知った。
Parkの近くには大きな池もあり、Parkの中は遊歩道になっていた。庭を作る人たちも、その庭を見て楽しむ人たちもいる。とても素敵な場所だった。
以前のコラムにも書いたことがあるが、夏の始まりである5月終わり頃からは、多くのアメリカ人たちは、仕事の後の余暇を楽しむ。
この庭を借りている人たちはきっと仕事の後にここに来て、ガーデニングをしたり、ピクニックをしたり、思い思いにリラックスした時間を過ごすのだろう。
夏至あたりの時期は、特に中西部や東海岸では夜の9時をすぎても明るく、仕事が終わってからゴルフに行く人も、子どものスポーツ活動に参加する人も、ガーデニングをする人も、またはビーチに行ってマリンスポーツをする人もいる。
仕事が終わってからサイクリングやテニス、ゴルフを楽しめるのは、多くのアメリカ人が仕事の時間と余暇の時間(家族で過ごす時間)を区別しているからだ。
私はアメリカに来たばかりの頃に、友人に質問したことがあった。「会議が終わっていないのに、5時を過ぎたら途中でも会議を終わりにするのね。。。それでいいの?」と。
彼の答えは「今日決めても、明日会議を再開して決めても、大きな違いはないよ」ということだった。
日本だったら「今日中に案件を片付けたい」という感じがするが、ある意味、国が大きすぎて全体を統一することが難しいアメリカという国だからこそ、反対を返すと、大らかさがあるのかもしれない。
人々からよく聞く言葉で「‘Life is short‘だから人生を楽しまなくちゃ!」というのがある。
そのモチベーションが、仕事が終わってからラウンドのゴルフコースに出ていく元気に変わるのだろう。
Written by スペイツ由美(アメリカ)