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マレーシア料理を世界に広めた「PappaRich」創業者とお会いして再認識したこと

2023年8月10日
土屋芳子 (マレーシア)

マレーシア料理を世界に広めた「PappaRich」

こんにちは。マレーシア在住の土屋 芳子です。マレーシア料理を日本で食べたことがあるでしょうか?

日本にはほとんどマレーシア料理店がないので、おそらく、ほとんどの方が思い出せない体験だと思いますが、それをアメリカ、シンガポール、スリランカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、台湾、中国、ブルネイ、インドネシアで広めたチェーンレストランがあります。

その名は「PappaRich (パパリッチ)」。

創業者とお会い、話を伺いました。物腰が柔らかくて、優しい方でした。

PappaRich は、伝統的なマレーシアのカフェであるコピティアムを、おしゃれなスタイルにしたマレーシアレストラン。(コピティアムについてはこの記事を参照)

創業者のリッチ・タン氏は、コピティアム風の料理(ナシレマ、チャークイティアオ、カリーミー、カヤバタートーストなど)とマレーシアのローカルコーヒーが大好きで、2006年にPappaRichの前身である「パパコピティアム」をオープンしました。

多くの人がその料理を認め、売り上げはすぐに上がり、フランチャイズ化に向けてより一層の努力を重ねました。彼とパートナーたちはビジネスを成長させ続け、40店舗が一気に137店舗まで増えました。

2012年には初の海外店として、シンガポール進出も成功し、続々と世界での展開を仕掛けていきました。

 

創業者が「Rich Kopitiam」として再出発

しかし、急速すぎる成長に食べ物のクオリティ維持のスピードが追いつくのは難しく、お金儲けのためのアイデアが時には優先されてしまいます。

マレーシア料理が珍しいオーストラリアやアメリカなどの国では、今でもビジネスは成功し続けていますが、競合が多いマレーシア内では成長を維持するのが難しく、2020年には同事業に対して清算申し立てが提出されました。

現在うまくいっているPappaRichは、マレーシアでは数店舗のみになってしまいました。

タイミングが良かったのか、精算申立てが提出される前年の2019年にリッチ氏はPappaRichの株式を売却し、引退しました。

しかし、リッチはコピティアムの愛好家として、同じような人たちに地域に根付く、伝統的なおいしいものを提供したいという野心を持ち続けていました。

パンデミック中に多くの時間をキッチンで過ごし、本当に美味しいマレーシア料理を追求。そして経済が回復してきた今、彼にとって新しい歴史を作る時が来ました。

7月、彼の名をつけた「Rich Kopitiam」が、クアラルンプール郊外にある東南アジア最大のショッピングセンター「ワンウタマショッピングセンター(1 UTAMA Shopping Center)」にニューオープンしました。

 

本当に美味しい料理とクオリティ、それを維持することが大切

「何よりも本当に美味しい料理とクオリティ、それを維持することが大切」と説くリッチ氏。毎日店に来て管理しています。

店に立って料理の品質をチェックしたり、お客が満足しているかどうかを実際にその場にいて感じること。

これらのことは基本中の基本ですが、大きく急速に会社が拡大すると、経営者はなかなかそれをする時間が取れないのが普通じゃないでしょうか。

でも、この基本的なことをしっかりすることが、成功する土台になるのですよね。

実際、リッチ氏と私が話をしている途中で、会社の経理の方がたくさんの書類を持ってきてサインを彼に求め、店の片隅でサインしていました。事務仕事も店に居続けながらこなしているのですね。

現在、おしゃれなコピティアムはブームで、至るところにありますが、リッチ氏の手がけたパパリッチは、20年前にすでに時代に先駆けていたと言えます。

マレーシアのローカル食文化を世界に広めた彼が、彼の背中を追ってきた多くの似たコンセプトを持った店と、現在は肩を並べている状況ですが、何よりも食の味とクオリティの維持にこだわることが大切だと知っている彼なので、きっとサイド成功への道を辿るでしょう。

 

海外や日本での展開も視野

リッチコピティアムの料理は、コピティアム料理の伝統的な味を基本にしっかり忠実で、細かい原材料にまでこだわりながらも、みんなが親しめる手軽な価格で提供しています。

フレッシュココナツジュースと鶏肉でじっくりと出汁をとったカリーミーは、まろやかでスープが濃くて絶品。

チャークイティアオ(炒めた米粉の平麺)にはイポー産の太いもやしを使用していて本格的。カンポンフライドライスとフライドチキンもとても美味しくてボリュームもあり、質の高い料理でした。

伝統的なローカルフードを提供しつつ、明るい店内にはジャズが流れていて、心地良かったです。

今後、世界にもこのマレーシアの味を展開していきたいそうです。あらゆる街でこの店に出会うことが、そう遠くないかもしれません。日本にも展開していきたいと語ってくれました。

【Rich Kopitiam】
Opening hours: 10am-10pm Daily
Tel: 03-7499-3705
Address:LG603, Old Wing, 1 Utama Shopping Centre, Bandar Utama, 47800 Petaling Jaya, Selangor
https://www.facebook.com/profile.php?id=100094107862974&mibextid=LQQJ4d

参考記事:https://vulcanpost.com/833553/rich-kopitiam-malaysia-papparich-founder-new-restaurant/

Written by 土屋芳子(マレーシア)

創業者とお会いして再認識した、基本に立ち戻ることの重要性

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