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親の看護で一時帰国して考えさせられたこと【前編】

2023年6月21日
林いくえ (カナダ)

帰国して直面した問題

今、私は4年ぶりに一時帰国しています。コロナの規制もなくなった今年、夏には父を訪ねようと思っていたのですが、父の体調が思わしくなく、1カ月早めた一時帰国となりました。

私たち4人兄弟のうち、すぐ下の妹以外はみな海外に住んでおり、父の介護も妹夫婦に任せるしかありませんでした。

しかし、妹夫婦には幼い子供が3人いるということもあり、今回の父の入退院で心身ともに限界を感じたため、時間を捻出することが一番フレキシブルである私が一時帰国してサポートすることになったのです。

帰国してまず驚いたのはすっかり衰弱してしまった父の姿ですが、父と妹の関係がギクシャクしているのも一目瞭然でした。板挟み状態の私は、予期していなかった状況にプレッシャーを感じています。

父の涙なんて生まれてから一度も見たこともなかったのですが、ここ数日、父との会話の最中、妹以外の家族は海外にいること、自分が重荷になっているように感じることなどを悲しそうに涙を流して話す父の姿を何度も目にし、心が痛みました。

妹も妹で涙ぐんで、「一生懸命やっているのに文句ばかり…」と気難しい父を満足させてあげられないことを悔しく思い、限界を感じています。

両方の言い分とも理解できるため、私はどうしたらよいものかと悩んでいますが、海外在住の私は実質的な貢献がなく、率直な意見を言うことをためらってしまいます。

私が帰国して父の世話をすることができれば、それが一番の解決法なのかもしれませんが、私も自分の家庭があるため、簡単に決断できることではなく、もどかしく感じて仕方ありません。

 

コミュニケーションの大切さ

このようにストレスと葛藤の中で過ごしたこの3週間、初めて考えさせられたことがたくさんありました。その中でも「コミュニケーションの大切さ」を改めて痛感しています。

父と妹の関係悪化も、コミュニケーションができていない故に、積もりに積もった不満が限界に達して生じたものだと思います。

「老いた親の気持ちをもっと分かってほしい」と願う父。父のためを思い、自分なりに尽くしているものの、肯定されない妹。このギャップで生じてしまう気持ちのすれ違い。

異なる世代が持つ観念や文化の違いが原因でもあり、話して解決できるとは保証できませんが、少なくともコミュニケーションをとらない限りは解決できないことは確かです。

どうしてもコミュニケーションが難しい場合は、中立な立場で間に入ってくれる方を交えての対談も必要ですし、関わる人みなカウンセリングを受けることも時には必要な選択でしょう。

私たちの場合も、今その方向で次のステップを検討しているところです。

海外在住のため、いずれこういった親の老後問題に面することは覚悟していましたが、思った以上に考慮することや対処しなければならない問題が多く、いろんな面で準備が整っていなかったことに気づかされました。

長くなってしまいますので、次回の【後編】でもっと詳しく共有したいと思います。

Written by 林いくえ(カナダ)

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